2017年6月14日水曜日

20170614

『知的機動力の本質 アメリカ海兵隊の組織論的研究』(野中郁次郎:中央公論新社)

5月の一橋ビジネスレビューのスタディセッション会場で購入していたが、ようやく読み終えた。
本書は「アメリカ海兵隊流のマネジメントを仕事に応用しよう!」というビジネス書ではなく、本の中にふんだんに詰まってるのはガチの野中先生なので一読して理解できたとはとても思えん(笑)


今でも「軍隊式」という言葉からは「上官の命令には絶対服従」「部下は余計なことを考えず、言われたことを言われた通りに遂行する」というイメージが思い出されるはず。
しかし「処理能力は超優秀なんだけど、やること全部事細かに指示しないと動かない部下」を複数抱えた状況では、ひたすら上司が忙しくなってチームとしては機能しない。ましてや、クライアントから仕様変更・見積もり書の再提出・納期遅れのクレームなどが立て込んで、状況が目まぐるしく変わっていくような職場においては、そのような部下が満載ではリーダーの生命に関わる(苦笑)

海兵隊の任務(戦争状態)では環境の変化は常に存在するし、むしろ予測不能で無秩序な環境に置かれていると言っても良い。
戦時でなくても新たな兵器技術の導入や作戦の立案など、従来とは異なる情報がドカドカと入ってくる。イメージされるような兵器という組織の歯車でいたのでは有効に機能できない。

「戦いは数だよ、兄貴」というドズル・ザビ的な発想を「消耗戦」と呼ぶが、こちらは敵より多い軍隊を集めて突破するという戦い方である。消耗戦は相手が降参するまで攻撃し続けるというある意味シンプルな発想であるが、つぎ込んだコストの分だけ成果が計算できるという点も存在する。
一方、本書のサブタイトルにある「機動戦」とは、敵システムの結束を破壊して機能不全に陥らせる戦い方で、速さに重きをおいた作戦である。常にスピーディな意思決定・行動を行って環境を変化させ、さらに次の意思決定を迅速に行うという非常に高いスキルと統制が必要になる高度な作戦とも言える。その分、敵より兵士・武器などのリソースが下回っていたとしても、効果的に戦える可能性が存在する。

そのような機動戦を実行するために必要な組織のケイパビリティを野中先生が組織論的に解説しているのが本書である。
第1部の第1章と第2章は割とサクッと読めると思うが、本論に入る第3章では難易度がググッと上がって挫折しそうになる(笑)
その場合はこの章をすっ飛ばして第2部「ウォーファイティング」を読むと良いかもしれない。こちらは海兵隊ドクトリンの全訳なので、考え方がよくわかる。
何と言っても「勝つしかない」という最終目標から逃げられない組織の中で、戦争をどのように捉えているか、上司や部下の関係はどうあるべきかをしっかりと文書化していて、読みやすい上に面白い。参考になるフレーズは沢山あると思うのでオススメ。


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