2017年3月23日木曜日

20170322

『物理数学の直観的方法』(長沼伸一郎:講談社)


オリジナルが1987年に発売された数学解説書。
『経済数学の直観的方法 マクロ経済学編』『経済数学の直観的方法 確率・統計編』のシリーズの大元。


高校数学であれば、様々なレベルの解説書が存在しているが、大学で学ぶ数学を易しく&わかりやすく解説した本はとても希少。

フーリエ変換やテイラー展開は「こんなもんだ」とやり方を覚えて使うだけだったが、本著では図式を使って腹落ちするように解説してくれていて、読んでいて目が醒めるような思いだった。
電磁気学で散々苦しめられたrotも「水中の水車」で解説している発想はとてもユニーク!
大学時代にこの本で勉強できてたらなぁと感じた名著。


著者も認める「やや長めの後記」という60ページを超える後書き(笑)が傑作。
天体力学から三体問題へと話が進み、「職業集団と社会の状態」「キリスト教文明とイスラム教文明の発展の違い」「近代西欧医学の考え方」「ニュートンのプリンキピア以降、数学者と哲学者が相互作用し得なかった悲劇」「資本主義経済に置ける経済格差の発展」「遺伝子医療」を行列の対角化問題に絡めて説明しているあたりはとてもとても興味深い。

独立した事象の和で表されることは「行列の対角化が可能であること」を意味するが、相互作用が絡み合っている限りそこまで単純化できる問題ではない。
社会科学的な発想で行列式を見るという見方はとても斬新で面白かった。

大学時代の数学に思いを馳せつつ理解し直したい方には超オススメ。

文系の方にはかなりハードルが高いので要注意だが。




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