2017年7月5日水曜日

20170704

火曜は樋原先生の「ベンチャー・ファイナンス」ケース部分のネタバレはなし。

月曜の深夜は半ベソになりながら磯崎さんの本を片手に英語ケースに苦戦する日々・・・

<学んだこと>
  • Convertible preferred stock1Xとしている場合、しょぼいイグジットの場合でも投資額を優先して回収できる。VCに取って元本が回収できても利回り0%なのでこれだけではあまり美味しくない。大きく成長してほしいからVCは投資をしている。投資額が小さな時は2X3Xなどもありうるが。
  • 参加型にしておくと、元本を取り返した後でさらに残りを持ち分に応じて頂ける。リスクを取ったのにエクイティ分しかもらえないのもね・・・という点に応えている。初期の投資額が気にならないくらい企業価値が大きく成長した時はエクイティの比率で決めてもOKという条件設定もあり。
  • 投資家はお金をだし、起業家は汗をだす(sweat equity)しっかり働いて価値を作るべし。汗に対する対価を一度に持たせると変なインセンティブが首をもたげてくるので、段階を踏んで権限を与える設計も大事(株主権利確定条項)
  • convertible preferred stockconvertible noteの最大の違いは、後者にはvaluationが不要なこと。前者は交換比率を定めておく必要があるが、後者は次回のラウンド時に決めれば良い。
  • VCと起業家の間で投資の条件を決める際に使う覚書がタームシート。VCからしてみれば、この条件でOKなら即座に資金を提供しますよという条件。資本政策に影響するので、企業の側もしっかり見ておかなくては行けない。
  • 「種類株式の内容として規定」「株主間契約として規定」の2種類が存在するが、最大の違いは前者が事前救済である(差し止め請求が可能)という点。後者は不利益を被ったら損害賠償請求で対処することになる。
  • 新株を発行したときに既存株主の持株比率が極端に下がらないようにする取り決めが希薄化防止条項。2nd roundの株価が1st roundよりも下がっている場合、既存株主の株価は極端に希薄化してしまうので、それを防ぐために作られている。フルラチェット条項は既存株主を最優遇し、2nd roundの株価で変換してもらえるもの。ただし、本来はハンズオンで企業価値向上に勤めているはずなのに株価が下がってるのはVCの責任でもあるので、問答無用で保護するのはおかしいという論点もある。その場合はラウンド間で重み付けをして算出する。


<樋原語録>
  • convertible noteなど資金調達の方法の多くはシリコンバレーで生み出されて進化してきた。創造性が違う。
  • 英米法:判例法・慣習法を主としており、直接金融・市場調達型
  • 大陸法:成文法を主としており、間接金融・銀行型
  • ベンチャーが育ってない点について、日本の銀行がよく文句を言われているが、ドイツやフランスも苦戦している。
  • 英米法か大陸法か、大元の金融の考え方に縛られているため、シリコンバレーのやり方をそのまま猿真似してもうまく行かない。その国の法制度も加味した形で環境に適応させる工夫が求められている。
  • VCへ流れるお金について、中国は既にアメリカの半分くらいのところまで追いついてきている。日本はまだ2000億円レベル。たまに文科省の人が旧帝大系VCに回したお金を乗せて3000億円ですと言い張っている。
  • スタートアップやVC業界ではリーガルな仕事のニーズは山ほどある。それなのに弁護士や会計士が足りず、供給できていない。ロースクールを作って法曹業界を強化するんじゃなかったのかい。





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