2017年4月26日水曜日

20170425

火曜は伊藤先生の「組織の経済学」

意思決定の場をゲーム構造で捉えてモデル化する訓練を積むと、もっとマネジメントが面白くなるのかなぁ。

【トラストゲーム】
自分の選択を見せて相手が選択する逐次手番ゲームでは、ゲームツリーで考えるとわかりやすい。
相手の選択の先読みをするバックワードインダクションが重要。相手が利得の高い選択肢を選ぶと考え、それに反応して自分はどちらが有利かをを考える。
プレイヤー間で信頼関係が出来ていないと、パレート効率的な状態にならない。

【ホールドアップ問題】
ゲームが始まる前は「信頼してくださいよ」と言うものの、いざ相手の選択に反応する時には自分の利得に有利な選択をしてしまい、相手に損を与える問題。
信頼してくれたらきちんと応えることをコミットすることが有効。

ゲームを分析した結果、良い状態になっていない場合は設計を変えることも必要。それがゲーム理論の使い道。

【組織における意思決定】
1決定に必要・有益な情報の収集
2選択と承認
3決定の実行

【決定権】
決定権とは所詮貸し与えられたものに過ぎない。権限を委譲すると言っても、本社に利得が悪いと分かればダメ出しして集権化に逆戻りする可能性がある。それを相手が見越すと、結局権限を持ちながらも集権化と同じような状況になってしまう。事業部のモチベーションを維持するには、本社が介入して決定を覆さないことをコミットしなければならない。

【意思決定の場所】
集権化(本社が意思決定)
分権化(事業部が意思決定)
事業部が本社とは独立に新規事業によって得られる利得が存在する場合、本社と事業部との間に利害の対立が存在し、事業部が自らの利得によって意思決定する状況が存在しうる。

【組織のフラット化】
ミドルマネジメントを取っ払ってピラミッド構造が潰された形のはずだったが・・・
分権化して部下に直接任せたはずが、CEOの関わりが大きくなったことで集権化も同時に進む。

ICTと集権化・分権化】
インフォメーション:分権化に貢献 EPRなど現場が多くの情報に触れられると分権化する。
コミュニケーション:集権化に貢献 メールや会社内ネットワークなどが普及すると集権化する。

<感想>
現場の力量は成果のメリットを大きくすることで、上司の意思決定の力量はゲーム構造の利得の真値をばらつき・偏りを小さく見積ることができる能力ではなかろうか。その上で適切なインセンティブ設計ができるのが良いマネジメントなのかもしれんなぁ。

【伊藤語録】
  • このトラストゲーム実験の結果で同じMBAコースの学生への信頼が透けて見える。よくある結果です。
  • 大学教員の仕事には教育と研究と雑用があるが、その雑用を巧みに避ける人がいる。いかに自分が無能かをアピールすると雑用を回避できてしまう。しかし、そのやり方は分かってはいるけれど、そう見られるのが嫌できちんとやってしまって雑用から逃げられない。無能のふりをして相手に信頼させるのも戦略の1つ。
  • 厄介者の論理というものがある。声がでかく煩く噛み付く人がいると、やがて「あいつはウルサイから言う通りにするか」となってしまう。戦略的にそのように振る舞う人もいる。

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