浅羽先生による「おぼろげなタイトルの著書紹介」でスタートした入山先生の講義@グローバル経営研究会。
「企業のグローバリゼーションを考察する上での経営学的視座」
秋学期グローバル経営の授業のダイジェストのようなエッセンスの詰まった110分。
1)グローバル化
ゲマワットの研究紹介。
世界はフラットではなくセミグローバルな状態で、経済活動においては世界全体の合計よりも国境の存在が重要。
2)グローバル企業
ラグマンの研究紹介。
Firm Specific Advantage(企業固有の優位性)を持ち、海外で勝てる会社をグローバル企業と考える。
真のグローバル企業であれば世界で満遍なく勝てる=世界で満遍なく売上が立つ=経済規模に比例した売上構成になるはず
しかし、このような基準を満たす企業は360社中9社しか無かった。
360社中320社は自国のある地域からだった。
3)グローバル人材
バートレットとゴシャールの研究紹介。
スケールメリットを追求しながら、各国の状況に対応し、企業内での知識交換ができる。
・・・そんな人材はいない。
<1>AAAフレームワーク
ゲマワットのセミグローバリゼーションの考え方に基づくフレームワーク
- Agglomeration(特定の地域に集積して得られるメリット)
- Adaptation(特定の商慣習に適応させて得られるメリット)
- Arbitrage(為替や労働コストの違いといった国と国の違いを活用して得られるメリット)
この3つのどれかを生かしていくことが重要。ただ3つともやるのは至難の技。
今の日本企業はどのAを取りに行っているのか、曖昧な戦略になってしまっている。
<2>ビジネスに影響を与えるのは国と国の違いが産むリスク要因
経済規模や一人当たり所得よりも、国境の存在・政策制度・歴史的背景の違いの方が遥かにインパクトが大きい。
このような非経済起因を過少評価してしまいがち。
- Cultural(国民性)
- Administrative(制度)
- Geographical(地理的距離)
- Economic(所得格差)
可能であれば、この4要素をできれば定量的に測定するべし。
特に上2つのインパクトが大きい。
国と国間の法制度・政治の違いに起因するビジネスリスクのインパクトが大きくなっている。
司法制度が整っているからマーケットで取引ができる。逆に、司法制度が整っていない新興国で戦うなら非市場戦略が重要。
<3>地域的な強み
強みがあれば世界で満遍なく売れるはず、というのが思い込み。
強みは自社だけでなく自国地域という地理的な部分に根ざしている。
発揮しやすい国とそうでない国があるはず。
<4>3タイプのマネージャー
バートレット&ゴシャールの研究では、3タイプのマネージャーのどこかに集中すべき。
- Functional(機能ならどこでも)
- Business(事業部ならどこでも)
- Country(その国の中なら何でも)
日本企業は中途半端な人材育成になっているような感じ。
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