2017年7月23日日曜日

20170723

『経営の針路』(平野正雄:ダイヤモンド社)

WBSの名物教授、平野正雄先生がご自身のマッキンゼー・カーライル・アカデミアのキャリアの中で読み解いてきたメガトレンドを解説した著書。

世界動向について、平野先生ご自身の経験に基づいて抽象化し、モデル化して説明している。
マッキンゼーのコンサルによるガチのロジック本かと思いきや、割と視点をマクロに据えた優しい語り口で解説してくれているので読みやすい。
「時代」とか「流れ」を知りたい人にはオススメ。この視点は世界史を学ぶ上では重要なポイントかと。


時代については時系列で3つの物語に分類している。
  • 2度の世界大戦を経て、世界経済が復興していく時代
  • 成長が鈍ってきた先進国の経済成長を活性化させるために、規制緩和を行う新自由主義の勃興と、マネタリズムに基づく金融膨張の時代
  • シリコンバレーを中心としたネットワークなどデジタルの時代


時代の切り口としては3つで切り分けて解説している。
  • グローバル:全世界的なバリューチェーンの再構成
  • キャピタル:金融イノベーションによる資金供給体制の確立
  • デジタル:産業の情報化と情報の活用技術


日本企業の不振要因は以下に集約される。
  • 戦後の供給力を最大化させる取り組みの成功体験を引きずり続けた。
  • 現状維持のまま長期的に存続するための打ち手に終始した結果、家族のような経営という印象を持たせつつも経営に甘く従業員に厳しいガバナンスを作った。
  • デジタル時代の変化に対応することなく目の前の機会を見過ごし続けた。
  • 日本人的な考え方が悪かったわけではなく、戦略的思考が乏しく、思考停止になっていたことが問題。今こそ戦略と組織に投資して磨き上げるべし。
  • 今までは企業価値向上という投資家の理論と、法令遵守の理論で生きてきた。これからは社会的倫理規範もガバナンスの1つとなりうる。


0 件のコメント:

コメントを投稿