火曜は伊藤先生の「組織の経済学」
今日から広い901教室。
【集権化と分権化】
分権化して現場に任せるといっても、現場からすれば「いつ決定権限が取り返されるかわからない」という問題がある。
- 局所情報の利用(集権化× 分権化○):現場で得た情報を活用して意思決定ができる。中央に情報を集めるのは難しい。
- コントロール(集権化○ 分権化×):組織全体で最適な意思決定ができる。現場に任せるとコントロールから離れ、望ましくない結果が得られる可能性がある。全部現場に任せると、複数の事業がバラバラに動いて全社的なコーディネーションにも失敗する。
- モチベーション(集権化× 分権化○):現場がやる気を出す。中央で意思決定をすると現場はやる気を失う。
<なぜ情報は組織内で伝達・共有できないのか?>
- 伝達共有することが難しい情報が存在する。パフォーマンスに関する情報(数字)はすぐに伝えられるが、ソフトな情報(現場の雰囲気・やる気)はなかなか伝わらない。
- 現場から本部に上がってくる段階で意思決定スピードが失われる。
- モチベーション問題(戦略的情報伝達問題)現場が本部に対して伝えたいことは伝えるけれど、伝えたくないことは隠したり歪めたりする。伝えたくない時には現場と本部との間に利害対立が存在する。利害対立が大きい場合は、分権化でも集権化でもマイナス効果が生じる。
<コーディネーション問題&戦略的情報伝達>
- 集権化:垂直的なコーディネーションを行い、外部環境の変化に対応しやすい
- 分権化:水平的なコーディネーションを行い、部門間の調整はお互いにやってもらう。
- 「本社(企業全体)と各事業部」と「事業部と事業部の間」の間で、どちらがお互いの目的に乖離があるか(利害対立があるか)を把握しておくべし。事業部間の方が大きいのかもしれない。
- 環境適応とコーディネーション(全体最適)との間にはトレードオフが存在する。(野村証券が2017年4月に営業体制を変更した)
【企業(組織)文化】
「私は企業文化を感じることなく生きてきた人間なので・・・」
経営学者の定義:共有する価値観
経済学者の定義:契約やルールがない時にとるべき行動を決定するもの
共有された仮定・価値観の役割
- 同質性があるためモチベーションも高く、コーディネーションもしやすいために権限移譲しやすい。
- 情報伝達に歪みが少なく、社内政治の必要性が小さい。
- 一方で、新規の情報獲得インセンティブが弱く、新たな探索をするインセンティブも弱い。
- M&Aで文化の衝突が起こるとどうなるか?
- 同質性の源泉は採用のマッチング。採用後の学習 共通する成功体験に基づく
情報伝達を容易にする役割
- マネージャーが写真を言葉で説明して相手に選ばせる経済実験を行なった。
- 20回繰り返すと、お互いの中で「同じ写真をある言葉で表現する」という合意が成り立ち始め、スピードが早まっていく。
- M&Aを想定してメンバーを新たに追加しても、一旦は意思疎通のスピードは落ちるがやがて合意がスムーズになっていく。
予見できない事業をカテゴリー化する役割&慣習としての役割
- 信頼ゲームが繰り返される長期的な関係である場合、裏切ったら次回以降はずっと相手に裏切られてしまう。そこでお互いに信頼しあうことが均衡になる。
- 信頼に応えるか・裏切るかは曖昧な概念。事前にどちらの行動をとったのかを定めておくことはできないし、予見できない事象が起こることもある。
- 複数の均衡がある場合、どちらの均衡を選ぶべきかがあらかじめ分かっておくが望ましい。事前に明記できない時に、企業文化が有効になる。
<良い企業文化とは:新原氏の定義>
- 従業員の行動目標と経営者の理念が同質化していること
- 企業文化に従えば、経営者と同一の方向で従業員が意思決定を行うことができる。
- 「利益を通じて世のため人のためになる」ことを入れて置くと、利益偏重のインセンティブを持たせずにすむ。
経済学者のリーダーシップの定義:着いてくる人がいる
なんてシンプル!(笑)
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