今日は野口先生の講演会
<なぜこの問題を考えなくてはならないか?>
- 実用的な量子コンピュータの登場が予想よりも早くなりそうで、発展が急速である。
- 実用的な量子コンピュータが登場すると、仮想通貨やブロックチェーンなどインターネットのセキュリティが破壊されてしまう可能性がある。それだけを捉えて言えば、インターネットの世界を破壊してしまうかもしれないが、事態はそこまで簡単ではない。
- 量子コンピュータは何でもできるわけではない。守る方も技術開発が行われている。量子コンピュータに耐性のある暗号や署名も開発されつつある。この辺りはまだ不確実な問題も多い。全くダメになってしまうわけでもないだろう。
<なぜ問題が起こるか?>
- 今のインターネットのセキュリティは暗号化技術が適用されている。
- 電子署名:アリスがボブにBTCを送った。誰でもないアリスが書いたと言うことを証明する仕組み。後になって「送ってない」と言い張ることはできない。とても重要。このために使われているのが公開鍵暗号。秘密鍵・公開鍵の2つがあって、公開鍵は誰に知られても良い。平文のメッセージを公開鍵で暗号化し、それに対応した秘密鍵でないと開けられないようになっている。
- 問題を解くための数学的な公式は存在していないため、いちいち数字を入れて確認しないといけない。膨大な計算が必要なので従来のコンピュータでは実質解けない問題だった。しかし、量子コンピュータはこれを高速に解けるかもしれない。解くためのアルゴリズムは開発されている。今の公開鍵暗号は破られてしまうだろう。
<量子コンピュータ>
- デジタル型:量子ゲート方式が開発されているが、まだ幼稚な段階。私たちが普段使っているのが32ビットだが、今開発されているのは5〜7ビット程度 。17ビットの量子コンピュータができるだろうと言われている(IBM)
<量子鍵配送>
共通鍵(フォトン)を送る。途中で光子が盗聴されるかもしれないが、量子では観測すると確定する。途中で誰かが観測してしまったらその人が使った基底に収束してしまう。盗聴されたら作業をやり直す。安全性が確認されたら、ランダムな操作を加えて、アリスとボブとの間で照合することで得られた数字を共通鍵にする。1回使ったら捨てる。
<ランポート署名>
- アリスがボブにメッセージを送るとき、アリスは乱数で秘密鍵を2つの群(0と1)で作る。これは決して人には教えない。
- このハッシュをとり、乱数のハッシュを公開鍵とする。
- メッセージのハッシュを2進法(0と1)で表し、アリスの署名として該当する群の秘密鍵を送る
- メッセージのハッシュをとる。
- これが全部一致すると、アリス本人が送ったと考えられる。
ハッシュから元を割り出す逆関数がない。この演算は量子コンピュータが登場しても破られない。非常に大変な計算をしている。
【参考文献】
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