2017年5月11日木曜日

20170511

木曜は立本先生の「製品アーキテクチャ論」

立本先生「みなさん、GWはどうでしたか?私はずっと駆り出されてました」
忙しい方だ・・・

【おさらい】
1.ネットワーク効果をどのように設計するか?
「ネットワーク効果が働くとビジネスエコシステムが生まれる」
欧米の研究者は所与の条件として研究したが、日本の研究者は所与ではなくて戦略的に設計できるのでは?と考えた。

2.複数市場のマッチング(二面市場戦略)
仲介するぶんだけ儲かる。Googleがどうして利益が取れるのか?
市場のオーバーラップがないときに有効。

3.複数市場の囲い込み(バンドリング戦略)
抱き合わせ販売で儲かる。
市場のオーバーラップがあるけど小さいときは経済的バンドリング(単品+セット販売)
市場のオーバーラップが大きいときは戦略的バンドリング(セット販売)

ネットワーク効果が存在すると2・3の戦略効果が拡大する。

<プラットフォーム企業が国際展開>
  • 各国の独禁法の影響が懸念される。プラットフォーム企業はアメリカ企業に集中していて、地場企業のイノベーションを阻害しているかも?
  • 日本にはグローバルに展開しているメジャーなプラットフォーム企業がない。むしろやられている立場なので、なぜなんだろう?という素直な疑問を持って日本の研究者が開拓した。
  • 東アジアの経済成長はプラットフォーム企業の影響が大きいのではないかという着眼点もある。台湾・韓国の半導体産業など


GSM携帯電話の中国市場携帯の事例分析】

GSM通信システムのアーキテクチャ>
ネットワークサブシステム:交換機(モジュールオープン度:80%超)
ベースステーションサブシステム:基地制御装置基地局(モジュールオープン度:9%
モバイルステーション:携帯端末(モジュールオープン度:3%

  • アメリカ・ヨーロッパ・日本はグローバル標準を作る力はあるけれど、真のグローバル標準になるかどうかは「中国など人口が多い地域で受け入れられるかどうか」で決まる。携帯電話は1999年くらいから急激に伸びた。中国はアメリカのCDMAとヨーロッパのGSMを天秤にかけながらやっていた。
  • 携帯の仕様は元々各国のナショナルキャリアがファミリー企業と一緒に作るから仕様書がない。インターフェースがオープンである必要がなく、全体で規格をしっかり作ることがなかった。ヨーロッパではたまたまこの時期にEU統合があって、全体で標準を定めることになった。
  • モジュール自体のオープン度もサブシステムによって、技術情報をしっかり書いてある(携帯端末)場合もあれば、項目しか書かれてない(交換機など)場合もある。
  • 交換機-基地局制御装置の間、基地局と携帯端末の間のインターフェースはオープンにしたが、基地制御装置基地局のインターフェースはクローズで独占的にした。中国に参入する10年前(1988年)に決まっていた。
  • 携帯端末はオープンなので普及していくと基地局を増設しなくてはならないが、基地局と制御装置の間のインターフェースがクローズだと大元の制御装置のメーカーしか支給できない。初期に制御装置を納めた企業が有利になるようにできている。安く多様性のある端末が大量に出るほど、基地局ビジネスが儲かるようになる。
  • 端末マーケットが増加(9年で台数が10倍)すると、メーカー数も増えた。メーカーの国籍シェアで見ると、中国地場企業の割合が増加して2007年には5割くらいになった。
  • 基地局マーケットも増加(9年で6倍)するが、メーカー数は増えていない。ある種の独占が発生している。こちらは地場企業の参入は起こらず、ずっとヨーロッパ企業が高いシェアを維持した。
  • これは中国企業が基地局を生産できないという技術力の問題ではない。現にアフリカなどでは基地局マーケットに入っていたし、CDMA規格では6割のシェアを確保できた。エリクソンやノキアなどが初期の段階で参入したがゆえに締め出されてしまった結果と言える。基地局の価格自体もプレミアム価格を維持できた。
  • 全部クローズドだとこのような成長はできなかった。ローカル企業もやりやすかった。半分クローズドにしたことで、利益を取れる基地局を確保できた。高い利益率を保ったままスケールできる。
  • 次の世代の規格も既存のインフラを制している企業は寡占が維持しやすいように互換性のある規格を好むし、支配されている状況を打破したい組織は新規格を望む。
  • International PLCの研究において、従来は産業の国際的な移転は20年~30年のスパンで起こっていた。しかし、携帯電話は5年~6年という短期間で起こっている。


【半導体製造装置産業の実証分析】
本論に入る前に回帰分析の勉強。

<回帰分析の復習>
説明変数を使って、非説明変数(売上・満足度などパフォーマンスが多い)を説明するモデル。
これによって原因(変数)が沢山あった時に、他の影響を除外してある原因の影響度を調べる。

データがフィットするようにβを求める。
Y=β0+β1X1+β2X2+β3X3+β4X4+・・・+βkXki+εi i=1,…., N

Y:非説明変数・目的変数・従属変数とも呼ぶ。結果やパフォーマンスに関する変数
X:説明変数・独立変数
β:偏回帰係数 影響の大きさ
ε:残渣・誤差
N:観察数・サイズ

販売施策Xと企業業績Yだけで回帰式を作っても、景気Zを考慮しないと意味がない。景気Zの影響を考慮した上で、販売施策Xが企業業績Yに影響があるかを調べるのが回帰分析。このZのことをコントロール変数と呼ぶ。
原因をX軸に、結果をY軸にしてプロットするべし。

  • おじいちゃん先生は「手計算が重要」と言いますが、一生生きてても無駄な知識です。エクセルでもブラウザでもできますから。
  • 説明変数の回帰係数の値はモデルの中身の指標(ミクロ的な指標)観察数・決定係数・F値などはモデル全体に関する指標(マクロ的な指標)
  • 観察数:多ければ推定結果の精度が上がる。モデル× 20以上が望ましいと言われている。
  • 決定係数:モデルがデータを説明しているかどうかを表すが、さすがに0.1以下だと小さすぎる。実務的には0.5くらいは欲しい。
  • 自由度調整済み決定係数:説明変数の個数を大きくしていくと決定係数は高くなっていくという副作用がある。モデルがきちんと説明しているのか分からなくなっていくので、説明変数の数で割り引く調整をしたもの。12個の時は影響ないが、5~10個入れている時は見るべし。
  • F値:誤差を分母、モデルで説明している部分を分子に置いて計算したもの。モデルがよく説明していたり、誤差が少ないほどF値は大きくなる。モデル全体が誤差かどうかを見ている。
  • p値:真値がゼロであるβが、偶然のバラツキでその値を取ってしまう確率


<分析結果の見方>
  • 1マクロ的指標を見る。決定係数が低すぎる時は偏回帰係数を解釈しても意味がない。
  • 2偏回帰係数の正負の符号を見る。仮説にあってるか否かを見ておく。直感と符号が異なる場合は「1 仮説が間違っている」「2 回帰モデルが間違っている(コントロール変数が含まれていない)」の可能性があるので考え直す。
  • p値を見て統計的有意か(誤差ではない)を確認する。
  • 4偏回帰係数の値が十分意味があるかどうかを確認する。実務的に値がどうかを判断する。

1~3までは統計学的判断、4を実質科学的判断と呼ぶ。
納豆を食べると寿命が伸びることが有意だったとしても、1日に食べる量が100パックを超えていると統計的には優位でも実質的には意味を持たない。

<交互作用モデル>
積の項を加えたもの。
Y=β1X+β2Z+β3XZ
=β1+β3Z)X+β2Z
Z:調整変数(モデレーター) β1:主効果 β3:交互作用効果
Xの効果はZの水準によって変化する。
マージナル効果(β1+β3Z)をグラフにして見ると、Zの大きさによって分類して有意な部分を分類する。

初期のAIは交互作用を見ながら最大化するように抜き出してきたもの。やりすぎると人間が説明できなくなってしまう。



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