2017年3月6日月曜日

20170114



1限は岩村先生のファイナンス。
今日はリスクファイナンスについて。
目新しいことばかりなのでちょっと多め。

【脅威への対応】
・脅威には自己収斂系と自己増殖系の2通り存在する。
・自己収斂系は第2波以降の衝撃が前の衝撃よりも小さく減衰していくもの。こういった脅威については我慢すれば良いだけ。時間とともに収斂していくので、そこまで耐えるだけのリザーブを持っておけば話は済む。慌てて過剰な反応はしないこと。大概の市場リスクや自然災害はこちら。
・自己増殖系は自分をコピーして増殖していくので、時間を掛けているともっとひどい目にあう。パンデミックとかバブル的期待などはこちら。ノードを切り離し、増殖を止めて優先順位を定めて行動すること。
・この2つの脅威に対して対応を分ける必要があるが、混同しがち。
・リスクに対する経営の対応は3種類。リスクを回避/低減する。リスクを選別して挑戦する。ノンコアのリスクを隔離するのがリスクファイナンス

【リスクファイナンスの一例:CAT BOND
CATとはcatastropheのこと。企業が特別目的会社(SPC)を設立してがCATボンドという100億円の社債を発行して安全資産で運用する。金利スワップで少しくらいのリターンは獲得して投資家には安全資産金利を上回る利回りを提供しておく。
・一定の事象が起こった時は元利金支払いを免除するという条項を入れておく。例えば「半径100km以内でマグニテュード7以上の地震が発生した時」のように。地震が起こった時に設備の破損だけでなくお客さんがこなくなることによる営業損失もカバーできるように。これを設計事象と呼ぶ。
・地震が起こらなかったらリターンがもらえた投資家の勝ちになる。
・過去にJA共済連がMutekiという名前のCATボンドを発行したところ、まさに設計事象が起こって元利金償還負担を免れた。
・地震保険と比較してみる。保険加入者は地震が起こっても被害が補填されるので地震対策を行うインセンティブがなくなってしまうモラルハザードが生じる。一方で、CATボンドは災害で被った被害ではなく、災害の発生という事象を問題にしているので、損害自体は問題にしていない。こちらの場合は災害が発生すると企業に利益が生じるため、地震対策をやって置くインセンティブが企業に残る。

【保険】
・保険で重要なことは税効果。長いタイムスパンで見れば事故は必ず生じる。そのために自己資本を蓄え続けていくのはしんどい。災害に備えて30億円の積立が必要だとなった時、自己資本の蓄積でやろうとすると積立30億円に加えて、税金15億円くらい稼がなくてはならない。一方で、保険料は損金に該当するので30億円余計に稼げば良い。
・実は保険会社はずるい。普通の会社は税引後で積み立てなくてはならない一方で、保険会社は毎年入ってくる保険料のうち責任準備金として経費・損金で積み立てておけるから。
PL(製造物責任)保険を簡単に引き受ける保険会社は常軌を逸している。本来は自分が作るもののリスクを他に引き受けてもらうことはありえない。
・そこで子会社としてキャプティブ保険会社を海外に設立して再保険市場を活用する。大きなリスクをたまたま引き受けてしまったとしても、それを他の保険会社に回す。安全になるとは限らないが。リスクはどういった経路で濃縮されるかというのは、多くの経験を積まないとわからない。
・企業は節税しながらリスク対策ができるようになる。
・再保険市場における保険料はハリケーンが上陸すると猛烈に上がる。大きなリスクが発生すると後追いで保険料が上がる。時間かけて返すのが保険マーケット。最近ではメキシコ湾でハリケーンが発生しただけで世界中の保険料が上がるようになっている。アメリカ人は海の近くに家を建てるのが大好きで、災害被害保険にも入ってる。
・日本では台風19号事件が日本中の保険会社を震い上がらせた。規模も大きく普通は上陸しない北海道や東北地方に大きな損害が出た。沖縄と違って台風の備えをしていない分、被害も大きかった。
・それでも保険が重宝されるのは、他のリスクに連動しない=ポートフォリオ投資している投資家にとっては美味い案件。景気とダイレクトに連動するわけではないのでβ値が低い。

【岩村語録】
・最終回のディスカッション用レポートは提出後に受講者全員に即公開する設定とする。締め切りまでは何度でも再提出が可能としておけば、他の人のレポートを参考にしながら書き直すこともでき、ゲーム理論的な動きが生じる。このように全員に優しくすると、全員が悪夢を見ます。
・間違った経営戦略は存在しない。どんな説明もできるから。でも間違ったファイナンス理論は本当に間違えている。間違ってるか分かってない先生の人気は上がるですけどね。
・「突撃!」という日本語にマッチした言葉はない。英語では「follow me!」になって指揮官が先に突っ込んじゃう。「follow me!」とする国では将校の戦死率が高い。2回も戦争するとエリートが壊滅してしまう。ベトナム戦争の時、アメリカの海兵隊戦死者の3分の1が将校だった。本当は兵隊数十人に1人しかいないはずなのに。一方で、日本の将校はたくさん帰って来る。
・ファイナンスに高度な数学が必要と誰が決めたんだか。全然高度じゃない。
・数学は1+1=2 間違ってることが明らかになるから難しい。数学という学問は簡単にイメージを作って、厳密に証明する。前者が貢献とされ、後者は「職人」と(悪い意味で)呼ばれる。
・講義も最後の方だから余計な話をたくさんするんですが。  

2限はファイナンスのグループワークの打ち合わせ
1つの企業を選び財務戦略の提言を報告するのがお題。
議論した結果、岩村先生の授業らしい発表にするべく財務寄りのプレゼン方向性を打ち出すことに。
何発表してもサンドバッグにはなるだろうし(笑) 夕方まではレポートやケースの読み込みで過ごす。


そして夜は淺羽ゼミの新年会。グローバルプログラムの皆さんと合流する機会は少なくて楽しかったし、 淺羽先生がカラオケ最高点をたたき出したのは面白かった

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