2017年10月16日月曜日

20171016内田先生:経営者の意思決定【第2日目】

月曜は内田先生の「経営者の意思決定」

ケース部分のネタバレはなし。


【数字を使った意思決定】
  • 期待値で見る:意思決定が早い。計算が早い。わかりやすい。1点だから迷わない。プラスかマイナスか白黒つけやすい。複雑でなくて期待値で済ませられる場合は、期待値で済ませる。期待値は単純化してメリットはあるが、リスクが見えなくなってしまう。これだけでやるのは結構危険。
  • 一番うまくいく時と行かなかった時を見る:ある種の感度分析をやっている。幅でやるということ。幅でやると、うまくいく時とそうでない時の振れ幅がわかる。ただ、幅で示されても合理的な決定はしにくい。
  • リスクプロファイル:リスクの形をあらわにする。確率を基にして、予想される利益分布を絵にして意思決定をする。クリスタルボールなどのモンテカルロシミュレーションを用いるとわかりやすい。金額の多さと確率の組み合わせで意思決定をする。


儲かるかどうか半々でほぼ正規分布している時の意思決定は難しい。期待値がプラスであっても、マイナスになりうる要素があると「お前どうする?責任取れるのか?」と問い詰められて大概潰される。理屈では突破できないってこと。リスクを避ける人はマイナス側を見てしまう。会社全体の規模と、どれだけの失敗を受け入れる余地があるかも考えておく。
80%儲かるけど、20%マイナスが出るという案件であっても、マイナスになったらどうしよう?となってしまう。理屈では説得できない。何回もできるのか、1回しかできないのかで変わってくる。
リスクプロファイルの形は、常に正規分布とは限らない。サイコロなどは長方形の形をしている。確率分布の形がどうなるかを考えておく。

【リアルオプション】
  • 将来行使できる権利をオプションと言います。今決めると損になるものを、今のうちに権利だけ買っておく。意思決定の柔軟性を担保する。
  • 工場を建てることを想定しているが、本当に需要があるかわかるのは1年後。でも、今のうちから土地を探して確保しておかないと間に合わない。その場合は手付金を払って工場敷地を買う権利を買っておく。その後需要が高まれば予定通り土地を買うし、そうでもなければ手付金を捨てて土地を買わないという選択をする。
  • 航空機も納品に数年かかるし、需要予測も難しいのでオプションが使われる。石油の発掘とか新薬の開発でも使われる。不動産も土地を買う時期・建てる時期・運用する時期が違うので需要予測が全然違ってくる。
  • 不確実性が高い案件でリスクを小さくする・コントロールする手法と考えることができる。
  • オプションはいくら払えば妥当か?どうやってオプション価格を算出するのか?それを計算するのがブラックショールズの方程式。不確実性こそ価値を生むというのがブラックショールズ。不確実の方が美味しいと考えて、その美味しさを計算する。
  • 振れ幅が大きい(ボラティリティが高い)時には効果的。

不確実性のマネジメントにはいくつものツールがある。前回のディシジョンツリーも今回のリスクプロファイルも同様。
会社の中期事業計画で、利益目標グラフを1本線だけで描いているというのはありえない。必ず幅を持つはずなので、そこを示しておく。対外的には出さないことはあるけれど、内部資料では幅と確率分布を考えておくべき。


【内田語録】
  • 今日の課題はちょっとめんどくさかったかなと思います。まずボランティアがいますか。ボランティアはしたくないという雰囲気ですな。では、私の方から指名をしてですね・・・自信ない?じゃあ違う人にします。
  • (サンクコストの話の中で)「あの車使わないから売りなさい」って言われるけど、あれだけ金をかけたのだから捨てたくない。俺の車だから好きなように使うという非合理的な意思決定。
  • (リスク選好の話の中で)どうしてあんな人と結婚しちゃうのかなって人いるじゃないですか。
  • 企業は博打を打たないと一皮抜けない。幸運にもたくさん儲かったら僕にリターンを返す。不運にもマイナスになった時でも僕を恨まないように。
  • こないだの授業で千円を掛けた時、僕が負けて借りてたやつ誰だっけ?いらない?男気だね。すぐ引っ込めるよ。
  • 勝てば100万円もらえて、負けたら99万支払う賭けをやるか?期待値で儲かってもやらないだろう。僕は99万円無くしても、黙ってれば奥さんにバレないが、君の場合はバレるだろ?
  • ファイ研の人がいると「内田先生の説明にはおかしいところがある」と突っ込んでくる人がいる。細部はいい加減だけど説明重視です。
  • ハリウッドは投資家に対してリターンが出ないようなスキームになっている。間違ってもハリウッドに投資してはいけない。


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