2017年6月7日水曜日

20170606

火曜は伊藤先生の「組織の経済学」

今日がフィナーレ!

【授業全体を振り返って】

1市場と組織の境界>
イントロで触れただけだったが、もっとやるべきだったなー(By伊藤先生)

2組織でプレーされる3種類のゲーム>
囚人のジレンマゲーム
コーディネーションゲーム
人々の予想によって、全体として望ましくない結果や均衡に陥ってしまう。

トラストゲーム
相手はこちらに対応して行動するので、疑われると信用してもらえずにうまくない結論になってしまう。

思考のツールとしてのゲーム理論
組織のゲーム・フィールドとみることで、組織の不条理が起こるメカニズムを理解する。

3組織の意思決定プロセスと組織構造>

集権化VS分権化
組織における決定権限は、所詮は貸し与えられたものに過ぎない。取り上げられてしまう危惧は常に存在する。

公式に任せることはできないので、非公式・実質的に任せることになる。
  • 介入して決定を覆さないという評判を築く
  • 介入して決定するための情報を得ることを難しくする


集権化と分権化のトレードオフ
  • 局所情報の利用(分権化+要因)
  • モチベーション(分権化+要因)
  • コントロール(集権化+要因)
  • コーディネーション(集権化+要因)


情報伝達が戦略的に行われる問題
ペイオフを感じると情報伝達にも歪みが生じる

インセンティブの与え方
事業部のインセンティブ設計によって、モチベーションだけでなくコントロールや情報伝達にも影響する。

組織の形の問題:フラット化すると集権化と分権化が同時進行する。

ICTと集権化・分権化:情報技術は分権化、通信技術は集権化を促す。権限移譲と人材スキルへの投資が組み合わされることで初めて生産性向上がもたらされる。

4企業文化>
社内で共有され、社員が入れ替わっても存続し続ける価値観。明文化されたルールを代替したり、補ったりするもの
  • 同質性が高まる
  • 情報伝達が容易になる
  • 予見できない事象に対する行動基準を示す
  • 慣習として、どちらのナッシュ均衡が望ましいかを示す


企業理念や存在意義などで文化と同化させるようなトップの努力が必要だろう。うまくいかないと矛盾が生じて足を引っ張ることもある。

5制度補完性>
  • 価値創造を可能とすると同時に、価値創造を難しくする特徴でもある。
  • 補完性を持った制度システムの特徴
  • 複数の最適システムが存在する可能性。
  • mix&matchよりもコヒーレントなシステムが望ましい可能性。フレキシブルな生産システムと多品種生産など揃った設計が望ましい。考えずに混ぜ込むとパフォーマンスは劣化する。
  • 補完的な環境変化 望ましい変化の方向は明らかなことが多いが、微調整では業績向上ができない可能性もある。一部の制度だけでなく、複数の制度を一緒に変えないといけない場合も
  • 一旦変化が始まると、その方向芋づる式に変化が継続する可能性
  • 変化の激しい環境下において、タイトカップリングとルースカップリング


6WMS
Management Practice 戦略よりも慣行
Operation management
Performance & target management
Talent management(incentives)
何がMPの相違を生み出すのか:競争・企業統治

分権化と本社信頼度の関係
因果関係に迫る
RCT:コンサルティングの効果(インド)
操作変数法:競争が病院マネジメント、医療の質にもたらす効果
手元にある最小のエビデンスを判断材料にすることで、最善の政策をデザイン・選択する。専門家・専門職のみならず、意思決定者としてのマネージャーにとっても理解が必要。
マーケティングによるABテストもRCTになるだろう。

MPが高い企業が集積すると効果が高まるのではないか。

<自然実験による研究結果(ツイッターで流れてきた)>
  • 本当に多様な人が集まったからパフォーマンスが高くなったのか?そもそも「集まる」と言っても会社は自分で選んでいるので、もともとパフォーマンスの高いやつらが集まっただけではないのか?という疑問は常に残る。研究の立場では何らかの形で切り分けたかった。
  • 築地市場の魚の卸業者は市場のどこに位置するかを4年~10年ごとにクジで決められるルールになっていた。そこで、多様な業者が集まるとパフォーマンスが上がるかどうかを調べた。
  • ランダムネスに問題がないことを検証した上で、卸業者のパフォーマンスを調査した結果、取り扱う魚のダイバーシティが高いとパフォーマンスが向上していた。買い手にとっての探索費用を軽減しており、買い手の流れとマッチしていると良い成果だった。


PARC:組織変数の分類】

People 人々
能力・スキル・価値観・思い込み・モチベーション・リスク態度

Architecture アーキテクチャ
公式な組織図・レポートライン・非公式な人的ネットワーク

Routine ルーティン
経営プロセス・手続き・意思決定や資源配分の仕方、業績モニタリングやコントロールの仕方

Culture 文化
共有化された価値観・組織特有の情報伝達コード・行動規範

<マネージャーのお仕事>
戦略を策定し、戦略にコヒーレントなPARCを創造し、環境を勘案しながら最適化させる。

<成長のための組織>
事業の範囲を拡張して成長する。多角化・M&A シナジーを実現したい。
M&A後の組織モデルはどうあるべきか?買収した海外企業は特に分権化に進んで買いっぱなしになってしまう。

  • 策1:可能な限り分離する (シナジーは期待しないが、一番簡単)
  • 策2:一方(通常買収企業)の組織デザインを採用(ある意味簡単だが、業種が違うと大変)
  • 策3:いいとこ取り (うまくいけばシナジーが最大限働くが、統合は大変)
シナジーを実現するのにコヒーレントな組織形態・MP・文化を追求すると、企業統合のコストは高い。

<イノベーションのための組織>
イノベーションと言えば「知の探索と知の深化」みなさんご存知の彼ですが。イノベーションを促進する組織モデル

  • 策1:一方のアクティビティに特化する(諦める)
  • 策2:各ユニットを一方のアクティビティに特化させ、組織のトップで両方を模索する。
  • 策3:各ユニットに両方のアクティビティを行うように動機付ける。(非常に難しい)


【なぜベストプラクティスは広まらないのか?】

Perception(認識の問題)
マネージャーが、自社が他社に遅れを取っていることを知らない。

Inspiration(暗黙知の問題)
マネージャーが、自社が他社に遅れを取っていることを知っているが、どうすれば良いかを知らない。本で読んだだけでは分からず、経験が必要。

Motivation(モチベーションの問題)
マネージャーが、自社が他社に遅れを取っていることを知っており、どうすべきかも知っているが、やる気がない。

Implementation(実装段階の問題)
マネージャーが自社が他社に遅れを取っていることを知っており、どうすべきかも知っており、頑張っているんだが組織に実行させることができない。

制度の補完性がキーワードか。暗黙知や文化などの部分はこちらにも影響する。



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