木曜は立本先生の「製品アーキテクチャ論」
勢いの良いベンチャーのことを「農民一揆」と例えるのが個性か(笑)
【IoT/ビッグデータ/AIが作るビジネスエコシステム】
- データでつながるビジネスエコシステムで、オープンな経済の上に成り立っている。
- センサーや行動からデータセットを集める部分はコンソーシアム側でシーメンス・ボッシュ・SAPが凄く活発に動いている。
- アルゴリズム側ではデファクト標準がとても作りやすい環境になっている。Tensor Flow Google Cloud Platform、Microsoft Azure 、Amazon AWS開発言語・開発環境はコモディティ化しており、誰でも使えるようになっている。デファクト標準の場合、どこで収益を稼ぐかを決めることが重要。
- 機械学習ではCPUの使い方が既存のPC・サーバとだいぶ違う。一番大切なのはnvidiaのGPUになっている。GPUの方が数値演算がやたら速い。Google自体がカスタムCPUを作り、自社のデータセンターだけで使う。大規模なビジネスになって、24時間データを任せられる先が決まってしまう。ここを抑えて自社のアルゴリズムをデファクト標準にしてしまうという戦略もある。
- 機械学習には大量のデータが必要。データをいっぱい使うようなビジネスモデルが有利。
- データをアルゴリズムに食わせて高精度の予測を出すソフトウェアモジュールを作る。同じ予測モデルから派生できるアウトプットを複数のユーザー(運転手・レストラン・店舗・流通)で使い回せるようにしたいところ。
- データを食わせたアルゴリズムはロバスト(堅牢)ではない。過去のデータになかった状況では予測精度は落ちてしまう。アルゴリズムに段階を踏んで難しいデータを食わせるとうまく行くこともある。
- 予測モデルはいかにデータと不可分か?再学習なしにいつまで予測を当てられるか?という問題があるが、おそらく数週間もないだろう。オンラインでずっと学習させておかないと使えない。
- データがサプライチェーンに組み込まれる(供給され続けないといけない)
【根来先生解析】
Microsoft Azureを使った画像解析で根来先生の表情から感情を読み取った。
neutralがほとんどなのだが、happiness・surprise・sadnessの要素が混ざりこんでいる結果となった。感情をフラットに見せつつも幸福感と悲しみと驚きという複雑な感情渦巻いた人だということが明らかになった(笑)
【プラットフォーム企業の研究の歴史】
1990年以前
社内に閉じたプラットフォーム(プロダクトライン)の研究がメイン。
マスカスタマイゼーションの研究の1つとして存在し、製品の共通部品をプラットフォームと呼んだ。フレキシビリティとコストをいかに両立するかという研究だった。
1990年代以降
オープンなプラットフォームが研究されるようになった。自分が使うのは当然で、他の人にも使わせてあげるようにした。主にマイクロソフトの研究
プラットフォーム企業の研究が始まったが、大成功した企業をプラットフォーム企業と呼んだ。
2000年代
プラットフォーム戦略の研究に変わって行った。戦略は成功することも失敗することもある。昔の戦略と何が違うのかを研究するようになった。
経済学の産業組織論の皆さんが加わってきて、企業と企業の間の関係を調べるようになった。彼らは独禁法に触れるか触れないかを判別する理論を作る人たち。
2010年代
プラットフォーム企業・戦略の学祭的研究
「俺のプラットフォーム」みたいになってて、会話があるのやら。
【イノベーション(innovation)の語源】
innovate元々はシュンペーター先生が作った造語。
in:inner 内的な
nov:novel 新しい
ate:change ラテン語語尾 変化
内的な新しい変化のことをinnovateと名付けた。
- 経済学において、イノベーションによる生産関数の変化はもともと外生的に与えられるものと考えられて居た。数式では外から勝手にやってくるものとモデル化されていた。
- しかし、企業活動において生産関数の改善は計画して実行されている。これをない的な新しい変化ということでイノベーションと名付けた。この当時は大企業での中央研究所をイメージしていたようだ。
- アバナシー先生が「生産性のジレンマ」を提案した。product innovationとprocess innovationの2つの関数の合成変数だが、両立はできない。経営者としてはどっちのイノベーションも頑張れと言いたくなるが、両方を同時に実現することはできない。
【戦略的標準化】
- 1つのシステムをオープン領域(技術標準多い)とクローズ領域(技術標準少ない)に分ける。
- コンソーシアムで作られる標準でもオープンな領域は非常に限定的。プラットフォーム企業はオープンな領域への新規参入を歓迎し、助けてあげるくらい。オープンにする前からいた企業は付加価値率が下がることになるが、逆に新規参入する側から見れば付加価値が取れる美味しい市場に見える。
【二面市場戦略】
- A市場のユーザーが増えたらB市場のユーザーが増え、Bが増えるとAも増えるというネットワーク効果が存在する場合、どちらの価格を刺激する(値段を下げる)と有効か?を考える。片方を無料にする(キャッシュバックする)ことすらトータルの利益では合理的な場合もある。
- 2つの市場に手が出せる企業がプラットフォーム企業は業界を跨いでネットワーク効果を出す方が重要。
- Adobeはかつてpdf規格をオープンにしてリーダーを無償配布して読者を増やしたことで、pdfライターを出版社に高値で販売することができた。
- 「普及を促す市場subsidy market」「収益を得る市場money market」と分離されていると、トレードオフのバランスを取らずにアクセル踏みっぱなしで良い。同じ市場でやってると成長と収益のバランスを考えなくてはならないが、二面市場だと役割分担しているのでやりやすい。
- 価格弾力性が大きい(値段を下げるとユーザーが増える)方に安値販売をし、ユーザーの拡大効果が収益市場の拡大効果が大きくなるようにするべし。
【バンドリング セット販売】
<混合バンドリング(経済的バンドリング)>
- 単品販売とセット販売が並存して売上の最大化を行なう。マクドナルドのバーガーとポテトを単品で買うよりはセットの方が安い値付けをすると、バーガーもポテトも選好が同じくらいの人にも買ってもらえるようになる。
- 安く買いたい人には値引きをし、高く買える人には高値を維持していることで、総収入が最大化される。
<ピュアバンドリング(戦略的バンドリング)>
- セット販売しかしない販売方法で、プラットフォーム包含はこちらに入る。相手の参入を阻止したりするために行う。バンドル価格をほどほどに下げることで、独占を維持したまま新規企業の参入を阻止できる。
- 相手の意思決定に自分の戦略が決まり、自分の行動だけで最適な戦略が決まらない。(戦略的依存性)補完財企業の出方に左右される。ゲームツリーで判断できる。
ユーザーのオーバーラップが少ない:二面市場
ユーザーのオーバーラップがほどほど:混合バンドリング
ユーザーのオーバーラップが大きい:ピュアバンドリング
【立本語録】
- 経営学者はジレンマが好き。
- アメリカの経営学者はアメリカが好きなのでシリコンバレーだけ研究して終わる。
- 一番とっつきやすいBaldwin先生は紳士的なおばちゃん。Gawer先生は近所のおばちゃん。
- Teece先生は論文が抽象的すぎて何言ってるか分からない。Webサイトの説明を読んでようやくわかった。
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