2018年7月10日火曜日

20180709:成功企業に潜むビジネスモデル

今日は淺羽先生の研究会で、WBS山田英夫先生の「成功企業に潜むビジネスモデル」

WBS在学中は必修授業の裏番組で一回も授業を受けたことがなかったので、山田先生の話を聞けて面白かった。ユニークなネタを随所に仕込んでいて全く飽きさせない。すごい軽快な語り口が印象に強く残った。

【成功企業に潜むビジネスモデル】
  • ある会社が成功すると、そのビジネスを模倣する会社が出てくる。持続的な優位性を保つ企業では見えないところにポイントがある。
  • 日本の製造業が下がって来ているが、サービス業は低位で安定状態。
  • 高いシェアを持っていれば高い収益になるか?:シェアが高いと経験曲線に沿ってコストダウンできて高収益になると思われていた。しかし、抜本的にコスト構造が違う新興国との競争になると勝てなくなる。
  • 成熟期に生き残れば残存利益を独占して高収益になるか?:成熟期の期間が短くなっている。ブラウン管は長く続いたが、液晶はあと10年続くだろうか?有機ELは何年続くだろうか?勝ち残るにしても時間が短い。
  • シェアを取れば、生き残ればOKという考え方はダメで、儲ける仕組みを構築しなくてはならない。
  • ビジネスモデルが「知られちゃうと困る」と釘をさす会社は、おそらく真似されやすいビジネスモデルになっている。強い会社はあっけらかんと内容を説明して、競合に知られたところで負けないぞというところがある。
  • 強い会社は「どうやったら自社を倒すことができるか?」という議論をしている。若手3チームに議論させて社長に提言させるのを毎年やっている。業界のリーダー企業になったらそれをやらないとダメだろう。
  • 「見えない」というのは、わからないから企業に聞きに行ったら始めてわかったことで、試行錯誤の集大成。変だなと思ったところを取材している。本体が分からないときは競合に聞きに行ったりして、証拠が揃ってから「こうやってるんだろ?」と自首を迫る(笑)。「どうやっているんですか?」とオープンクエスチョンだと答えてくれないので、ある程度は試合をしてから本体に聞きにいっている。見えないところが見えて行っているわけではない。


<ビジネスモデル探求の流れ>
  • 定義の時代→型の抽出の時代→構築方法の時代
  • 今はビジネスモデルを作る方向に動いていく。エキスをギューっとしぼると WhoWhatHowに帰結する。
  • もっとも有名なのはビジネスモデル・キャンバスで、9つのセルを埋めるとビジネスモデルができる。でも、これで一番儲かったのはポストイットじゃないか(笑)立派なビジネスモデルがこれから出たという話を聞かない。
  • ビジネスモデルは10人―15人の集団で合議して作っていくものだろうか?アメリカのベンチャーから来たものは1-2人の天才で作ったのでは?レストランの紙ナプキンに書いたポンチ絵から生まれたというエピソードを聞くこともあるだろう。参加者全員に紙ナプキンを配ろうという話もあった(笑)
  • 一番軸になるところは天才が作って、それに人と金が集まるのではないか?一見、集団合議制のようにもみえるが、実は少人数で決めるべき。ビジネスモデル・キャンバス多く使われているのは確かだけど。


【見えないビジネスモデルのケース】

<セブン銀行>
  • ATMに特化して、他行のカードで引き出したときの手数料で設けている。他行のバリューチェーンに組み込まれる。ここまでは外から見えるビジネスモデル。
  • ATMのコストが他と比べて1桁安い。NECを泣かせて作ったとも言われている(笑)。通帳も貨幣もなくてハード的にシンプルな作り。他行のカードを入れたらにすぐにその銀行の画面に切り替わる設定になっている。
  • セブン銀行の紙幣の供給はALSOKと提携している。ガードマンがジェラルミンケースにいれて現金を補給に来るのは実は月一回くらい。紙幣が尽きたら困るのだが、夜12時~1時頃になると飲食店のその日の売り上げがATMに入る。昔は銀行に夜間金庫があったが、不採算なので多くは撤退している。多量の現金がその日のうちに銀行に入る。午前4時ごろになるとタクシーの運転手が入金してくる。コストをかけることなく紙幣が入ってくるサービスを作っているのがポイント。毎回ALSOKに運んでもらっていたら黒字にならない。セブン銀行は最初から始めているサービスで、このポイントが海外IRでもっとも評価される。



<エプソンの大容量プリンタ>
  • インクジェットプリンタで2年分のインクタンクを搭載したプリンタを販売した。取り替えるインクカートリッジで儲かる(ジレットモデル)典型的な会社だったのに、自殺行為のようなビジネスモデルにした。
  • エプソンのプリンタは家庭で買うものがアジアでは事業用で使われている。インドネシアは交換インクカートリッジが売れずにずっと赤字だった。原因を調べたところ、現地で違法な改造業者がインクカートリッジをチューブでつないでインクを補充していた。
  • キヤノンだったら知的財産で対抗しただろうけれど、エプソンは「同じもの作ってしまえ」となった。チューブで補充するサービスは不具合が多かったので、結果的に駆逐できた。
  • 日本のユーザーにも不満がある。インクカートリッジはすぐになくなる。インクがなくなりましたと表示されるのがストレス。海外で評判が良かったので、日本でも売り出した。
  • キヤノンはやりそうだったけど、日本国内ではやってない。キヤノンはレーザーで日本一で、レーザーの方がインクジェットよりもハード価格が高い。大容量インクジェットは従来のインクジェットとレーザーの中間くらいの価格帯をターゲットとしている。レーザーをメインとする会社にとっては単価が下がってしまうのでやりたがらない。
  • カニバリが心配になったけれど、エプソンでは同じ事業部なのでどっちが売れてもよい。トータルの売り上げは増えた。



<ソニー損保>
  • ドライバーの運転技量によって保険料を変えるビジネス。自動車事故は下手な人が起こしやすいので、技量が低い人には保険金がたくさん出て行く。逆に有料ドライバーには出ていかないので、一律に取るのは公平ではない。優良ドライバーは安く、非優良ドライバーは高くしている。
  • 優良かどうかは1ヶ月間装置を貸してあげて、ダッシュボードの上に乗せてもらう。急発進・急ブレーキなどがあるかどうかを計算する。スコアに応じて保険料を算出しているが、暗号化されていて、ソニーに送らないと点数がわからない。
  • 100点だと2割やすくなる、80点だと1割、60点以下だと高くなるといった具合で、割高になる人は保険に入らない。予備校の模擬試験で、良く出来る人に来てもらうようなもの。
  • ソニー損保は有料運転手だけ集めている。事故率が低くて保険金の支払いが減る。キャッシュバックしても利益が残る。ソニーは後発で固定費が少ないので、良い人だけを集めても十分ペイする。逆に東京海上は企業規模が大きくて、売り上げも多くないと支えきれない。本当に良い人がソニーに移ると、他の保険会社が潰れてしまうけど。



<成田空港 免税店>
  • 10年前通路だったところが免税店街になっている。2年前のときは御殿場アウトレットの売り上げよりも多かった。当時は爆買いが流行っていた時代だったので、成田で買えば持ち歩かなくて良いとなった。
  • その1年前、成田の免税店で一番売れたのはウォッシュレット。成田でウォッシュレット10個買ったた人がいて、航空会社とトラブルになった(笑)。その後、ウォッシュレットは置かなくなった。それくらい中国の人が多かった。持ち歩かなくても良いし、免税の手続きがいらないから。
  • 空港が得る航空収入は飛行機の着陸に課金されるもの。それは飛行機の重量によって決まる。しかし、最近の飛行機は軽量化してジャンボも減っている。LCCが入って数は増えているが、軽くて小さいものが増えている。非航空収入を増やさなくてはならない。
  • 空港も成田・シンガポール・香港と戦っている。空港の中にアミューズメントも作ったり、トランジットで4時間以上空くと、シンガポール特別観光がついてくる。出国を簡単にしてもらって、次は観光に来てもらう。成田では、成田山観光をつけてみたらどうかをやっている。


<三菱電機エレベータ>
  • エレベータは東芝・日立・三菱電機で7割のシェアを持っている市場
  • 三菱電機はフラグシップ商品の開発が得意で、世界一のスピードのエレベータを上海に作ったり、横浜ランドマークタワーでコインが倒れないエレベータを作ったりしている。
  • 本社ビルでエレベータの前に行列ができる点を解決しようとしている。入構ゲートをくぐると「何番のエレベータに行け」と指示され、そこに行くとエレベータが到着しているということが実現する。ゲートで社員証から勤務しているフロアを読み取って、エレベータを到着させる制御技術。三菱電機の本社ビルはそれのモデルルーム。
  • エレベータで儲かるためには、ハードウェアだけではなくてメンテナンス。エレベータは法律で法定点検をやらなくてはならない。実は朝四時頃にエレベータが動いている。遠隔制御で誰も載せないエレベータを急激に動かして自動でブレーキがかかるかなを調査したりしている。一番良いメンテナンスは人がいないこと。
  • ダイソンの掃除機が壊れた時、コールセンターの電話口で掃除機の音を聞かせると、どんな故障なのかを解析してくれる。人がその場所まで行かなくても原因がわかるかどうかが重要。



<リクルート(スタディサプリ)>
  • オンラインで月額980円で全科目を教えている。1科目でも9800円はかかるだろう。桁違いの価格。
  • シンガポールでも流行っていて、進学熱が高い。夜は塾に通っているが、オートバイに5人くらいのって送り迎えしている。危ないし、夜だと渋滞がある。1つの売りとして、つまづき予測がポイント。また、海外にいる日本人が遅れないようにこれで勉強している。
  • 小学4年から中学・高校までカバーしているので、どの科目でつまづくと、かが見えてくる。学校のサブ教材として使われているところもある。
  • これをやり続けていれば、データが限りなくリクルートにたまり続ける。スタディサプリだけではペイしないはずなので、データ活用が鍵になる。リクルートは就活や企業内研修もやってる。そこまでつながっていくと、小学校4年のときに算数でつまづいたら、将来出世しないというデータまで取れちゃうかもしれない(笑)
  • 予備校の一流講師を集めているようなクオリティだけれど、変動費で売り上げ以上のフィーにはならないようにしている。
  • リリース時には想定していなかったけれど、学校が活用してくれている。特に成績のばらつきが大きく、一括して授業できないクラスに適している。


<ソラコム>
  • IoTの会社でモノとモノの通信がめちゃくちゃ安い。コストがかかったらつなげないなかで、ソラコムは110円程度のコスト。NTTドコモの回線をかりてきて又貸ししている。
  • 従来は基地局にハードウェアを置かなくてはならなかったが、そこをソフトで置き換えていて拡張性が高い。ユーザーは明日からでも容量を倍にすることもすぐにできる。小さい会社にとってとてもありがたい。小さくてもできる。


<ランドスケイプ>
  • 帝国データバンクなどに似ていて、色んな企業の事業所レベルのデータを持っている。
  • 事業所レベルで情報を提供していると顧客は営業で使うようになり、訪問履歴も入れて欲しいなどの要望が集まり、やがてセールスフォース的なものも入れて欲しいと言われるようになった。しかし、ある時を境に、セールス用のソフトウェアを全部やめて、データを得るだけに戻った。
  • 営業に行った時にNEC・日本電気・にっぽんでんきと入力するかもしれない。それに備えて名寄せをしておく必要がある。MAや社名変更で会社名が変わることは多い。
  • 今まで敵だった会社に事業所データを提供する会社に変わった。自分たちではやりたくないので買った方が得だとなった。事業をやめたのに売り上げが上がった。


<カーブス>
  • 運動していなかった主婦が入会している。他のスポーツジムに入っていたのは3%しかいない。
  • 運動に縁のない人が入っている。1つの会場に12個の場所があって、ぐるぐる回って筋トレやストレッチをして130分で終わる。ターゲットは女性。
  • お風呂やシャワーなどの水回りがなくて設備投資額が小さい。本当のスポーツクラブをやろうとすると投資が莫大だが、低コストで出来る。
  • 土曜の午後と日曜日お休みという勤務体系を敷いている。家庭の主婦がメインターゲットだから、休日を休んでもOK。ここで働く人も女性だから、その休みの設定がとても助かっていて、ESも非常に考えられている。
  • カーブスは1週間無断で休むと「最近来てないね」と電話してくる。従来のフィットネスクラブでは。会費を払っているのに来ない人がいるから儲かる。自動引き落としだから、ずっと来ないほうが良い。
  • 女性の場合、カーブスは自分のお金で払っている。サボると損をする。経済観念が厳しいので、いかないとやめちゃう。ちゃんとフォローして「私のことを知ってくれているんだな」と思ってくれることが大切。お店にいくと1つのお店で会員が300人くらいだが、全員覚えて下の名前で呼ばれる。家庭の主婦の場合、お子さんができると「健太くんのお母さん」という子供の名前で呼ばれることも多い。考えてみれば失礼だが、下の名前で呼ぶことで大事にされている間を出している。
  • カープスの男性版は作らないのか?という問いに対して、過疎地域で自治体と一緒に実験店でやっている。しかし、いまひとつうまくいっていない。女性とは精神構造的に嫌なのかもしれない。いずれお店がサチュレートすると考えなくてはならない。


<ソニー不動産>
  • 本来、不動産取引は両手取引で、売り手と買い手の両方から手数料をもらっていた。両者の間に入ったら忠実になれっこない。アメリカの場合は2つの不動産会社がついてお互いに交渉する。しかし、日本では長年両側からいただくようになっている。
  • ソニーは後発で入って、片方だけの仕事をするようにした。不動産業界からは反発したが、不動産価格を自分でつけるようにした。売り出し価格は出せるが、成約価格が分からなかった。ここを公開したのがポイント



<ライフネット生命>
  • 通販でネットで生保を売る走り。若い人で子供がいる層をターゲットにしていた。しかし、実際やってみるとネットだけではなかなか売れない。生命保険に払うお金は自動車より高くで住宅より安く、結構大きな買い物。
  • 保険の窓口、KDDIなどチャネルを増やしている。
  • 付加保険料を開示したのが大きい。公開した結果、初年度経費は保険屋さんの給料に消えることが周知されてしまった。ライフネットの場合はその分だけ安くなる。それを開示された既存の保険会社はすごく嫌だった。



【コストと競争優位】
  • ビジネスモデル・キャンバスで、パートナー・価値提案・顧客との関係・チャネル・顧客セグメント・収入の流れはマーケティングの話。ここは外部から観察することができる。
  • 主要活動・リソース・コスト構造は見えにくいところにある。見えるところはすぐに真似されてレッド・オーシャンになってしまう。
  • 低コスト構造とコストダウンは違う。日本企業が得意なのはコストダウンで、100だったコストを90に下げるのは得意。でも、同じ製品を20のコストで作るには発想の転換が必要。原価企画と似ている。コストを下げるのではなくて、最初から安い価格で作る。


<究極の低コスト構造>
  1. やらない
  2. 持たない
  3. 顧客にやってもらう
  4. 仕組みを変える
  5. 固定費の変動費化


  • QBハウス:私なんてこの髪型だからQBハウスで十分(笑)これは書かなくてよいから。待ち時間が1時間あっても、実際にカットしてるのは10分しかない。ここから着想を得て10分のカットだけを売ることを考えた、これは既存の会社では真似できない。彼らは設備投資しているから。「お湯がないと床屋ではない」という条例を作って嫌がらせをしてきた自治体もあったが、椅子を1個撤去して湯沸かし器を置いて対処している。
  • リレーライズ:レンタカーを1台も持っていない。飛行機の駐車場に止める車をレンタカーとして飛行機に乗ってやってきた人に貸し出す。駐車料金を払う立場の人が、逆にレンタル料金をもらえる立場になる。他人のふんどしで相撲を取る。使っていない倉庫・設備など固定資産・サンクコストは持たないビジネスと関係がある。サンクコストにビジネスチャンスがあり。
  • クラブツーリズム:自分でケースを作る時は実際やってみることにしている。到着した翌日は朝五時半集合だった(笑)自分は若い方から2番目だったが、80歳のおばあちゃんもいた。リピーターが多くて荷物が小さい。添乗員が足りなくなると、代わりに常連(リピーター)にやってもらう。
  • ツタヤディスカス:ツタヤのDVDの通販。Netflixなども登場しているが、DVDで見ている人もいる。普通のツタヤのレンタルだと商圏が決まっているから、映画のDVDを何枚仕入れるべきかはわかる。しかし、その年のヒット作はたくさん出るが、来年は多分出ない。そこで映画会社との間でペイ・パー・トランザクションにしてもらった。この場合、ロングセラーを作ると長く儲かるので両方の利益になった。



<競争優位>
  • 相手の強みを弱みにする。 
  • 資産側に蓄積された資産を負債に変えてしまう:ライフネット生命が競合の営業職員を負債にしたし、ソニー不動産が片手取引で既存の両手取引を負債にした。
  • 顧客側に蓄積された資産を負債に変えてしまう:後発のスカイマークは法人契約を始めた。企業では飛行機は出張者が決めて、支払うのは会社だった。そこで、スカイマークは総務に営業をかけて、札幌にいくなら2割引と営業をかけた。それまでは意思決定者と利用者が分かれていたので、会社で払ってもらいつつ出張者は自分のマイルを貯めていた。しかし、スカイマークでは札幌に行きたい人は会社で自動的にスカイマークにされるようになった。これはスカイマークが後発でマイルを発行していないからできること。スカイマークの路線数は少ないので、ANAが気にしていない。



<相手のバリューチェーンに入り込む>
  • バリューチェーンの要素を全部持つのが良いとは限らない。相手企業のバリューチェーンのある部分を代行してしまう。新生銀行の新宿支店ではセブン銀行のATMが入っていて、ロビーはその後ろにある。自行のATMを全部辞めた。青空銀行のATMは全部ゆうちょ銀行になる。
  • エイジス:棚卸しを専門にやる会社で、小売チェーンの7割を受けている。主にコンビニと書店。コンビニは24時間空いてるし、書店は多品種少量で共に棚卸しが難しい。エイジスで訓練を受けた人ならば、14個くらいまでなら一目見ただけでカウントできる。日本野鳥の会と同じ(笑)棚卸しという、会社にとってはあまり付加価値の高くない業務に特化して集めることは顧客の非日常を日常的に行うことでもあり、集中してノウハウがたまる。冠婚葬祭も同じ。
  • キュービタス:黒子のような会社で、クレジットカードのプロセッシングを他社から受けて行う。スケールメリットが聞くので、発行枚数が中くらいのカード会社が依頼してきている。プロセッシングができるスケールの会社は数社しかない。



<相手のバリューチェーンになかったものを追加する>
  • ホギメディカル:手術をするときは看護師さんが手術に必要な一式を集めてくる。それを熱湯消毒などで殺菌して使っている。ただ、看護師さんの本来の仕事は道具のセットではなくて看護である。そこで、もともと滅菌した手術道具をパックにしてとどけて、手術室ではほどくだけにした。当時は高かったが、差別化できた。こによって顧客企業(病院)の手術室に入ることができた。
  • 病院の手術室は元々コストセンターだったが、コストも稼働率も把握していなかった。データが溜まってきたことで、アドバイスをやるようになった。それまで手術室を管理する人がいなかった。ホギメディカルのキットを使った人はもう他社に動かなくなった。
  • ラクスル:印刷業界だけど印刷機は持っていない。印刷業界は東京の中では新宿に多い。印刷機の稼働率は50%で半分は休んでいる。さらに、忙しいときと暇な時の差が激しい。ラクスルは顧客の注文を受けて、手余りの印刷会社に発注する。手余りの状態であれば、変動費さえまかなえれば受けた方が印刷会社にとっては得になるし、安く早く出来上がる。ラクスルで名刺を作ってみたが、早稲田大学出入りの業者の半額だった(笑)。インクを印刷会社ごとに別個に買っていたが、ラクスルがまとめて買って安くおろすようにした。印刷会社と運命共同体になるとまずいので、受発注の半分は超えないよういしている。さらに、ハコベルという荷主とドライバーを結ぶビジネスをやろうとしている。稼働率の悪い固定資産をもっている会社を狙う。
  • コスモスベリーズ:田舎にいくとナショナルショップなど系列の家電の店がある。しかし、代替わりもあって、経営も厳しい。ただ、田舎にいるおじいちゃん・おばあちゃんはヤマダ電機には行かずに近くの電気屋さんにいく。しかし、地域の系列店では品種が少なく、値段も高い。地域の家電屋さんはコスモスベリーズに加盟することで、あらゆるメーカーの製品をヤマダ電機から仕入れてヤマダ電機価格で売ることができる。馴染みの業者だから家に入ってもらってもOK。ヤマダ電機を倉庫かわりに使っていることになる。ヤマダ電機としても、コスモスベリーズを使うことで、アプローチできない顧客にいける。地域の家電屋さんである必要もなく、地域のガス会社でもよい。衰退したチャネルに新しい商材を持ってきたことで、地域の企業が息を吹き返した。



【山田語録】
  • 浅羽先生の研究会だから、ちょっとアカデミックじゃないといけないかなと思いました。
  • イノベーションのためには異業種の新聞を読もう。そこで起きていることを抽象化して自分の産業に持ってくると良い。新聞はすぐにスクラップするのではなく、1週間寝かせる。情報は少し寝かせておいて、それでも気になって読み返すと違う視点が得られる。
  • 私と同姓同名の人が本を出していますので手に取ってみてください(笑)




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