2017年4月14日金曜日

20170413

木曜は筑波大学・立本先生の製品アーキテクチャ論

今日は学術的なアーキテクチャ論のイントロダクション。
アカデミックな話題でとても興味深い。

【複雑人工物アプローチ】
人工物が複雑になると共通して現れる特徴を調べていく研究からスタートした。
ここで言う人工物は製造物だけでなく都市設計など概念はとても広い。
1962年のサイモンの研究が組織管理に応用したのが元祖。
1990年のヘンダーソン&クラーク先生がアーキテクチャをベースにしたイノベーションにはある特徴があることを見出した。
イノベーターズジレンマのクリステンセンの研究と同じ根っこ。

【複雑な人工物が共通して持っている特徴】
  • 設計要素が多く存在する
  • 設計要素間に依存性がある
  • 複雑なまま放置されるわけではなく、自然とモジュールとして現れる

「モジュールの中」と「モジュールとモジュールの間」に分けて考えることができる。モジュールをどこで切り分けるか、境界線の引き方は複数種類存在する。
元々は「外部環境に適応したアーキテクチャが自然と選ばれる」と想定していたが、現在は「アーキテクチャは戦略的に選択可能である」と考えられている。

【アーキテクチャ・フレームワーク】
  • 全体の無数の要素をそのまま認識するのではなく、機能や依存性であるひとくくりを作って塊(モジュール)として認識し、階層構造を持つ。人体を無数の細胞の集まりと捉えるのではなく、皮膚・筋肉・骨とか、頭・体・腕・足など塊を作って認識するがごとし。
  • モジュールは短期的には独立して動く。個々の部品は独立であり、部分の和が全体になると近似して考える。
  • モジュールは長期的には影響を与え合う。当然、モジュール間の相互作用を無視した近似は長期的に回せば破綻するので、部分の和は全体と乖離してしまう。


【1990年代の研究】
製品の設計要素のレベルの技術進化であれば、担当する組織が対応できる。
しかし、モジュールのインターフェースで生じたアーキテクチャに関連する技術進化の場合、組織と組織の隙間に落ちてしまう。何か変化が起こっていると認知はしているものの、組織構造を変革してまで対応すべきかの意思決定ができずに失敗に終わる
アーキテクチャイノベーションは新アーキテクチャの技術に主眼を置いていた。
クリステンセンは新アーキテクチャを需要する顧客が発生するのに既存企業はそれを見落としてしまうとしてイノベーターズジレンマを提案した。

【考察メモ】
インテグラル・アーキテクチャは短期的にもモジュールが独立と近似できないため、モジュールと機能を1対1対応に切り分けられない。ゆえに1箇所のインターフェースが画期的に進化したとしても調整に手間取ってすぐには対応できないのでは。

モジュラー・アーキテクチャの場合、新規企業がインターフェースにオープン標準を使うことで、付随するネットワーク効果を活用できる。新たなプラットフォームを形成して補完財企業など産業全体を巻き込んでいくと大きな変革が生じる。既存企業は従来のプラットフォームを手放したくなくて対応が遅れるのかな。



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