2017年3月16日木曜日

20170316

『町の金型屋、世界へ 〜脱・下請けのストーリー〜』(松本芙未晃:幻冬舎)


トヨタの二次下請けの金型工場から、自社で使用していた工具を自社開発することでメーカーへと変化して行ったUHT株式会社の本。
エアーマイクログラインダーという、空気圧を使って精密な研磨をする加工器具の販売が主力製品。
開発・量産・海外展開にまつわる背景を現社長が解説している。


「新たなビジネスの種はすべて日常業務の中にある」と、自社の得意分野を磨き、今ある設備・材料で試作しては販売してフィードバックを得る。
このサイクルを回してきた経緯が当事者たちの関西弁のセリフ付きで詳しく紹介されていてリアリティがある。
組み立て工程や品質管理の職人技を交えた考え方は、技術者にはたまらない描写ではなかろうか(笑)


海外展開は中小機構の支援事業を活用して元商社マンをアドバイザーにつけ、社長+営業担当+中小機構+アドバイザーの4人で現地を回って商品を売り込んでいく様子も詳しく、この規模の企業の事例としては珍しいと感じた。


ものを作っていけば個体差は必ず残るが、最後の手直し加工のためだけに別工場に運んだり外注したりするのは大きなコストになる。現地で精度良く加工ができるというのは、ある意味普遍的なニーズだったのだろうね。



「角が取れて円熟すると、誰もが同じになってしまって面白くない。ゴツゴツした角があると不完全だけど、それが個性。角張ったまま時を重ねる“角熟”が個性ある本物の特徴」と述べられているのはとても興味深い表現だった。


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