2017年4月6日木曜日

20170406

『デジタル変革マーケティング』(横山隆治・内田康雄:日本経済出版社)

KPIをリアルタイムで可視化した「マーケティングダッシュボード」を導入し、デジタル時代のマーケティングと経営に関して解説した本。

稲盛さんも「会計は飛行機コクピットの計器盤」と称したように、データに基づいて意思決定を行うことが必要。
特にITが普及して流行の寿命も短くなった現在において、広告代理店からの報告を待ってPDCAを2週間掛けて回しても周回遅れになってしまう。
常にデータを取り込んでKPIを算出して表示するマーケティングダッシュボードを活用して、随時打ち手を考案して取り組んでいくことが必要な時代。

ダッシュボード導入設計に必要な人材像として下記5種類が提案されている。
  • プランニング及び施策運用:ビジネスの肌感覚を持ち、具体的な打ち手の企画と実行を担う。何のデータを可視化すれば施策に役立つかを提案する役割も果たす。
  • 分析:データを読み解き「情報」「洞察」に変換する役割。施策のパフォーマンスを明らかにするようなKPIの設定なども行う。
  • データビジュアライズ:利用者の観点に立ってユーザーインターフェースを設計し、要望を取り込みながらビジュアルのブラッシュアップを行う。多くの人を巻き込むには必須。
  • データマネジメント:データフォーマットを整えて質の良いデータを吸い上げられるように定期的に改修するデータコーディネーターと、元データのソースや意味を理解した上でKPIの解釈に揺れが起こらないように調整するデータナビゲーター
  • 全体ディレクション:異なるバックボーンの人材を統括し、ゴールや優先順位を設定して全体をまとめる。


読んでいて、確かにデータマネジメントは重要だなと感じた・・・
サーバから数字を拾ってくる人間はマーケではなくてシステム部門の人間だったりするので、集計ルールの認識に齟齬が出そうだなぁ。
データビジュアライズは日本企業では少し疎かにされて、アメリカやヨーロッパの企業のデザインと比べて垢抜けてないように感じることがある(笑)

ダッシュボード活用の解説があった後、注意点についても解説されている。

リアルタイムにKPIを見ながらマネジメントするのは、ある意味ルーチン業務であったり常時改善を図る持続的イノベーションであったりするだろう。
それゆえ、既存のデータから導かれるKPIに思考の枠が出来てしまって、斬新なアイディアや打ち手が出てこなくなる可能性もある。

また、ダッシュボードだけを見て仕事をするようになると、人と人とのコミュニケーションも阻害されがち。成果を出すためにはオフィス環境の整備やコミュニケーションの設計も合わせて必要と終盤で説明されている。


これからデジタルデータを活用するのがどの規模の企業でも当たり前になるだろうし、この辺の設計は重要そうだなぁと思った。


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