2017年5月30日火曜日

20170529

今日は嶋口内田研究会で井上 達彦先生の「イノベーションは模倣から生まれる:ゼロイチ神話を超えて」の講義

講義内容もさることながら、スライドの構成といい、ワークの挟み方といい、講師として見たときに学びが多かった!

【良い模倣・悪い模倣】
  • キャラクターのパクリなど幼稚・低技術・ただ乗りなどは悪い模倣と見なされる。
  • iPodやマクドナルド、ウォルマートなども模倣から生まれている。イミテータのコストは先駆者の60-75%で済み、先駆者は2.2%程度の現在価値しか保持仕切れていない。
  • 模倣する企業は先駆者の問題点を克服してキャズムを飛び越えてマジョリティをつかむことができた。「模倣されて困ってる」と嘆いているような企業は落ち目と言って良いかも。


【競争への対応としての模倣】
  • 迅速追随:攻めの姿勢の模倣(事例:マクドナルド)同業のパイオニアを追い、結果がわからないうちにリスクを負って真似する。
  • 後発優位:資源優位の模倣(事例:コカコーラ)同業の成功者を真似する。缶コーヒーのUCCは自販機設置台数が16万台程度でチャネルが弱かった。コカコーラは70万台の自販機を有していたので成功するかどうかを見てから参入すればよかった。
  • 同質化:負けないための模倣(事例:400万台クラブ)同業のライバルに倣う

将来どうなるかわからない、自分だけ違うことをした逆張りがどうなるか分からない状況下における守りのための模倣と言える。

【イノベーションとしての模倣】
  • 正転模倣:遠い世界の模倣教師 遠い世界のお手本に倣う(事例:ニトリ・ヤマト運輸)異国・異業種、過去のお手本を模倣する
  • 反転模倣:近い世界の反面教師 身近な悪いお手本から良い学びをする(事例:グラミン銀行)同業ライバルの逆転の発想


【守破離】
  • 守:師匠から徹底的に型としてならう。
  • 破:遠くの世界の模範、身近な世界の反面 あえて教師の教えを破る。習熟し能力がついてくると自然にこれを破る。別の流派や世界のもう一人の師匠が契機となることもある。
  • 離:合わせて一つにし、独自に発展させる。守でも破でも片輪。これら2つを離れて名人の域に達する。


新幹線の300系はトンネルを出る時に騒音がしてスピードが出せなかった。粗つぶしをしても限界がある。水の中に魚を捕りに行っても、水を跳ねないカワセミのフォルムを参考にして500系が設計された。部分解を集めれば全体解になるとは限らない。

  • 意外な会社がお手本になる。
  • 「異国のビジネス」「異業種のビジネス」「過去のビジネス」
  • 自分のテリトリー以外のところに目を向けるべし。
  • すぐに頭に思い浮かぶものを集めるな。温故知新。ある種のアナロジーから知見を得る。


【意外なお手本の分析】
物事は全て立体で、四次元(時間軸を加える)で表さないと本質というのは分からない。一枚の絵を見た時に、その絵の奥行きはもちろん、その世界の空気や温度や時代背景までも観察するべし(Byニトリ)
良い模倣が垂直的な動きであるのに対して、悪い模倣は水平的な横滑り(By楠木健)

3つのレベル>
1:原理 メタファー
2:構造 アナロジー
3:型 モデル

  • メタファー:純粋な発想で、論理的よりも直感的。強引に結びつける強引さが大事。論理に飛躍がある。(事例:たまごっちとコムトラックス)
  • アナロジー:お手本としてのビジネスと対応関係があり、構造的類似性を持つ(事例:ピアノと大型バイク)
  • モデル:対応関係がより明確。地理的に変えるとか(事例:ebayとタオバオ)
  • 高く抽象的にすると、導入と適用に落とし込む時に苦労する。


<競争戦略の本質>
非競争の状況を10年がかりで築くこと 王道は差別化
10年後に競争しなくてすむ状況を作る。製品レベルと仕組みレベルがある。

模倣できない仕組みをどのように築き上げるか?
「模倣できない仕組みが、模倣によって構築されている」というパラドックス。
無から有は作れない
異業種からの創造的模倣によって構築されている。



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