2018年9月24日月曜日

20180924:羽田クロノゲート見学 WBSものづくり部イベント

WBSものづくり部イベントで、羽田クロノゲートを見学。

巨大物流ターミナルのラインを実際に見学して来た。
荷物が仕分けられていくメカニズムとスピードを実際に見られたのが面白かった。


【羽田クロノゲートの由来】
名前はギリシャ神話の時間の神「クロノス」と日本とアジアを結ぶ「ゲートウェイ」から来ている。
「クロネコヤマトのゲートだからクロノゲートでしょ?」と聞かれるが、そうではない(笑)

【宅急便】
1976年に完投で宅急便サービスを開始し、そこから全国展開。
スキーやゴルフバッグなどのレジャー用大型荷物の運搬や、クール宅急便などでサービスを拡張して来た。
コンビニなど全国22万箇所で荷物を受け付け
地域の宅急便センターに集約
70ヶ所のベースに集約 行き先ごとに仕分け
最寄りのベースまで移動
地域の宅急便センターから届け先へ配送




個人向けの配送だけでなく、法人間の物流にも積極的に進出している。
物流に付加価値を付け、日本の優れた製品や物作りを支援する。

【羽田クロノゲートの構造】


<1F> 
  • 104台のトラックを止めて荷物の積み下ろしができるスペースがある。
  • トラックから荷物を降ろした後、ベルトコンベアーで1Fから2Fに運ばれる。


<2F・3F>
  • ベルトコンベアーで運ばれた後、スキャナーの下を通ると荷物のバーコードが読み取られる。
  • バーコードが読まれたあとは、フランスのファイブイントラロジックス社のクロスベルトソーターに載せられる。


模式図はこちらのノート参照。


  • バーコードが読まれた段階でどのセルに荷物を載せるかが決定され、決められたセルに乗るようにコンベアーから荷物が送り出される。
  • セルの1つに荷物が1つ乗って、荷物のバーコードから読み取った番号とセルの番号が紐づけられる。
  • 1つのセルは580mm×1400mmで、50kgの荷物まで搭載可能。それより大きな荷物はスライドソーターで別途仕分けを行う。
  • 連結されたセルはベルトコンベアーのように連続して流れていくが、行き先ごとにルート分岐するポイントで進行方向に対して垂直方向に荷物をスライドさせることができる。これによって、荷物の届け先に応じて全国70箇所のベースに自動で振り分けることができる。
  • セル1つに荷物1つになるように他のコンベアーなども同期している。
  • 移動速度は時速9.7kmで、荷物が振り落とされない範囲の最高速度。
  • 建物内を循環しているため、カーブの遠心力で振り落とされないように荷物がセルの中央部に来るように自動で調整するリセンタリング機能がある。
  • 24時間365日稼働している。同じ設備が2Fと3Fに設置されており、荷物の少ない時間帯にメンテナンスを行っている。
  • 2ライン合わせて1,336枚のセルがあり、4万8千個の荷物を仕分けしている。10トントラック75台分の荷物に該当する。


3F以上のフロアは「高付加価値物流エリア」として、荷物を運ぶ以上のサービスを提供している。

<3F・4F>
  • 通関業務:輸入品にラベルを貼ってローカライズする。
  • 輸出についてはX線検査など必要な検査に対応できる。


<5F>
  • 東京法人サポートセンター:家電修理など社員の技術研修を行う。
  • 単身赴任者向けに家電製品レンタルサービス:ここで使用済み製品の洗浄を行って次のレンタル用にしている。


<6F>
  • オンデマンドセンター:建物内に印刷機がある。企業からの印刷・発想に対応し、保管しているパンフレットの資材などを組み合わせて印刷から配送までを一括して請け負っている。
  • PCの初期設定(キッティング)サービス:PCやタブレット、スマートフォンの設定をしてから納品まで行っている。
  • 包装試験室:振動試験や落下試験、圧縮試験で梱包材や箱の強度などを試験している。


<7F>
  • メンテナンスセンター:メーカー製品の修理を行っている。提携したメーカーの家電の修理部品をストックし、家電を引き取って修理して戻すまでを一貫して行っている。関東近郊であれば発送した翌日には修理済み家電を返却できる
  • メディカルセンター:手術機械はレンタル品が多い。医療機器を洗浄してクリーニングし、動作確認を行った上で次に使う病院へ配送する
  • Free Rack Auto Pack System:バーコードをかざすと、どの箱の部品を何個入れるかが表示される。部品の入った箱に赤ランプと数字が表示されるので、その個数をピッキングしたら箱のボタンを押す。指定された全ての部品のピッキングが終わるとランプがグリーンに変わって作業終了となるシステム。


<クロノゲートから外へ>
  • 羽田クロノゲートからは羽田空港(国内)・成田空港(欧米)・沖縄(アジア)への飛行機、横浜港・東京港への船便、JR東京貨物などに配送できる。
  • 関西・中部・厚木にも物流拠点があり、スーパーフルトレーラー25という通常の2倍の荷物が搭載できるトラックで多頻度幹線輸送を実現している。
  • 国際クール宅急便であれば、翌日夜にはとれたての魚などを配送できる。香港・台湾・シンガポール・マレーシア・タイでサービス実施。


【集中管理室】
  • 社員カードを静脈認証がないと入れない。
  • ディスプレイ24台、1つのディスプレイにはセンター内の監視カメラ20箇所が表示される。
  • 配送ラインの稼働状況が表示されており、エラーが発生すると赤や黄色に点滅する。



【感想】
  • 「高付加価値物流」という表現をされていたが、やっていることは垂直統合型で配送が必要なサービスを取り込んで領域を拡大している印象。家電の修理&返却とか、印刷&ダイレクトメール配送とか。標準的な内容で良いから早く!というニーズを捉えてそう。
  • 配送仕分けラインは完全に無人稼働を実現。事故っても荷物が破損しないギリギリのスピードへの挑戦っぽい感じ。
  • トラックから荷物の積み下ろしの部分は人力とのこと。この辺りの省力化・自動化も進んでいくのだろう。
  • ラスト1マイルはまだ人力に依存するところもあるが、ベース間輸送などはルートもある程度決まっていて自動運転化が進みやすいのだろうなぁ。
  • マッカーサー元帥の引越しを請け負ったとう歴史コーナーに驚く。
  • 受け付けロビーにいた巨大猫は迫力満点。何を狙ってこの造形にしたんだろう?(笑)




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