今日から根来先生・入山先生の2大巨頭による「経営学研究法(MBA編)」
オーバーする時間は熱意の現れだね(笑)
・・・西門が閉まる22時30分までの寛容さだったりするが。
【根来先生パート】
<科学と実務>
- 科学は説明を求め、実務は解決を求める。
- 「なぜそうなっているのか?」「原因は何か?」がわかると解決につながるかもしれない。しかし、実務においては原因がわからなくても誤解していたとしても、解決されれば良い。逆に社会科学なら説明さえできれば良い。現時点では解決できない問題は沢山存在する。
- 科学で説明できることは実務で解決につながることも多く、無縁ではない。ただ、「解決しなければ科学ではない」とは考えて欲しくない。
- 経営学に関する誤解に「どうすれば良いか教えてくれないものは役に立たない」というものがある。科学はもともと説明を行うもの。常に抽象的であり、特殊なもの(個別事象)との間にはギャップがある。実務は特定の条件・要因で動いている。全てを説明できるわけではないし、全てを説明できるほどには科学は発達していない。
- 多くの事例があったときに「平均的にはこうなる」と言う傾向法則は存在する。しかし、1個1個の事象は説明ではない。法則には従わないものは多々ある。経営学で統計に処理するが、その通りにはならない。クールに捉えるべし。
- 科学は過去・現在において、なぜそうなったかを説明する。類似の対象の範囲は様々だが、共通するものを一般化して明らかにする。1回限りを説明するのは科学ではない。実務は将来こうすべきだ。このようなフレームワーク・ガイドラインで考えるべきだという提案。
<研究の指向性>
- 論文は自分の貢献部分をはっきりさせないといけない。自分の言ってることと、他者が言ってたことを明確に区別しなくてはならない。
- 「学習」とは、すでに世の中にあることを学ぶこと。授業レポートや宿題はほぼ学習と言える。一方で「研究」とは自分で作るもの
- アカデミックリサーチ:理論を作る・検証するのがリサーチ。リサーチの方が現実を求める。現実の解決が目的ではなく、ネタにすぎない。
- プラクティカルリサーチ:現実がリサーチを求める。理論的知見からロジカルに解決策を導く。解決したいのは現実であって、リサーチが進まなくても良い。学習で解決できることもあるし、新しい理論を作り出す必要がない場合もある。
- 全ての理論が自分にとって対等であるはずがない。理論には基本命題があるから、意味しているところが違う。経営戦略の理論が並び立たないことは当然。
- 優れた理論は現実に影響するし、タイムラグを持って研究者の作った概念が実務の中に入っていくこともある。例えばコースの取引コストの概念は実務かにも広まってきた。汎用化したアカデミックタームを理解しておかなくてはならない。知らない人も誤解している人もいる。
- 一般論通りでないことにも価値がある。世間的に確立された一般論に対して例外的である理由は説明できた方が良い。学んだ通りでないことをするには理由が必要。
- 研究者が価値を認めるのがアカデミックで、実務家が価値を認めるのがプラクティカル。同じものになりようがない。
- 概念を純粋化して説明したらこうなると言うものがアカデミックで、混ざった現実の中で解決策を求めるのがプラクティカル。
- 一般化を目指し、単純化して論点を明確にした上で検証するのがアカデミック。複雑なものは複雑なままに捉え、いろんな要素を考慮するのがプラクティカル。
- 指摘されたことは本論のスコープから外れると言って切り捨てるのがアカデミック、それを加えて考慮するのがプラクティカル。
<研究の成果>
- 先行研究を踏まえた「新しさ」でなくてはならない。何が新しいのかを理解しなくてはならない。過去の先行研究にないことを書かれていないとだめ。
- きちんとやろうとすると、先行研究を読み込まなくてはならない。査読者に近いところの指導教員でないと査読論文のような修論はかけない。指導教員の詳しい分野でないと、新しさの部分はできないだろう。
- 小さなことで良いから、既存の業界常識が否定されるようなテーマはないか?新しい現象は世の中そんなに多くはないし、陳腐化されてしまう。「現場ではこんな事業が生じている!」と言う新しいことが起きているかもしれない。
- 実務の方が先に進んでいる。皆が知っていることを上手に一般化することで、実務家に根拠を与えることができる。
<ネゴロク>
- 私(根来先生)は問題をややこしくする係で、入山先生は問題をわかりやすくする係。研究とは何か?をできるだけわかりにくく解説する。
- 基本的には指導教員の言うことを聞いてください。「根来先生はこう言っていた」と言わないよう、大人の対応をしてください。
- 解決策はなかなか見つからないものだ。自分が良いと思うことが実行できないことが多い・・・そうなんだよ。
- 「経営学者が経営をするとどうなるか?」抽象論を述べて、ある側面に関する議論をしているだけなので、実務をやれば大体失敗する。・・・だんだん思い出して腹が立ってきました。
- 粘り強く人を説得し、動いてもらう。ひたすら頭を下げ続ける。実務ではそう言ったヒューマンスキルの方が実務では重要。
- 財務会計なんてちょーつまんないじゃん。でも、独学ではコツコツやることなんてないし、大学にいるからこそやると言うもの。
- 学会論文は厳密に書きすぎてうざい。もっと楽しく書け!って言いたい。でも、体質的にこのような論文を読んでいて楽しくなる人はいる。
- 最初に抽象論を言いたがるのが研究者のくせ。
【入山先生パート】
シンクタンクレポートをゴリゴリ書いてた人たちが優秀な研究者になっている。アウトプットの出し方は違うが、良い論文を書く力は変わらないし、論文の基本構造共通していて、本質は変わらない。
<論文の基本構造>
- 問題設定・結論
- 問題の背景・文献サーベイ
- 理論仮説の構築
- 分析方法・分析結果(事例調査・アンケート)
- 考察
- 結論
理論仮説の構築と分析方法結果のパートが充実しているべき。ここが本論。何を解き明かしたくて、何がわかったのか?はっきりとした研究テーマの設定が重要。
自分の研究テーマをエレベーターピッチ(30秒程度)で説明できるようになっておくべし。
<アカデミックリサーチ>
Why:どうしてそうなったか
理論と実証の分離
還元主義多い(狭く厳密にみる)
Interesting Novel重視
<ビジネスレポート>
What:何が起こっているか
持論
全体主義多い
Interesting Novelは重視しない
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