2017年5月17日水曜日

20170516

火曜は伊藤先生の「組織の経済学」

理系表現の多い事前資料だった・・・コヒーレントなんて単語、レーザーや電子に関わってたので馴染み深いのだが、経営学の教科書で見るとは思わなんだわ(笑)

【制度の補完性】
1つの要素だけ変えると大変なことになるが、合わせて変えた方が良くなると言うことがある。
補完性についてはあまり研究されていなかった。この分野ではスタンフォードが力を入れているが、どこまでMBAコースに落とし込めているかはわからない。

<前提>
  • 組織の決定は相互に関連し合う
  • 制度水準の多くは分割不可能
  • 究極的意思決定は集権化

組織全体を見渡して決定する人がいることを想定している。
「ゼネラル・マネージャーは組織のデザイナーたるべし」

全体は部分の総和以上になると言う考え方の曖昧さを取り除き、因果関係を明らかにする。
「補完性は価値創造を可能にするとともに、価値創造を難しくする」

【完全出来高制を導入した事例】
基本給・時間給ゼロ
生産労働者の収入=出来高給単価×生産量+ボーナス
収入が一次直線で現される。

<出来高制のメリット>
  • 強力な生産インセンティブ:労働者がやる気を出して生産性が上がる
  • スクリーニング効果:腕に自信がある人が来て、ない人はいなくなる。仕事に向いている人が集まる。


<出来高制の問題点>
  • 組み立てライン、流れ作業などチーム生産に使えない。
  • 数量以上に注意を払わない(品質・ヘルプ)手助けもしない。臨時仕事をやらなくなる。
  • 出来高給単価へのコミットメント問題(トラストゲームの応用)「生産が高いと出来高給単価が下がるのでは?」と先読みする労働者は生産を抑制してしまう。「旧ソ連の国営企業と中央政府」「陰山英男のツイッター(宿題をすぐに片付けた子供に追加の宿題を与えるなど)」が良い例。


<補完的制度の導入>
基本的な対応:出来高制を諦めるのではなく、維持して支えるような仕組みを追加で導入する

  • 自分のペースで思う存分作って良いように仕掛かり在庫を認め、作業ルールをフレキシブルにする。
  • 品質・協調性・提案に対して平均的出来高と同じくらいの水準でボーナスを与える(労働者はボーナスを無視できず、バランスをとるようになる)
  • 不良品の手直しもやらせ、品質に対して個人に責任を背負わせるようにする。
  • 出来高の見直しは新しい設備や生産方式を入れないと改訂しないと明言する。
  • 従業員の持分を高め、内部昇進制度や雇用維持政策を導入して信頼性を高める。
  • オープンに労使間情報伝達をするようにする。


出来高制の問題点を潰す仕組みを入れることで、長所を生かすことができる。出来高制だけ入れて、それ以外を入れなかったら失敗していたはず。それを支える仕組みの方が大きく影響した。

【組織デザインの主要概念】
制度デザイン変数の補完性
選択可能集合の非凸性&制度と業績間の非凹性
タイトカップリングとルースカップリング

  • ある制度Aの水準を上げたとき、別の制度Bの水準を上げた方が全体のパフォーマンスが向上する(または減少幅が減る)とき、制度Aと制度Bとの間には補完性があると呼ぶ。この逆が代替性。
  • 複数の制度の間に補完性がある場合、片方はやるがもう片方はやらない、というものが唯一の最適解になることはない。
  • 最適解を探すときは、制度ABの水準を片方ずつ&両方を上げた場合と下げた場合で現状と比較する。現状より良いところがなかったら現状がベスト。良さそうな条件が見つかったら、さらに全方位を調べるべし。
  • 組織のデザイナーであれば制度変数は選択できるが、選択できない外部環境もある。コントロールできない外部環境の変化(為替など)などの外部パラメータと制度変数との間に補完性がある場合も存在する。
  • 望ましい変化の方向性が明らかになることが多いが、補完性によって変化を難しくもする。現状はローカルな極大値にいて、遠く離れた地点に真の最大値がある場合、現状からの微調整ではパフォーマンスは向上しない。
  • 選択変数の一部のみをどんなに大きく変化させても向上しない場合がある。同時にドラスティックに変えないと最適点にたどり着けないケースも。
  • いろんな制度を一気に変えた方が良いか?少しずつ変えた方が良いか?少しずつ変えるとパフォーマンスが一旦下がることを我慢しなくてはならない。途中で諦めてしまうこともある。
  • 短期的には少ししか動かせないが、時間が経つと大きな水準で動かせる。慣性が働いて変化のペースは速くなっていく。
  • タイトカップリング:補完性を徹底的に追求して最適化しすぎているため、変化への適応が弱い。
  • ルースカップリング:十分な最適化はされていないが、フレキシビリティがあって変化へ対応できる。


【伊藤語録】
  • 読んで理解したつもりになっても、自分で書いてみると理解してないことがわかる。復習してください
  • これ以上易しく説明できない、と言うレベルで説明します。
  • (7限が終わって8限に入って)続きやります。ますますつまらなくなるかも
  • 今の定義はつまんねーなと思ってるかもしれませんが、少なくとも僕は面白いと思っている。
  • ずっと補完性の重要性の授業をしておきながら、最後の最後に「補完性やりすぎは問題だよね」で終わるのもなんですが。




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