2017年3月6日月曜日

20170120

金曜は枝川先生の「経営と脳科学」


冒頭は脳科学をテーマにした意思決定のグループワークプレゼン。意思決定は結果に対する価値を評価し、その価値を最大化させる選択肢を選ぶこと。個人によって価値を導く関数が違うので、パラメータだけ揃えても必ずしも合意できるわけでもなさそうやね。
その後は「リーダーシップと感情マネジメント」「行動経済学と神経経済学」の脳科学の講義。

【リーダーシップと感情マネジメント】
・リーダーは人格と結びついているが、リーダーシップはスタイルのこと。組織コントロールスキルは感情的(扁桃体・頭皮質)と理性的(前頭前野)で分類できる。
EQIQの反駁として誕生した感情面の知性で自己認識・自己統制・動機付け・共感・社会的技能の領域をもつ。後半2つの能力が社会性に影響を与える。
PM理論はPerformance(自身の業績)とMaintenance(組織の維持)の2軸で分類する。脳科学的にはPerformanceが報酬系で、Maintenanceが情動系の機能に該当する。
・扁桃体は情動系なので素早く機能して刹那的な選択肢を選んでしまう。行き過ぎた場合は前頭前野が働いてブレーキをかけるべきところだが、子供など未発達の場合は十分機能せず低次の衝動的な欲求に行ってしまう。高校生はまだ未発達で日本人では25歳くらいまでかけて成熟する。

【行動経済学と神経経済学】
・標準的経済学は完璧な経済的合理性を追求する人から構成されている。失敗もしないし後悔もしない利得を求める人々が合理性を追求する(ゲーム理論)中でも均衡点に早くたどり着いた者が勝つ社会を想定している。でも実社会は繰り返しゲームの世界。
・行動経済学は経済活動に関する人間心理・消費者行動を調べる学問。人は非合理行動もとるし、結果に後悔もすると想定している。行動経済学的行動の原理は自己の満足度をパラメータとする点と、認知負荷が軽い選択肢を選びがちという点。
・行動経済学のベースは行動ファイナンス。これは投資家心理に基づいた市場環境の分析で「市場は効率的なわけではない」とするもの。さらにその元はプロスペクト理論(限界合理性)。効用感は逓減し、損得で非対称になっているため、得する感覚よりも損する感覚の方が大きい。
・神経経済学は意思決定の脳科学。均衡(結論)に達するまでの意思決定のインセンティブを解明すること。AIとビッグデータ解析が発展すると、消費者行動から消費者認知科学に行けるかもね。

写真は16日の授業で紹介された『天才』(宮城音弥:岩波新書)
1967年(今から50年前!)の本で、上手にこなすスキルを持つ能才・人とは異なるスキルを持つ異才・スキルがない無才・真の創造を生み出す天才と分類している天才学の本。
本著では世界中の著名な天才のエピソードを紹介しているが、社会不適合エピソードが満載(むしろ、それしか書かれていない)
最終的に著者は「天才は不適応者だ。社会的適応性を犠牲にして創造作用を行なう人間だ」という結論に至っている。

常人の限界を超えた領域まで飛び出せるくらい精神に振れ幅を持っていて、振り切ったタイミングで創造活動を行うことで名曲・名作を作り上げたのではないかなぁと思う。


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