2017年6月17日土曜日

20170617

『一橋ビジネスレビュー 2017夏号』(東洋経済新報社)

ゴールドな表紙が眩しいノーベル賞と基礎研究特集号。

画期的な基礎研究の過程を論文データの分析やインタビューで定性・定量の両面から分析した論文が掲載されている。

個人的には原さん・小泉さんがされている論文データの分析が面白かった。
ノーベル賞受賞者の論文の被引用回数の累積確率を時系列にプロットしたデータでは、トップ1%論文と比較してそれほど速やかに引用された訳ではない。
むしろしばらく(5~6年)は引用される機会が少ないというのは、それだけ科学自体の方向性の変化を理解するのに時間がかかっているということ。この説明は面白かった。
逆に言えば、世に出ると即座に引用されまくるようなトップ1%論文の量産者が世界を変える研究をするとは限らないのだね・・・

大隈教授のオートファジー論文が他分野の論文にも引用されるようになる流れも興味深い。野依さんのインタビューにもあるが、研究環境を変えて交流範囲を変えるというのも研究には必要なようだ。
研究に集中して取り組む期間と幅を広げて模索する期間には最適バランスとかはあるのかなーなどと思いながら読んでいた。


斎藤さん・牧さんのスター・サイエンティスト論文は、今までの研究の概観がまとまっていて理解しやすかった。
Azoulayらのグループで、スター・サイエンティストの影響を調べるため、不慮の事故という外生的な要因で亡くなられた方をリストアップした研究が紹介されており、目からウロコだった・・・
社会科学の研究では、このような外生的要因でズバッと変わるタイミングがある意味実験のタイミングとも言えるとは聞いたが、なるほどなーと。

野依さんのインタビュー記事もハラハラして面白いね。いきなり論争を吹っかけるのは一橋流なんだろうか(笑)



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