2017年8月27日日曜日

20170827

『なぜあなたはいつもトラブル処理に追われているのか』(林原昭:合同フォレスト)

著者の林原さんは自動車メーカー・プラントメーカーでの勤務で未然防止活動を実践されてきた専門家。
軽井沢スキーバス事故をきっかけに本著の執筆を決意したとのこと。

ISO9000などのマネジメントシステムの構築や運用に関わった方なら、PDCAを回す上で再発防止と未然防止の取り組みを叩き込まれるだろう。
本書ではシステムの細かい要求事項に踏み入ることはなく、ミスを起こさないための未然防止活動について分かりやすく解説されている。

再発防止とは、起こってしまったミスがもう2度と起こらないようにする取り組み。
未然防止とは、起こりうるリスクに事前に手を打ち、そもそも起こらないようにする取り組み。

再発防止を行うときは、だいたいトラブルやクレームの解決から続いているので、忙しい中でもそれなりのメンバーがあてがわれるはず。
もっとも「起こってしまったミス」という事象の定義を狭め過ぎてしまうと、人手を掛けた割に効果が薄くなってしまうので、ある程度は定義の幅を広げておく必要がある。
この段階で改めて事業やオペレーションのリスク評価をしておくと、未然防止につながるネタがたくさん転がっていることに気づかされる。

当然、難しい点もある。

人間はまだ起こっていない事象(=これから初めて起こるかもしれない事象)に対しては、リスク感度が高くない。
その一方で手間がかかるというコスト感度は高いので「そんなトラブル起こったこともないのに、なぜ手間をかけるのか」と考えてしまいがち。
管理者に喧嘩をふっかけてくれるなら気付けるのだが、巧妙にサボられると気づけない。
本書でも「ノウハウだけでなく、ノウホワイも大切」と紹介されているが、なぜこのような取り組みを行うかをしっかり共有しておくことが欠かせないだろう。

また、なぜなぜ5回でロジカルに遡って真の要因を解析することになるが、1本の線だけで辿れるような単純な論理で支配されているわけがない。因果関係図は本来もっと入り組んでいるはずなのだが、ついつい論理をシンプルに解釈し過ぎて副作用を見落とすが多い。
因果関係図をじっくり考えても良いのだけれど、現場であれば少しパイロットフェーズで試してバグ出しをやった方が良いと思う。それこそPDCAだし。


過去に公共事業の不正入札で大量の再発防止策が実施された結果、民間ではまずやらないような書類提出ルールや監査方針が徹底されて、非効率さに磨きが掛かるとかもあるが(笑)

未然に防いだ方がお得なのに、短期的には損をしていると思われないように、認識を揃える努力が欠かせないだろうね。



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