2017年3月6日月曜日

20170208

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』(マシュー・サイド著 有枝春訳:ディスカヴァー・トゥエンティワン)


著者はイギリスの元卓球オリンピック選手でオックスフォードを卒業した経歴を持つジャーナリスト。
医療・航空・企業・政治の世界で起こった様々失敗事例を取り上げ、そこからどのように学んだか(もしくは全く学ぶことなく今に至っているか)を書き上げている。臨場感豊かな描写で、人が亡くなられた事故の事例では胸が詰まる思いでいっぱいになった。
マネージャークラスの方には超オススメな書籍。

【認知的不協和】
「たくさん早く失敗して、そこから学んで成長しよう!」というスローガンを掲げることは簡単だし、言葉の意味は理解しているものの・・・人間はそれほど失敗に寛容にはできていない。
「自分の判断は正しく間違っていない」と自分を信じ込ませてしまう心の働きは誰にでも存在する。
DNA鑑定の結果が何度出ても有罪に変わりはないと断言する判事、予言が外れても教祖を信じ続ける信者、患者が亡くなるのは時間の問題だったと主張し続ける医師、統計データで効果なしが何度も報告されているのに政策には効果があると主張し続ける政治家・・・厄介なのは当事者たちが失敗を隠しているのではなく「成功したと固く信じている点」にある。
また、組織において事業に失敗した人を処罰するマネジメントが実行されると、誰もが失敗を隠すようになって学習の機会が失われる。メディアの力で吊るし上げられて炎上しようものなら魔女裁判と化し、スケープゴートを用意しなくては収まらなくなる。失敗して不具合をもたらした人を非難しても責任を果たすようにはならないし、パフォーマンスは下がると報告されているにも関わらず、同じような事件や報道は繰り返されている・・・

【失敗を活かすコツを少しだけ抜粋】
・失敗を非難せず学習の機会と捉えて広くフィードバックする
・低コストで小さく実験し、リアルなデータから学んで改善につなげることを何度も繰り返す(GoogleDropbox
・小さな改善を積み上げることが大きな飛躍につながる(イギリスをツールドフランス優勝に導いたディレクター)

間違ったところでどうってことはないはずの授業ですら「見当違いや間違ったことを言ったら恥ずかしい」と思ってしまうのは、まだまだ失敗に対して自分が構えてしまっている現れか・・・


夏のさとかつ先生の「Nice Try!」をサクッと言えるようにならんといかんわね。


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