2017年10月8日日曜日

20171008:生産マネジメント入門 生産システム編・生産資源・技術管理編 藤本隆宏

『生産マネジメント入門1 生産システム編』『生産マネジメント入門2 生産資源・技術管理編』(藤本隆宏・日本経済出版社)


東京大学藤本先生が学部生向けの40時間分の講義ノートから編集した「技術・生産管理論」


2001年出版の本で、1980年〜1990年代の自動車業界の豊富なデータを元に、生産管理の基礎を詳しく分かりやすく解説している。具体的な事例や図表がたくさん出てくるので、直接実務に携わらない方にも取り組みやすいのではなかろうか。

生産管理では、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)の3要素がよく取り上げられるが、本著では4つ目の要素としてフレキシビリティを紹介している。
QCDが環境の変化や多様性の影響を受けない度合い」という次元の異なる定義がなされているが、変化に適応してシステムを安定化させるファクターの有無が業績に影響するというのは納得感があった。

2巻では人事管理・設備管理・購買管理・研究開発がテーマとなっている。
生産管理の基本であれば1巻で、製造業全体を知るなら2巻までという構成。

アカデミアの観点からでは、「情報」という観点から一段階抽象化してシステムを観察しているところはとても興味深い。

本書では「商品=顧客にとって有用な製品設計情報がメディアに乗ったもの」と捉えている。つまり、自動車の車体とは外観・デザイン・剛性・空力特性といった設計情報が、鋼板というメディアに乗っていると考えるわけだ。

製品開発は設計情報を作り出すプロセスであり、生産は情報を転写していくプロセスという形で捉えることができる。優れた素材は優秀な情報が載った媒体であり、腕の良い技術者は情報を転写する速度や精度が高いと考えることができる。
 これによって、開発で作った情報を媒体に転写していくプロセスとしてものづくり全体のシステムを捉えることができる。

抽象化することで、個別プロセスではなくて全体工程を同じように見ることができるのはとても面白いと感じた。

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