2017年6月3日土曜日

20170603

『アナリストが教えるリサーチの教科書 自分でできる情報収集・分析の基本』(高辻成彦・ダイヤモンド社)

証券会社のアナリストであり、早稲田ファイナンスMBAホルダーでもある著者がビジネスリサーチを自分で行う基礎について解説した本。


本書では市場調査会社に委託して一次データを作ることを「マーケティンリサーチ」と呼び、すでに公開されている一次データを元に二次データを作ることを「ビジネスリサーチ」と呼んでいる。
ビジネスリサーチが事業会社において日常的に行われている一方で、やり方を系統立ててまとめた本は初めてではなかろうか。3年くらい、ビジネス用資料を作った経験のある方なら本書を読んでも「全く知らなかった!」という感想を漏らすことはないだろう。「そこを調べれば良かったんだ!」「そんなデータが公開されてたのか!」と便利に思う情報は多いし、それらがまとまっていることがとてもありがたい。

<ビジネスリサーチで抑えるべき4S
Structure業界構造:製品分類、用途・地域別分類、規制動向など
Statistics統計:鉱工業指数などの経済統計や業界団体が発表する受注・納入状況などの業界統計
Share 市場シェア:日経業界地図や日経テレコンなどで入手
Strategy 戦略:決算発表資料から入手

<4つのツール>
市販書籍:調べる対象がどの業界に属しているかを把握し、基礎知識を仕入れる。
記事情報:日経テレコンやG-Searchで調べる
調査報告書:矢野経や富士経済の民間レポートや、官庁の公的レポートを読む
統計:公開されている統計データ

<部下に資料作成を頼んだときあるある>
  • 7~8年くらい前のネットで拾ったpdfレポート(だいたい矢野経済)をそのまま貼り付けて「今後も市場は成長していきます」と断言する。
  • データに対してツッコむと「pdfの資料にはその年までしか載ってませんでした」と言われて会話が終わる。
  • マクロっぽい統計(世界の自動車出荷台数)を説明したのち、いきなりミクロなテーマ(企業の事業見通し)に飛ぶ。
  • ネット検索の鬼と化し、おびただしいほどのpdfをダウンロードして印刷までして読んでるけど、スライド作成は全く進んでいない。「調べれば調べるほどわからないことだらけです!奥が深いですね!」と悟ったりもする。


この本渡して「読んでこの通りにやって作ってごらん」と言えるようになったことは大きいのではなかろうか(笑)



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