日本知財学会2017年度春季シンポジウム「プラットフォームでビジネスに勝つ!-新しいビジネス環境を活用する経営戦略・知財マネジメントとは?」に参加して来た。
「プラットフォームから見えてくるマーケティングの可能性」(Google 武田氏)
- Googleも誕生して18年が過ぎ、ようやく自動車が運転できる歳になった(笑)
- 「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というミッションがあるので、必ずエンジニアリングから入る。役に立つテクノロジーを産むのが最初で、ビジネス(マネタイズ)はその後。
- 2015年まではモバイルファーストとPCからモバイル機器への転換を進めて来た。これからはAIファースト。あらゆるプロダクトに機械学習が活用されている。
- マーケティングで重要なことは消費者のシグナルを捉えること。今のコンバージョンは意思決定したラストクリックだけを捉えているが、本来はそこにたどり着くまでのユーザー・ジャーニーがあったはず。ジャーニーの最初の頃の行動からシグナルを得て、最適なアクションに移していけばコンバージョンを上げていくこともできる。データドリブンマーケティングが現実となる。
- Youtubeの動画の要素を解析してターゲティングすることもできるようになった。数秒のガムのCMでガムを口に入れる1秒もないシーンの有無でブランド想起率が2倍も異なるという発見もあった。
「プラットフォーム革命~ビジネスモデルの観点から概念と展開を検討する~」(産学連携機構 妹尾氏)
- 競争原理の変革:レイヤー内の同業種との戦いであったものが、レイヤーをまたぐ異業種間の共創(シェア)と主導権の争いになっている。
- ビジネスモデル:旧来のビジネスはパイプライン型と言える。製品やサービスを、チャネルを通じて消費者に届ける。一方でプラットフォームはネットワークを活用する。チェーンの発想を捨てるのがプラットフォーム。
- 知財マネジメント:以前は競争に勝つために排他的な独占志向であった。今はネットワーク効果を生かすようにシェアしながらも主導権は渡さないような工夫が求められている。
- 「デバイス:サービス:コンテンツ」について、昔は「1:1:1」で対応していた。テレビ番組(コンテンツ)は製作した放送局で放送(サービス)し、消費者はテレビ(デバイス)で視聴した。そのうち、「N:N:N」と選択肢が増えて来た。デバイスもコンテンツも複数あるが、それを提供するサービスも複数存在している。プラットフォーム企業は「N:1:N」を実現していることを指す。デバイスやコンテンツに対してはオープンにしつつも、収益源のサービスの核の部分はクローズにしていかなくてはならない。
「インダストリアルIoT時代のプラットフォーム戦略に関する一考察」(東芝 中村氏)
アメリカのインダストリアルインターネット、ドイツのインダストリー4.0について全体像を概観した後、GE・シーメンス・SAP・インテル・シスコの戦略を解説したスピーチ。東芝のIoT戦略はAPPENDIXに入っていたが、時間なく触れることなく終了時間に(笑)
「IoT、ビッグデータ、AIでのプラットフォームビジネスの考え方・付き合い方」(デジタルセンセーション 石山氏)
- 元はリクルートで人工知能の研究責任者を務めていた。
- これから超高齢化社会を迎えると認知症など介護の問題も大きくなっていき、全ての人間が介護に関わっていく時代になる。
- フランスで開発されたユマニテュードという介護方法がある。「20cm以内に寄り添ってアイコンタクトを取る」「腕を取るときは必ず下から支える」などのテクニックが存在する。介護の様子を動画で撮影し、これらがきちんとできているかについてAIを使って動画で判定して教育することで、トレーニング期間を短縮させている。
- AIを介護に使うというとイメージが悪い印象があった。学会で話すとき、初日は懇親会で思いっきり仲良くなり、2日目は日本人特有の素振りで距離を縮め、3日目にようやくAIを提案して受け入れられた。それくらいセンシティブに対応した。
【パネル討論】モデレータ:立本氏
- 立本氏:プラットフォーム企業は自社だけを見ていてはだめ。製造業から見ていることが多い・・・革命的なサービスはスタートアップの追い風になっている。キラーアプリケーションからいかにプラットフォームを構築するかまで考えることはとても大切。
- 立本氏:IoTでデータを取って、ビッグデータでデータを処理するやり方はわかった。ここにAI(機械学習)が入ることで、ようやく現実的に使えるようになって来た。取得したデータを米だとすると、機械学習でエッセンスを濃縮して取り出したものは日本酒に値する。
- 中村氏:プラットフォームビジネスの話をしているときにも「他社との差別化ポイントはどこかね?」と聞かれる。ネットワーク効果をいかに速くユーザーを増やすかは重要だが、自社が担当する機能だけを切り出して比較しても意味がないのに・・・
- 妹尾氏:プラットフォームの概念は簡単なものだが、パイプラインのビジネスが染み付いて残っているから理解させるのはとても難しい。「ものづくり→もの売り」に続く昔のビジネスから「ものづくり→もの使わせ」など、考え方が大きく変わっているというのに。ものを売ってしまったらデータはユーザーのものになってしまうが、売らずに使わせるだけならデータはこちらに残って使える。そのような発想の切り替えが変革には必要になっている。
- 妹尾氏:製造業にとって、前門の虎はプラットフォームビジネス、後門の狼はサービスドミナントロジックを指す。
- 石山氏:私はツイッターで奥さんを見つけて3ヶ月で結婚しました。
- 中村氏:社内の情報部門にいると、伝票の電子化などは昔からやられていたが、顧客のデータをつぶさに調べるということをしなかった。本来は顧客側のデータの方に価値を生む源泉があったはずなのに。
- 石山氏:スタートアップはプラットフォームを目指す。この方がスケールしやすいと思ってもらえて資金調達が有利になる。キャッシュリッチな会社が成長して勝つことになる。ファイナンスをどこまで働かせるか。
- 石山氏:アイディアさえあれば、プロトタイプは3Dプリンタで、試作は日本で、量産は中国でといくらでも進められる。
- 石山氏:ビジネスがあまりに美味しいと思われると、新規参入を促してしまう。新規参入があることはイグジット先の候補でもあるので、スタートアップにとって悪い事ばかりではないのだが。
<まとめ>
- フィクション(SF)を作り、これをノンフィクション作品(現実)に転換する。
- 最初の絵を書くところをビジョン・ストーリーと呼ぶかもしれないが、日本企業は転換することは得意だが、最初の絵を描くところが苦手。構想力からさらに進んで妄想力が必要な時代。
- 「もう昭和は終わろうよ」パイプライン型のビジネスがいろんなことにベースとして絡んでいる。それを打破しないと旧来のやり方に縛られていることになる。
会場では一橋ビジネスレビューの原さん作成のチラシが配布されていた!
こっちのネタバージョンを採用していたとは(笑)
松本さんの『家を買って得する人、損する人』刊行記念著者セミナーに参加。
ダイヤモンド社セミナールーム@代々木公園に移動。
テーマは「人生100年時代を見据えた住宅投資を考える」
金利・住宅価格下落率・返済期間など様々なシミュレーションのデータを交えながら、どのような住宅を買うべきかを指南する著書の内容を、著者本人が解説するセミナー。会場もほぼ埋まり、質問も活発だった。
<従来の住宅の買い方>
- 子供が大きくなったから広い家が欲しい。
- 賃貸でそんな物件はないので買うことにする。中古よりも新築が欲しい
- 広い家にしようとすると、郊外に出て行くことになる。
子供が大きくなって出て行くと広い部屋も不要になる。売却しようとしても、郊外の不便なところでは価格の下落率が大きくてトータルで見ると儲からない住宅投資をしたことになってしまう。
<松本さんからのアドバイス>
- 老後を見据えて生活を守るための手段としての投資と心得よう。
- 利便性を最優先して、価値が減らない物件を選ぶべし。
- 中古住宅も選択肢に入れておこう。
- リフォームのしやすさを想定した設計になっていると価値が保たれやすい
- 老朽化マンションの建て替えは早々には進まない。古い建物はプロでも予想できない問題をはらんでいる場合もあるのでご注意。
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