木曜は美容院に行ってヒヨコのような頭になった入山先生の「トップ起業家との対話」別名、面白人間大集合!
今日のゲストはクロスフィールズの小沼大地さん!
【とにかく熱い話の始まり】
- 大学を出てから青年海外協力隊に2年間、マッキンゼーで3年間働いた。社会貢献とビジネスをつなぐことにこだわっている。ビジネスの世界は利益を追求し、社会貢献は社会をより良くしていくと思われてきたが、これが変わってきている。
- ビジネスの世界でも、マイケル・ポーターが社会的価値を出していくことが競争優位を築くというCSVの考え方を提唱した。
- 社会貢献も昔は国連が途上国のために開発をしていくという発想だった。2015年10月にSDGを採択して、先進国も途上国も行政もNPOも協力して取り組んでいくという形になり、国連側も変わってきた。
- ライフシフト人生100年時代ではインディペンデントプロデューサー・エクスプローラー・ポートフォリオワーカーなどで探索を求められている。
- 入山先生も提言している越境学習への関心の高まり。専門性と専門性のハブになるH型人材が世界を変えていく。ストラクチュアルホール理論からも言える。(入山先生の)個人的な体感。専門性の軸は社会課題解決に持ってほしい。20~30年先にも役に立つところの飛び地や、今の世界だとあれ??って思うところに専門性の軸を持ってもらいたい。そう言ったところに軸を据えないと、10年後には大したH型人材になってないかもしれない。
【留職プログラム】
- 新興国の最先端の社会課題を、日本の会社のリソースを投入して解決する。青年海外協力隊のビジネス版。企業の専門性を使った社会問題解決を行う。
- 未来を切り開くリーダーの育成として日本企業からお金をいただく。Win-Winの関係を築く。ビジネススクールに派遣するレベルの費用を頂いている。
- 現在は民間30社ほどで展開し、派遣人数は120人程度。労働集約的なビジネスで爆発的な伸びではないが、時代の流れには乗ったと感じる。
【小沼さんの原体験その1】
- 一橋大学ではラクロス部主将だった。もともとは教員志望だったが、世界を見るために青年海外協力隊に行った。その当時は同級生がなぜ企業に行くのか?貧富の差を広げているじゃないかと噛み付いていた。彼らは「ビジネスの力で貧富の差を縮めることもできる」「金融の力で日本をもっと元気にする」などと熱い想いを持って大企業に入って行った。その姿に感動した。
- しかし、2年経って青年海外協力隊から帰ってきて同期で飲み会をしたとき、シリアの話をしたら、ドン引きされた。「熱さが足りなかったかな?」と思ってさらに熱く話をしたら「25歳になってまだそんな熱い話をしているのか?早く会社に入って大人になれ」と言われた。
- 大好きな友人たちが変わってしまったという気持ちがあった。自分にはなぜか会社に入るというのができなかった。日本社会にとっての機会損失だと感じた。
- 社会課題を解決するといいながら、内情は別。目の輝きを盗んだのは日本企業だ。怒りを感じた。この思いを持っている人が、思いを持ち続ければ課題は解決できるはず。なぜ若い人にあったはずの情熱や働く人の目の輝きは消えてしまうのだろう?
- シロクマ理論:クマは緯度が高くなるとでかくなる。寒くなると体をでかくして、外界に対する表面積を小さくする。外界の変化に対して鈍感になる。つまり、図体が大きくなると外の世界の変化を見えにくくなる。大企業では社員は外界との接点を失ってしまい、働く人の情熱を失わせてしまっているのでは?
【小沼さんの原体験その2】
- 青年海外協力隊という原体験で、豊かな国日本が先進国に支援すると思っていたが、実は真逆の世界だった。
- そこで出会ったシリア人のアリさんは人口2000人の村長の長男。マイクロファイナンスの手法が2005年ごろに出たときに、アリさんはNPOの職員になって朝から晩まで物凄い勢いで働いていた。「なぜそんなに働いているのか?」と聞いて見たところ「俺がマイクロファイナンスをやったら、家族・親戚・村が幸せに豊かになる。自分が1分働けば、それが幸せに繋がる。だからやるんだ」という答えが帰ってきた。自分の仕事に誇りを持って働く姿を目の当たりにした。
- ローランドベルガーのコンサルタントがNPOに出向していた。その時は「なんでこの悪党たち(企業)が社会貢献の世界に入ってきたんだ?」と思っていた。しかし、KPIの設定やPDCAなどのビジネスのやり方を導入することで、NPOのプロジェクトがうまく行くようになり、明確に村に来る支援の量が増えてきた。
- ドイツ人のコンサルタントのレナは元弁護士・MBAで、メカニカルに早口で指示をバンバン出す人だったが、あまり現地に足を運ぶこともなかった。そんな中、レナが村に来た時に村の女の子が「ありがとう」と花をプレゼントした。なぜ花を渡したのかを聞くと「私のお母さんがマイクロファイナンスのおかげでミシンを買った。裁縫の仕事をして収入が上がることで,私が学校にいけるようになった。学校は楽しいし、家が笑顔になった。だからあなたに花をあげた」と答えた。
- 自分の仕事が村を豊かにして、子供を幸せにしていた。ビジネスで感じたことがなかった思いをレナは感じた。その後から、レナの仕事の仕方がガラッと変わって、現地に足を運ぶようになった。また「それは村にどんな幸せを渡すものなの?」という質問を投げかけるようになった。
【留職がつないでいるもの】
- 新興国は想い・情熱を持っているが、リソースが足りていない。一方で、日本はリソースにあふれているが、想い・情熱を持ちにくい。その橋渡しを行う。
- 瓶詰めのノミという実験がある。ノミは体長2mmで30cm飛べるのだが、小さい瓶に詰めて3日放置すると、蓋を外しても高くは飛ばなくなる。瓶を外しても瓶のワクの中だけで飛び続ける。これがまさに日本企業・社会っぽい。普通のノミを1匹入れると、「あ、飛べるんだ」って思って普通に戻る。瓶の形はないんだと周りに知らせたい。個人と組織を変えたい。日本の組織がリソースを使えるようになってほしい。
【実際の経験談1】
- 33歳で、千葉にある食品会社の基礎研究所勤務の研究員が、インドネシアの農村部で農作物の加工方法を担当するNPOに派遣された。
- ラボといっても、村の台所があるだけで何をするかは良くわからなかった。1ヶ月くらいは頑張ったけどダウンして寝込んでしまった。そんな時、村人がグァバの葉っぱを食ってみろと教えてくれた。食べてみたら確かにお腹が良くなって、解毒作用があることがわかった。そこで、普段は捨てていたグァバの葉をお茶にする開発に取り組んだ。今まで基礎研究しかしてこなかった研究員が、自力でお茶を抽出し、ラベルも自作してペットボトルにするところまで完成させた。
- 「発表会のその時だけは感謝される」というのは国際協力あるあるなのだけれど、この時1年半後に現地に行ったら、村の人はグァバのお茶をまだ売っていたことが分かって嬉しかった。本当に現地にインパクトあるの?と言われるが、100%満足いただいている。
- 帰国して報告会をやったところ、上司から「いつから語尾をはっきり言えるようになった?」と言われた。歩き方が変わった・口癖が変わったと言われることもあった。
- スキルではなくマインドセットが変わる圧倒的な原体験を提供している。1~2度は方向性が変わる。すぐにはわからないけど、キャリアの進路を30代の時に1~2度変われば、50代になれば大きく変わるはず。
【実際の経験談2】
- パソコンの耐性を高める開発をしていた電機メーカーの技術者を、ラオスの社会的企業でソーラー器具改良を担当してもらった。器具を分解して、すぐに耐久性をあげる提案とマニュアル化を完成させて、現地のスタッフから凄い!という評価をえた。
- その後、電気が通ってない村に太陽電池とソーラートーチ(懐中電灯)を配っていた。昼間に充電して夜の照明としてソーラートーチを使っていた。無電化の村は夜になると本当に真っ暗になる。その後で自分が調整したソーラートーチが点き始める。子供達が電気の下で勉強をし、おじいちゃんたちが手仕事を始めた。
- みんなソーラートーチのスイッチを3段階の弱で使っていたので「強にすると明るくなるよ」と教えてあげた。すると「強にするとヒューズが飛んだことがあるから弱で使っている」という答えが返ってきた。それを聞いた時「エンジニアとして、僕は恥ずかしかった」自分はパラメータの数字を上ることだけをやっていた。耐久性を上げることで、ユーザーさんがどう喜んでもらえるのかを考えていなかったことに気づかされた。日本を技術で明るくしたいと思って今の会社に入ったはずなのに、自分の仕事の仕方はまずかったと思った。部署の周りがエンジニアリングのやり方が変わってきた。少しずつ変わりつつある。
【本当に留職だけで変わるのか?】
- ビジョンは「すべての人が”働くこと”を通じて、想い・情熱を実現することの世界」
- でも、ミッションを具体的にしすぎると、具体的なミッションに業務の幅を縛られて呪われていた。正しいと思っていたけど、社会に良い影響を与えていないと感じることもあった。そこで大きい方向性をアバウトに作って、その時々で必要なものを置いていこう、世の中の風がどちらに吹いているかを見ていこうと考えた。あえてミッションを曖昧にした。
- 留職→若手を中心とした個人の変化→会社の変化→社会の変化という課題感を持っていた。しかし、派遣した方についてヒアリング追跡調査すると、活用できている方と活用されていない方の2つのグループに極端に別れていた。上司の存在が経験を生かせるかどうかを左右することが分かった。
- フィールドスタディで経営層・幹部の意識改革を行う。幹部の人を社会課題体感型のフィールドスタディを行うようにした。
- 新興国における課題を「かわいそう」で終わらせない。課題を解決できることをわかってほしい。社会課題に立ち向かうリーダーとの対話・交流を行い、志の内省を行い、原点に戻って社会課題を解決するという熱量を今一度持ってもらう。
【これからの時代を切り開くリーダーに求められるものは】
- 情熱・スキルだが、学校教育・企業研修はスキルに集中しすぎている。
- 思いを先に持っておく。スキルをどう見つけるかは後で調整できる。思いを持て。
- ノミが瓶の形を壊すと信じている。挑戦しないことがリスク。
- 同級生に言われた時、その思いを忘れて生きていくことはできた。でも、自分にとっては後悔するのが最大のリスク。挑戦することでリスクを回避しよう。
- 今常識的なことは、数年後は非常識になっている。逆に、今非常識なことが将来常識にある時代に生きている。
- これやる!って言って、周りがいいね!を伝えるのは悪い。周りは結構反対するけど、俺はこれが大切ということを貫く。その方が自分らしい人生を遅れる。
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