2017年4月21日金曜日

20170420

木曜は立本先生の「製品アーキテクチャ論」

「そうだったのかー」と経営学史の勉強にもなってる。


【アーキテクチャの説明:1960年代】
「設計要素の依存性」をアーキテクチャと呼んだ。そのうち「設計要素の依存性のパターン」をアーキテクチャと呼ぶようになった。
モジュールの中には依存性がたくさんあり、モジュールとモジュールの間には依存性が少ない。

【アーキテクチャの説明:1980年代】
個々の設計要素(コンポーネント)が下位レベル
モジュールのレベルが上位のアーキテクチャレベル
イノベーションが起こる時、コンポーネント(下位レベル)で起こる分には影響は小さいが、モジュールの間(上位レベル)で起こると影響が大きい。

【アーキテクチャの説明:1990年代】
3つのモジュールA・B・Cで構成され、A-B間, B-Cの間にインターフェースが存在する製品を考える。モジュールごとに担当部署が分かれている場合、A-B間, B-C間の部署でやり取りしながら進める。
しかし、A-C間にインターフェースを設けるという新しい配置が起こった時、個々の設計要素は同じなのにそのやり取りを実現できず、自社では対応できないことがある。

【歴史:1970年代まで】
企業は完全垂直統合企業が良いとされていた。(GMが鉄やガラスから車を作るレベル)
2社以上が共同で標準を設計することは、独禁法で禁じられているカルテル行為とされていた。

【歴史:1980年代】
日本など新興国が台頭してきた頃。日本では工業会など業界団体が標準を作って統一したりしていた。アメリカでは一般的ではなかったが、日本の台頭をきっかけにアメリカでも独禁法が見直された。
日本など新興国の企業経営を研究した結果、企業のネットワーク(トヨタとデンソーなど)を研究する流れが発生した。(バリューチェーンもこの頃誕生した言葉)
皆で使える(オープンなカルテル)のであれば認めても良いのではなかろうかという流れになった。

【歴史:1990年代】
企業ネットワークを考えるようになった。アメリカで見つかった企業ネットワークがシリコンバレー。オープン・自律的・分散的という言葉で語られる企業ネットワークが重要と考えられた。
シリコンバレータイプの企業ネットワークを抽象化して取り出して研究しているのがビジネス・エコシステム。

【ビジネス・エコシステム】
ビジネスエコシステム(アメリカ東海岸):産業構造と企業ネットワークの見取り図のこと。
オープンイノベーション(アメリカ西海岸):オープンなネットワークの中で行われるプロセスを言っている。
要するに彼らは「シリコンバレーでは社内・社外の両方のイノベーションを活用している」と言っているだけ。
西海岸と東海岸はいつも競争しているので「同じものでしょ?」と言っても絶対Yesとは言わない。奴らは。

【ポーター先生のバリューチェーンの考え方の背景】
ポーター先生は競争戦略の中でなぜ「バリュー」チェーンと呼んだのか?
技術からユーザーまでタスクのリングをつないで、チェーンにして届ける。
完全垂直統合型企業なら全部自前でやるから、バリューは全部自社に入ってくるので考える必要がない。
しかし、企業のネットワークを考えたとき、個々のタスク(リング)には大きなバリューを生むものとそうでないものが両方存在しているため、どこを自社が取るかを考えていくことが重要。

【コンソーシアムの効果】
貿易収支を非説明変数として分析
産業内参加:同じ産業で参加者が増えたらコンソーシアムの競争力向上効果はマイナス
産業間参加:違う産業で参加者が増えるとコンソーシアムの競争力向上効果はプラス

オープン標準にするとみんなが使えるようになり、マーケットが広がる。シスコの場合、安いルーターはオープンにして多くのメーカーが参入して世界中に普及した。その上で、ネットワークのコアの部分のルーターをシスコは技術でがっつり抑えて利益を確保している。

【IoT/ビッグデータ/AI】
オープン標準・コンソーシアムとの関連が大きい。何らかのプラットフォーム企業が登場するだろう。
IoTデバイス=センサー+エナジーハーベスト+コミュニケーション
モノ系の産業でデータが生まれ、ソフト系の産業ではアルゴリズムが磨かれる。両者は統合していく流れ。
IoTで大量のセンサーデータ(ビッグデータ)を発生させ、AIで高精度の予測モデルを作成する
アルゴリズムを作っている人は大変だが、あるものを持ってきて使う分には問題ない。

【立本語録】
  • 授業はぶっちゃけ終わらなくても良い。皆さんが使えるところが出来る方が良い。
  • ネットワークには有象無象の農民一揆みたいな企業も参入している。そいつらには好きなようにやらせれば良い、収益源は抑えていると放置するのがシスコ。
  • 私はコンソーシアムではオープンであるべきと思っていましたが、ダークサイドに堕ちても良いんだ・・・ということを知りました。今はやったもん勝ちで、オープンでもない「俺のIoT」が乱立している。
  • つくばのビジネス科学系はAIがバズワードになって入学者が増えている。島耕作が人工知能が新世紀伝が紹介しているので、間違い無いだろう。
  • AIの予測例としてテニスの勝敗を解説しましたが、馬的なデータをアルゴリズムに食わせて馬的な学習済みモデルを構築し、そこに馬的なインプットをしてあげると馬的な予測がアウトプットされます。馬的なものでもボート的なものにも応用可能です。

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