2017年3月6日月曜日

20161017

今日は片岡先生のマクロ経済。今期最もメモが長文になる授業。

経済の仕組みを古典落語の「花見酒」で説明してしまう先生はそんなにいないだろうなー
Y生産=C消費+I投資+G政府支出+EX輸出ーIM輸入
C=c(Y-T税)+C0 T=tY+T0 IM=mIM+IM0
これをYについて解いた時に均衡GDPに置ける乗数を求めることができる。
財政政策は公共事業で直接需要に働きかけることができるが、手続きが大変でモラルハザードを引き起こす
金融政策は金利を操作することで投資を促す間接的効果なので見えづらい。
不況期には棒(財政政策)でつついて経済を良い方向に転がす。
景気が加熱しすぎた時は紐(金融政策)で引き締める。
逆の状況では効果が出てこない。
グローバル化してmを大きくしたり、税金をかけてtを大きくしたりすることは経済を安定化させる。
安定化というのは景気を良くする効果が希薄になるということ。

【社会主義経済について】
社会主義経済(5カ年計画などの計画経済)は最初の頃、驚くほどうまく行った。
当時の教科書では資本主義がイカダで単純で沈まないけど、どこにたどり着くか分からない。
社会主義はジェット機で人間が生み出した最高のもので、最も良い方法と説明されていた。
しかしながら、今何をどのくらい生産できるか、国民は何を欲して何の仕事に適性があるかと言った世の中の全ての情報を正しく漏れなく中央に集めて、処理して計画を立てる必要がある。
国民を監視する必要があり、自由やプライバシーの概念とは両立し得ない。
G.オーウェルの「1984」みたいな世界になってしまう。
最初の頃は「肉が食いたい」と単純だった要求が、社会が高度化するにしたがって「俺は牛肉」「私はササミ」「ロースがいい、カルビはやだ」などと複雑になり、破綻してしまった。
畑をどのくらいの面積耕したかで労働を測る時代から、「デザイン性の良い扇風機を考える」という仕事の労働力を測る時代に複雑に変化した結果、最善の計画を立てられなくなってしまった。
しかしながら、今現在でも社会主義経済は存在している。
それは家庭である。
家庭の中で全てのやり取りを貨幣取引で行うところは存在しない。
絶対君主が君臨して計画してしまう。
例えば片岡家では父(先生)・母・子・子の4人の構成員からなる経済であるが、母がコロッケを6つ作ったとすると希少価値のある資産の配分は母が決定する。
「子供は2個ずつ、父・母は1個ずつ」と決定して配分するはず。
なせレーニンの社会主義経済が破綻したのに、片岡家のレーニンは存続し続けているのか?
それは小さな組織で十分な情報を集めて処理することが可能だからである。

1929年世界恐慌】
当時は「借金は悪」と考えられており、税収が減ったら公共支出も減らす均衡財政策が取られていた。
土地を担保にして借金をしていた農家は大不況になって生活が立ち行かなくなったため、フーバー大統領は「農作物は昨年と同じ値段で取引しなくてはならない」という法律を制定して農家を守ろうとした。
しかしながら、不況の中で高値を維持された農作物は全く売れずに危機に瀕した。
昔、アコムのCMで描かれていた話。情けない男にようやく彼女ができたのだが、彼女が「ヨーロッパに旅行したい」と言い出した。
CM的には「サラ金してヨーロッパに行け」と促しているのだが、さすがにこれはやりすぎ。
そんなできたばかりの彼氏にヨーロッパ旅行をねだる彼女は切らなくてはならない!(力説)

【ケインズについて】
マクロ経済の道に入るきっかけになった先生であり、憧れであるがめっちゃ怖い。
バカを見ると「お前バカだね」と相手の人格が崩壊するまで論破しないと気が済まない。(ケインズ談)
ケンブリッジ大学を出て公務員試験を受けたが2番だった。
試験が完璧すぎて、採点官が理解できなかったのだ。(ケインズ談)
1919年にはチャーチルと一緒に36歳の若さでパリ講和会議(第一次世界大戦の後始末会議)に出席した。
フランスがドイツに巨額の賠償を要求した時、「そんな賠償は無理だ。また戦争になる」と反対したがフランスは提案を拒否してしまった。
結果、ケインズは会議を途中で切り上げてヒトラーのような独裁者の登場を予言して帰国してしまった。
1944年のブレトン=ウッズ会議ではIMFの設立基本通貨を決める時、アメリカのドルに反対したが拒否されてしまった。
その後すぐに体調を崩し、1946年に亡くなった。あれは憤死と言えるだろう(片岡談)
ケインズの奥さんはロシアのバレエのプリマドンナ。
今ならAKB48のセンターと結婚したようなもの。
しかし、ケインズは、本来は全く包み隠さない同性愛者であり、どんなに批判されても恐れることなく「何が正しいかは俺が決める」と言わんばかりの人だった。
同時代にチャタレイ夫人の恋人を書いたロレンスがいたが、思いっきり論破してプライドをズタズタにした。
「チャタレイ夫人の恋人は文学かエロ本が良く分かんない本でしたけどねー」(片岡談)

【ケインズ政策】
ダムや道路を作りまくる政策をとった結果、アメリカ経済は上向き始めた。
ドイツも緊縮財政を敷いていたが、ヒトラーが登場して積極財政に転換したところ、経済が好転していった。
エジプトのピラミッドは長らく奴隷が作ったものと信じられていた。
しかし、クフ王のピラミッドの前で遺跡が見つかったが、それは工事現場の遺跡で「二日酔いなので明日は休む」と描かれた石板が見つかった。
これは奴隷ではなくて給料をもらう労働者がやっていたということ。
農閑期で暇な時に農家に金を払ってピラミッドを作らせていたのであれば、これは史上最古のケインズ政策と言えるだろう。

【乗数効果】
小さなショックで大きく不況になったり、小さなプラスで大きく改善したりする乗数メカニズムが存在する。
ほんの些細なことで喧嘩になったり、花を一輪買って感謝を述べるだけで夫婦関係が大きく改善したりする(片岡談)
財政政策は効果があるというが、あくまでも病気(不況)の時に行うべきもの。
しかし役人にとっては使い勝手が良すぎるため、不況ではないのに使いたがる美味しい薬になってしまう。
喉が乾いた時にキンキンに冷えたリポビタンDが冷蔵庫にずらっとあるような状態。
栄養ドリンクなんて飲まなくても良い状況でもグビグビ飲んでしまう。
「俺の実力はこんなもんじゃない。今はたまたま体調が悪いだけなんだ」と人間は思ってしまいがち。
学生とカラオケに行ってイマイチな時には良くそう感じる(片岡談)

【回帰分析豆知識】
回帰分析の回帰はregressionの訳で「戻ってくる」を意味するが、実はこの語源は経済学の調査から来ている。
横軸に親の年収、縦軸の子の年収をプロットしてみる。
このグラフの傾きが45度を超えている時、親が成功すれば子はさらに成功し、孫はさらにさらに成功していくことを意味する。
富めるものは益々富むという二極化社会だ。
しかし実際にプロットして調べてみたところ、親が成功したとしても、子・孫になるにつれて段々と影響が薄れていき、最終的には普通の人に戻っていく様子が確認された。
これはプロット直線の傾きが1より小さい状態を表す。
プロットの直線を算出した結果、普通の子に「戻っていく」過程が見えたことから、名前に「回帰」がつけられた。
散布図から1次の回帰式を導出し、yxの式の交点が安定した普通の子ということだったようだ。

【片岡語録】
・これまで2日間講義をしてきましたが、まだ本論に入っていません。前振り長すぎだろと思われるかもしれませんが、喋り出すと止まらないので。
・ケインズの一般論は誰が読んでもわからない。著者(ケインズ)に質問しても、ケインズも答えられなかったという逸話が残っているくらい。今世の中に広まっているのは弟子のヒックスが書いたケインズの解説論文だ。

・ケインズがアメリカのルーズベルト大統領と面会した後で新聞記者に面談の内容を質問したところ「ルーズベルト大統領の手があまりに綺麗だったので見とれてしまい、何を喋ったか覚えていない」と答えてはぐらかした。

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