2017年6月22日木曜日

20170622応物

公開シンポジウム「日本の科学と産業の停滞と復興」@日本学術会議講堂





【日本の大学の研究力はなぜ失速したのか?(豊田氏:鈴鹿医療科学大学)】
  • 日本は2004年をピークにして、論文総数・人口あたり論文数・GDPあたり論文数・高注目度論文数などが軒並み減少。人口や富に見合った論文を出せていない惨憺たる状況と言える。
  • 割合の大半を占める大学の論文数が2004年以降停滞している。
  • 失速の理由は国立大学の法人化に伴って研究時間が減少したため。フルタイムに換算した研究者数も減少している。日本の人口あたりの研究者数・Ph.D保有者数・政府研究資金は低くなっており、他国と傾向が真逆。
  • 普通に論文を書いていく研究者の数を増やす策が必要。それが基盤。



【電子立国の凋落に何を学ぶか?(西村氏:技術ジャーナリスト)】
  • 「電子立国はなぜ凋落したか」を2014年に書いたが、今年中国語版が出版された。日本のようにならないために翻訳が必要!と言われた。
  • 電子産業は1985年では9兆円の貿易黒字だったが、現在では1兆円程度の貿易赤字。コンピュータと通信機器が輸入依存になったことが大きい。
  • DRAM1985年には世界で80%のシェアを占めていたが、もはや日本企業で作っている会社はない。30年でシェアがゼロになる産業もあるということ。
  • テレビはアナログ停波による買い換え需要が終わったら市場がシュリンクすることは見えていたはず。それでも海外市場があると国内投資を正当化して業績をかなり悪化させた。
  • 戦後、1950年までは日本の工業力は抑制される方針をとっていた。連合国に日本を発展させる意図はなかった。
  • 1950年の朝鮮戦争をきっかけに変わった。日本をショーウィンドウとし、社会主義国に対して「資本主義側に来ればこんなに豊かになるよ!」とアピールするために工業化を徹底的に支援された。ラジオやテレビの輸出で大きな発展を遂げた
  • 1985年ソ連にゴルバチョフが登場し、東西冷戦が終わりに向かって進み始めた。ソ連よりも東アジアの経済が脅威に感じるようになった。米国としては、ソ連がなくなるなら日本の工業力は不要になった。冷戦終了後、中国とインドが資本主義に参加するようになり、20億人の労働力とハードウェア製造業が資本主義経済の中に誕生した。設計と製造の分業が成り立つ環境になったが、日本は自前主義を貫いた結果、環境変化に対応できず、規模が小さいままに孤立化した。
  • 科学技術への公的資金は日本経済を活性化していない。半導体は国家プロジェクトが増えていったが売上が回復することはなかった。そもそも5カ年計画でイノベーションが起こるならソ連がイノベーションを起こしていたはずだろう。
  • 電子機器はNTTNHKに納品してきた企業だが、自動車産業はもともと民間需要だけから成り立っていた。その違いはあるのでは?
  • 2100年には高齢化も止まり人口も6000万人くらいで落ち着いており、この頃には良い時代になっている。その一方で、2030年~2060年の日本は少子高齢化の辛いピークがやってくる。



【スター・サイエンティストと日本のイノベーション(牧氏:政策研究大学院大学)】
  • スター・サイエンティスト仮説。80年代の米国のデータで研究した結果では、遺伝子配列の分野で論文の生産性パフォーマンス高く論文をだすスター・サイエンティストに注目した。ベンチャーと共著論文を出すとサイエンティストの業績も良くなる。
  • TLO以前は日本と企業の共同研究はインフォーマルな関係だった。論文は大学が書き、特許は企業が抑えて研究費を負担するという感じだが、権利関係を細かくは決めなかった。それが暗黙知の移転を可能にしたのだろう。
  • スター・サイエンティストが周囲に与える影響を調べるため、不慮の事故で亡くなったサイエンティストのリストから周囲のパフォーマンスを測定した。すると謝辞に名前が載るような、コンセプト解釈に協力したようなサイエンティストが亡くなった時に、周囲のパフォーマンス低下が大きかった。
  • 大学が知財を主張すると企業が逃げるのは日本に限らず米国でも同じ。
  • 大学が利益相反だからどこにも平等に・・・などというと、スター・サイエンティストに逃げられる。


【若者が切り開く産業の未来(大澤氏:金沢工業大学)】
  • 産学連携に力を入れ、学問の本質を学ぶことが大事。若者の発想と産業界をつなぐべき。
  • STEM教育もそうだが、実装して初めてわかる本質というものがある。
  • ガリレオは星が落ちてこない理由を探るために、望遠鏡を設計・製作し、それを空に向けて天体観測し、データを集めて議論して結論に至った。


総合討論は会場から次々と質問が上がり、司会が発言を1個に絞るくらい・・・パネルディスカッションも学会が違うと雰囲気違うなー


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