2017年3月6日月曜日

20170305

『マッキンゼーが予測する未来 近未来のビジネスは4つの力に支配されている』(リチャード・ドッブス、ジェームズ・マニーカ、ジョナサン・ウーツェル著 吉田直人訳:ダイヤモンド社)


赤い表紙なので赤いMSを添えて。

マッキンゼー社内の独立シンクタンクが、世界中のマッキンゼーのコンサルタントが持つインサイトをベースにし、学術的アプローチで超長期予想をまとめ上げるという骨太な内容。400ページ超の大作。


1:上海を超えて−異次元の都市化のパワー
新興国を国のGDPで見るのではなく、その中の都市を中心として市場が爆発的に拡大していくという現実が解説されている。
上海・ジャカルタ・サンパウロと聞くと「成長著しい新興国の都市」と分かるかもしれない。しかし、クマーシ・スーラット・フォーシャンと言われてピンと来る人は少ないだろう。今は無名の440の新興都市が2025年までのGDP成長の半分を占めると聞くと驚きである。

2:氷山のひとかけら−さらに加速する技術進化のスピード
デジタル化・遺伝子解析・再生可能エネルギー・ロボット・人工知能、そしてこれらをつなぐネットワーク技術。技術進化や製品サービス普及のスピードは極端に速まっており、意思決定&経営資源投入のタイミングを誤ってしまうと乗り遅れて新興企業に滅ぼされてしまう。

3:年齢を重ねる意味が変わる−地球規模の高齢社会の課題に対処する
経済成長&出生率の低下で、アフリカ以外は高齢社会に突入して世界人口は劇的に老化している。人類史上初の「人口成長が止まってフラットになる時代」が先に見えてきている。年配者をターゲットとしたマーケティングに切り替えていく必要がある一方で、年金や保険といった社会福祉の負担も大きくなり、政府もイノベーションが必要になってくる。

4:貿易、人間、金融とデータの価値−音速、光速で結び付く世界
人・モノ・サービス・金が世界中でクモの巣のようにネットワークを張り巡らせている。グローバルな繋がりが生み出す価値が、世界のGDP成長の15%〜25%を占めており、グローバルな繋がりが大きい国は自国のGDP成長率自体も高い。良いネットワークもある反面、株価の乱高下や自然災害の影響を受けるスピードや強さも速まっていて、敏捷性が重要になってくる。

後半はこれら4つのトレンドに対して、今まで頼ってきた直観力をリセットして備えなくてはならないという点を述べている。
ビジネスの変化の波が大きい状況は今後も継続していく。「様子を見てから我が社も参入するか」と変化が落ち着くのを待っていたら周回遅れに沈んでしまうのがオチ。
技術進化・変化によって、2020年までに生産性が上がって低スキル労働者に9500万人の余剰が出る一方で、高スキル労働者は4000万人足りないという「スキルギャップ」が常に存在する時代になっている。仕事を再定義して割り振り直し、教育を常に心がけていないと何もできない状況に陥っていく。

ただの予想本ではなく、色んな箇所に執筆時点でのファクトベースの状況が細かく説明されていて大変納得感の強い本だった。
グローバル経営でも「国ではなくて都市を見よ」と教わったけれど、確かにそのように進んでいるのだな・・・と痛感。

文章みっちり型でこの厚みだとなかなかに心を折られかねないけれど(笑)今後世界をどう見ると良いのか、新聞やニュースを読むときのフックをくれそうな感じ。


0 件のコメント:

コメントを投稿