2017年6月23日金曜日

20170622

今日は根来先生・入山先生の経営学研究法(MBA編)

入山先生がインド出張で不在なので、今日は根来先生のソロ講演



【研究とはなんぞや】
  • 一番ピュアな研究とは、抽象化して因果関係を説明すること。
  • ある事象だけに当てはまる説明は研究ではない。それは事例の説明である。
  • あらゆるものに当てはまる必要はないが、1個ではないということ。1個でないものは研究たりうる。
  • 大体の経営理論は縛り(限定)が付いているもの。対象が限定されることは構わないし、少ない事例でも良い。限定された対象に特有の事例を説明すべし。特有の因果関係が説明できていないとだめ。
  • 限定されていることに意味がある因果関係を説明しなくてはならない。限定している意味がなく、一般的な企業に当てはまる議論に終始してしまうと研究ではない。


<抽象化して理論を作る>
General Theory
抽象度が高くて何にでも使える。
取引コスト・エージェンシー理論・資源ベースなど

中範囲の理論
もっと抽象度が低い 
ネットビジネスは○○○だ。大企業のオープンイノベーションは△△だ。など

Generalを作ろうとするな。中範囲の理論を考える。

理論とは怪しげ。もともと理論の大前提自体が怪しい。因果律そのものが成立しているかどうかを確かめることも難しい。


<自然科学の例>
現象:月の裏側が見えない
原因:月の自転と公転の周期が一致しており、常に地球に同じ面を向けているから(事象を説明する理由)
原因の原因:月の中心と重心がずれているから。

原因を理解することと、現象を理解することは別。現象をじっと見つめていても原因の理解に至るとは限らない。


<社会科学での因果関係の推測>
  • 事実を掴む:事実から出発しない科学はない。今まで把握できていなかった事実を言えるだけでも成果と言える。
  • 事実に反しない原因を推測する:原因を推測する。事実だけを見ていても原因はわからない。素直に出てくるわけではなく、飛躍が潜んでいる。ヒントが必要。多くの場合は先行研究・他の研究から生まれる。画期的な原因を思いつければ良いけど、普通はそうはいかない。一般に使われている概念を使って拡張したりアドホックを考えたりする
  • 反証がないか探す:他の説明の仕方(対抗仮説)を探す。
  • 反証がある場合でも「補完仮説」を考える:アドホックな仮説ともいう。
  • 原因の原因を考える:普通は証明が難しい。納得性にかかっている。有力仮説がない限り、仮説が生き延びる。


理論が常に成り立つことはほとんどない。しかし、説明できないから諦めるということはしない。アドホック仮説をつけて生きながらえる

<研究対象の定義>
  • 対象の定義はとても重要。成立しそうなのは何かで分類していく。先行研究が教えてくれる場合もある。
  • 対象の定義を先行研究と変えると、新しいことを言いやすくなる。ずらしてやると言いやすい。
  • 先行研究の定義を理解する必要があるが、上手にずらしてやると面白いことが言える場合もある。
  • 例えば、新しくできた会社のサービスを考えてみるときは、新しい会社の成功は新しい理由に依存していると考える。その頃に成立した原因による可能性は高い。そこに限定して特有の条件・原因を調べるという手もあり。


<事実の把握~因果関係の把握>
  • 実は、事実の把握だけでも一苦労。自分の体験以上の事実把握が必要。体験を超えない限りアカデミックに近づいていかない。
  • データが把握できないと研究はおしまい。事実が把握できないなら諦めた方が良い。
  • 事実の把握に工夫は必要。直接ではないかもしれないが、それに近いものは把握できるかもしれない。
  • 原因の分析まで行ってないけど、ここまでだけでも調べることは大変。事実の把握だけでも十分な研究になる。
  • ダイレクトに当てはまる因果関係と、もしかしたら当てはまるかもしれない因果関係候補を洗い出して検討していく。対象が限定されているからこそ成立する。
  • General Theoryだと強すぎて、一般の要因全般まで説明してしまうこともある。特有の条件・要因はないかを調べていくことになる。



<因果関係の基本>
Aが起こるから、Bが起こる」
1:時間的に先立っていなくてはならない。
今の時点のデータを集めても因果関係は説明できない。必ず時系列が必要。
同時に存在しているものは、原理的に因果関係を言えない。

2:AがなければBは起きない。

3:Bが起きるためには、他の因子は不要である。
この条件は社会科学では因果関係の成立条件に含めない。
AだけでなくてもCでもBは起きる。 等結果生
Dもなければ、AだけではBは起きない 原因の複合性・部分性
多くの場合は当結果性があり、複合性と部分性がある。中範囲の理論になるのはDが必要だから。いくつもの条件が複合してしまう。さらに代替要因もある。あらゆる例外を排除する普遍法則は作れない。

<現象的因果連鎖>
  • 原因から結果に至るまで、時系列に沿って図に書いていく。四角は行為(意思決定)、丸は現象(結果)を記載してみる。
  • 原因を「この3つです」と箇条書きで並べない(時間圧縮された説明をしない)3つ要因があったとしても順番がある。時系列で考えると、順番が重要ということもある。重回帰分析などを行う場合は、時系列といった因果関係の本質を無視している。
  • 事実の把握から因果関係まで調べるには時系列で因果連鎖図を書く必要がある。
  • いくつかの会社で作って睨んでいると、中範囲の理論を思いつく可能性がある。
  • 時系列で調べてみるとと、意図された結果と意図せざる結果の両方があることがわかる。
  • 因果連鎖の将来をどれだけ読めるかという話になるが、経験的に読みが当たることはほとんどない。解決策として「もっと深読みすれば良い」と提案するのは、できないことをやれと言ってることと一緒。理論化はできるが、それは意味がない。



<ネゴロク>
  • 自分が授業の開始時刻を1850分にしたのに忘れてました!終了時刻も忘れちゃいましょうねー
  • 今日は入山さんがいないんですよね。従いまして、彼をネタにできるということ。
  • 犯罪捜査の現場でインテリの人が自白しやすいのは矛盾に耐えられないから。学校秀才は矛盾に耐えられない。でも、平気で矛盾に耐えられる人は世の中たくさんいる。
  • 私が豊田真由子さんみたいに、声が大きいといいんですが。皆さんはワイドショーなんて見ないから知らないでしょ?彼女は桜蔭・東大・厚労省・ハーバードに行って今は現役の国会議員。秘書に罵詈雑言を浴びせかけたのを、秘書が録音してたのが暴露された。youtubeに上がっている。奥さんにこの動画を見せて「君もひどいけど、ここまではひどくないよね」と言った。
  • そんなこと言ってると、肝心の資料が1ページも進んでいない。
  • 社会科学は権威主義かよ?と言われるとイエスなのです。インテリがやることは大体権威主義。だんだん自己否定になってきた・・・
  • 研究者とは好奇心の塊。僕も夜中中寝ないで調べまわってる。
  • 研究者たるもの、General Theoryくらいは作っておきたい。でも実際には、中範囲の理論も作れないで死ぬ研究者もずっと多いのだよ。
  • 「事実を掴むだけでもとても価値がある」「アドホック仮説付きで法則を主張できれば良い」立派さのハードルを下げておかなくてはならない。社会科学はそれくらいハードルが低いものなんだよ。
  • 僕も入山病にかかって超過する可能性が高いから。
  • 商売は商売をやる人よりも商売をやる道具を作る人の方が儲かる。
  • この図は私が作りました。したがって分かりにくくなっています。
  • 22時を確認する)時間オーバーしてますね。無視しますね。
  • コースの取引費用理論は、トップジャーナルへの掲載が拒否されて、法律系のマイナーなジャーナルに載った。画期的な論文でも三流雑誌に載ることはある。でも、三流雑誌になった論文が良い論文かと言われるとそうではない。
  • 研究していても、評価している人が悪いこともあると思えば心の安定にはなりますね。
  • 2220分になった)ほぼ時間通りですね

0 件のコメント:

コメントを投稿