2017年3月6日月曜日

20161230

『ビジネスエリートの新論語』(司馬遼太郎:文春新書)


昭和30年に連載された「名言随筆サラリーマン ユーモア新論語」の復刻版。
時代はまさに高度経済成長の入り口。
会社勤めのサラリーマンの生き様を、名言を引き合いに出しながらユーモラスに書き上げたエッセイ集。
説教じみた要素は皆無だが、役に立たないこともないというバランスは好みだねぇ。当時の様子がイメージしやすいのも良し。

【読んでいて気になったフレーズを要約交えて抜粋】
・サラリーマンの仕事に対する姿勢は、それ自体を楽しむというよりも、それから付随してくる義務を果たすことに楽しみを見出すという形であるほうが、より自然と言える。
・(K産業庶務課課長の言葉として)戦前なら、入社後二年というものは仕事をおぼえるのに夢中ですごすものだが、近ごろの若い人は、ただ八時間という労働時間と初任給の多寡をにらみあわせただけの労働量しか提供しない。
・(松岡洋子氏の言葉の要約)希望に燃えて入社した若者が、25で疑いを覚え、30で迷いになり、35で諦める。転職するのは3035の間。40になると保身に走り、45になると欲が出る。
・サラリーマンの社会は理想を発芽させない。理想のないところに公憤はない。私憤のカケラが1億集まったところで明るい職場を推進する力にはならぬ。

昭和30年なら戦後復興に向けてモーレツに働いてたような雑な先入観があったけど、抱えてる悩みとかは時代を超えて共通してるんだなぁと妙に感心した。

新書ならこれくらいのボリュームがさっくり読めて良いね。


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