2017年6月30日金曜日

20170629

今日は入山先生担当の経営学研究法(MBA編)

根来先生は教室後方で授業参観。

【理論について】
  • 概念Xから概念Yへの因果関係を説明すること。Why?をきちんと説明できているのが理論。
  • 現実の事象は概念(Construct)として一般化・抽象化する必要がある。解き明かしたいのは一般的な法則。抽象化することで他の企業にも示唆が出て来る。
  • 境界条件(boundary condition)とは、この理論がどの範囲で適用できるか?を示した条件のこと。法則は一般化したいけれど限界はある。世界中に満遍なく当てはまるわけではない。「ここまでの企業・人に当てはまりますよ」を示しておくこと。
  • 実証的な(Empirical)範囲:直面する現象と、どの現象まで適用できるかを示したもの。IT企業に言えるのか?日本企業全般に言えるのか?など。
  • 理論的な(Theoretical)範囲:理論が人に対して置いている仮定。経済学では人は合理的に行動すると仮定している。(全然合理的でない人には当てはまらない)
  • そもそも概念は現実から来ているので、現実にあるデータを使って、この理論法則が当てはまっているかテストする必要がある。


【命題と仮説】
命題(Proposition)とは概念Xから概念Yへと繋がる因果関係で、仮説(Hypothesis)とは変数Xから変数Yへと繋がる因果関係。

<理論の例>
概念X:資産特殊性が高い→(+)→概念Y:垂直統合を行う 
因果関係の説明:取引費用理論

<仮説の例>
変数X:ライトトラックの所有比率→(+)→変数Y:ドライバーを直接雇用割合


  • どういう変数に興味があるのか、その因果関係で説明できるのかを明らかにする。関心がある現実から仮説を導き出す。因果関係を説明するときは、抽象化して理論を用いる。
  • 理論的に説明すると、他の人に説明しやすい、将来の予測に使える。
  • やろうとする経営現象は何らかの経営理論で説明される。それで説明できるという点に価値がある。先行研究がないと言っているのは、往々にして見つけてないだけ。
  • 社会人学生は案外理論に弱い。実務での経験や考えに引っ張られてしまう。
  • 期待した結果が出ても、そういう結果が出なかったとしても、そこには新しい発見がある。
  • 新しい「分類」をするだけでも、プラクティカルな修士論文では十分かもしれない。MBAで教えられるフレームワークは分類であることも多い。ただし、そこから一歩踏み込むと、理論が必要。分類した後で、因果関係を導くと面白い論文になる。



  • なるべく関心のある事象全体を解き明かしたいWholeism(ホリズム)
  • 全部は無理だから、こことここだけを解き明かすReductionismリダクショニズム 
  • 海外のアカデミックは還元主義が多く、特定の固有の概念を洗い出して徹底的に分析する。実証分析で説明しやすく、特定の理論だけで説明できる。
  • ビジネスで関心があるのは全体。成功要因・失敗要因など。全体主義が難しいのは、関係が広くなればなるほど理論が入り乱れるようになること。個別パーツは説明されてるが、それを組み上げて全体像に組み上げたのは私が最初というのはアリかもしれない。


  • ビジネス現象の因果関係を説明したいと考えた場合、大体は何かの経営理論を適用すれば説明できる。
  • 「なぜそう言える?」を繰り返し突き詰めて考えていないことが多い。経験がある人は自然と論理の中に「暗黙の仮定」「こうなって欲しいという願望」「経験的な判断」が紛れ込んでいるケースが多い。
  • なぜ?なぜ?突き詰めていくと、最終的には何らかの原理(経済学・社会学・心理学など)に基づくところにたどり着く。経営理論は前提を持っていて、それに基づいて説明している。経済活動・事象を突き詰めていけば、最終的には人間が行動する根本のドライビングフォースに基づかなくてはならない。
  • 徹底した文献サーベイがとても大事。先行研究を読んだ方が良い。



【入山語録】
  • 皆さんに心配されていた通り、インドでお腹を壊した。僕も教員なので授業はきちんとやります。
  • 研究テーマの説明に1分以上かかるテーマはろくなテーマじゃない。できれば20秒くらいが好ましい。良いビジネスプランはシンプルで、論文を書くのと同じこと。「その視点なかったね」「面白いね」と言わせるべし。
  • 先週は何時に終わったんでしたっけ?(22:20)根来先生より先に終わるなんて・・・
  • 22:25になり)若干オーバーしましたが、これで終わります。


【長内サブゼミの論文執筆要旨】
  • 仕事の中で自分の意見や提案の正当性・妥当性を確立しなくてはいけない。中には、社内では当たり前だと思っていたことと逆なことをしなくてはならないケースも出てくるだろう。
  • 当たり前を覆して自分の主張に正当性を持たせる必要がある。これを説得なしに好きにできるのは唯一オーナー経営者だけ。
  • 研究のやり方を学ぶ中で、論理の正当性を獲得することにつながる。だからこそMBAで論文を書く価値があるし、実務にも役にたつ。

  1. 問題提起:何を議論したいか
  2. 先行研究レビュー:「これまでわかっていること」を明らかにする。
  3. 仮説(命題)の提示;具体的にどういう議論をするのか
  4. 検証
  5. 結論


「経営学学会誌や組織科学なら過去10年分は読むべし」


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