2017年3月6日月曜日

20161016

『いい努力』(山梨広一:ダイヤモンド社)


マッキンゼーで長年パートナーとして勤めた山梨氏の本。
東洋経済の紹介記事を読んだら面白そうだったので読んでみた。
・・・やはり手が出るマッキンゼー本(笑)

【面白かったポイント】
マッキンゼーの理念に「クライアント・インタレスト・ファースト」とあるが、これは今仕事で関わっているクライアントに加えて、将来のクライアントも対象に含まれている。
自分への教育投資を怠って成長しなければ将来のクライアントの利益を害すると考えるべし。
「顧客とのミーティングまで1週間しかないが、社内研修にも参加しなくては・・・」と板挟みにあう機会は多いと思うし、実感もある。
「顧客第一だから!」と安易に研修をキャンセルするようでは将来の顧客の利益を損ねてしまうというのは耳が痛いなぁ。
関先生の生産管理で「ロット生産すれば今のコストは下がる。でも1個流しで同じ生産ができるような工夫をしていかなければ、将来のコスト削減が出来なくなる」と説明されていた内容を思い出した。

【その他読書メモ】
・効率と生産性は似て非なるもの。大きな成果を出すには豊かな思考力・発想力が必要。効率主義に走り過ぎるとこの部分が痩せてしまう。アウトプットを生まない状態に耐えてじっくり考えろ。効率主義一辺倒で導いた提案でクライアントの経営者が納得する解は得られない。
・否定から入ってばかりでは何も進まない。ダメな理由ばかり上手く説明できても良い結果を出せない。「上から目線」「耳年増」「減点主義」が原因。完璧主義者はリスク回避の極限。
・責任を持つということは、自分1人で抱え込むことではなくて、責任を持って人を活用するということ。機会損失をなくし、頼んだ仲間をモチベートし、成果を出せ。また、他メンバーに力を借りたいと思わせるような実力を身につけろ。仲間をレバレッジし、自分もレバレッジされろ。
・理想的な職場なんてない。アンダーコントロールの領域を意識して増やせ。
・考えに考え抜いた仮説よりも、何度も柔軟に更新してきた仮設の方が優れたものになりやすい。
・課題解決のために一番効くレバーは何かを考えろ。見つけたら素早く一気に引け。引きやすい無難なレバーを引いても課題は解決しない。
・仕事の目的は極力単純化すべし。リスクは回避し、既得権は大切に、あの人のメンツを立てて・・・などと裏目的を作り始めて複数の目的の集合体になるとと成果を出すルートがいつまでたっても見つからない。
・会議は紛糾しなければならない。すんなり通った提案であれば会議はいらなかったということ。紛糾することで参加者が当事者意識をもち、提案が進化していくもの。
・会議の発言は「ユニークで正しいこと」が期待されるが、その次に来るのは「正しくなくてもユニークなこと」だ。議論に別の視点が加わって新たな問題点も見つかるかもしれない。「ユニークでなくても正しいこと」は議論に付加価値をもたらさない。ふむふむで十分。

巷に溢れる「長時間労働をせずに成果を出す本」みたいな本と比較した時、「抜群の成果を出す」部分の「結果の質を上げるこだわり」もしっかり述べられているのが印象的。

読み手はプロジェクトのリーダーを務めた経験がある人が読むと腹落ちしそうな感じ。


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