2018年2月25日日曜日

20180224:サンディエゴのヘルスケア・エコシステムを新事業創造に活用する!

本日はWBSヘルスケア部講演「サンディエゴのヘルスケア・エコシステムを新事業創造に活用する!」に参加

牧先生・樋原先生・黒河先生・櫻井様の講演&パネルディスカッション。



【講師紹介】
「<読み上げ>・・・<読み上げ>・・・(めんどくさくなる)・・・以下省略します」

【イベントの目的】
サンディエゴと早稲田のリソースをつなげる場を作りたい。
現役生と卒業生の交流ができる部活にしたい。UCSDの卒業生や住んでいた人を呼んでいる。そこでの交流を目指している。

【イベント参加者が寄せる期待】
  • 医療機器メーカーのエコシステムに関する修論を書くため
  • サンディエゴに駐在した経験はあるが、企業の研究所以外の交流がなかった。
  • 昨日の夜の段階で牧さんは何もスライドを作っていないと暴露していた。どこまで出来ているのか調べにきた。(By ゼミ生)


【サンディエゴエコシステム101
101」は、アメリカの大学で一番の基礎科目を101と付けることに語源がある。基礎を教えると言う意味。

<サンディエゴと聞いて思うことは?(フロアより)>
  • ライフサイエンスとしての拠点
  • アザラシ
  • ゴルフ


全米でも最も観光地として有名で、観光産業が発展している。
海軍の町として有名 軍港(トモダチ作戦の時のロナルド・レーガンの空母がいる)

<サンディエゴはどのような特徴を持つか?(フロアより)>
  • 全米に限らず、世界中から起業する人がどんどん外から来ている。
  • シリコンバレーのライフサイエンス版かなと思っていた
  • 海軍の影響は大きい。ビジネスプランの主要顧客が海軍。軍港が起点になっている。
  • 地政学的なメリットがあるはず。自然の豊かさ。クリエイティブになれた。


USCDがマグネットになっている。サンディエゴはアメリカの南の下の角

  • バイオサイエンス
  • コミュニケーション、コンピューター、エレクトロニクス
  • ソフトウェア
  • 国防
  • 環境

これらの産業を融合させて作っていくのが得意。ヘルスケアのシリコンバレーといっても良い。
サンディエゴはアメリカの一番南の端で、車15分でメキシコに行ける。日本企業が皆ティファナで全米のテレビを作っていた。
UCSDからのスピンオフが多い。

<サンディエゴのベンチャーの動向>
Crunchbaseで見ると、累積で2100くらいのベンチャーが買収によってイグジットしている。ベンチャーの数はシリコンバレーの半分。1位がボストン、2位がサンディエゴになる。

<なぜクラスターになったのか?>
  • UCSDが全米5位の研究費(1.1B$)を持ち、研究資金源になっている。 
  • 周囲の研究所が沢山ある。密集度の高いライフサイエンスの研究者が集まっていて、他の組織も連邦政府から研究費を獲得している。
  • スターサイエンティスト(傑出した業績を上げる科学者)は日本全体で123人だが、サンディエゴだけで74人いる。極めて高いレベルの研究者が集まっている。
  • これだけバラバラなリソースが連携するようなネットワーク組織がある。(コネクト 1985年設立)大学からのベンチャーを支援し、人を繋げる仕組みがある。
  • トランプ政権になって、留学生が減った。入国審査は厳しくなったと言われているが、ティファナの生産は減っていない。
  • クアルコムからレイオフした人がベンチャーに行くなどで人材の流動性がある。
  • サンディエゴはアメリカで一番いい気候なので、金持ちが老後にくらすようになった。彼らに対するサービスの提供として、ライフサイエンスの拠点となっていった。


<サンディエゴと日本のリンケージ>
  • ライフサイエンスの共同研究を増やしたい
  • もともとサンディエゴは太平洋に面していて、アジア重視。最もジャパンフレンドリーで日本との連携を喜ぶ。東京オフィスが出来ている。
  • 国立大学の制度改革として、未来の大学の経営者を育てるプログラムがある。副学長をサンディエゴに連れていって、経営システムを学ぶ。参加者の中でネットワークが出来ている。
  • UCSD Rady:サンディエゴにいた頃に授業を担当していた。
  • Japan science technology and entrepreneurship programWBSUSCD Rady が共同で開発した。サイエンティストとエンジニアがむちゃくちゃ多いので、経営に関する3時間の講義を10回やる。VirBELAを使っている。
  • 京都大学はサンディエゴにオフィスを作って、共同研究を推進している。ここまで連携しているのは珍しい。千葉大学の医学部も相互に連携している。
  • サンディエゴではライフサイエンスのベンチャーを立ち上げやすい。企業もどうやって立地するかと言うニーズが増えている。


<インキュベーション エコシステム案>
  • 大学の医学部からサンディエゴと連携したいという声が挙がっているが、日本のエコシステムが使えない。
  • そこで、シーズごとサンディエゴに持っていって、インキュベーションを向こうでやりたい。インキュベーションのサポートプログラムを作って、企業からお金を出してもらってインキュベーションして、スタートアップを作って行ってはどうか? 大学はニーズがありそう、サンディエゴ側も受け入れたいと感じている。
  • 日本のエコシステムがうまくいかない理由は①投資環境が弱い。②マーケット環境。アメリカのどこかに立地して、アメリカのマーケットを抑えることが大事。
  • エコシステムが弱いところで立ち上げる意味はない。日本の大学のシーズを生かしてサンディエゴで立ち上げる方が良い。
  • 早稲田やRadyはシーズのマーケットのデューデリジェンスを担当することを考えている。ファンドがやってくれることもあるだろうが、最初の方では大学がデューデリジェンスをやってVCを回ってもらう。ビジネススクールでやれるのはビジネスプランを作ってマーケットを調べること。
  • 企業同士が直接連携するのは信頼を築きにくいために難しい。企業間に大学が入るとやりやすい。
  • 1980年代にアジアからアメリカに沢山送り出した。その後、アジアに戻って来てシリコンバレーとのつながりで発展して来た。これがアジアのエコシステムが発展している要因。ネットワークを作る人が10年くらい向こうに行ってやる人が必要。


【パネルディスカッション】
樋原先生:私が立命館時代に牧さんと出会った。当時は慶応の助教だったが、最初の出会いは印象悪かった。インキュベーション施設の運営会議に牧さんを呼んでいた。牧さんの発言に対して「それは置いといて」とスルーしたことをずっと根に持っている(笑)その後は牧さんの背中を押してサンディエゴに送り出し、夏の集中講義で毎夏授業を持ってもらった。

樋原先生:私大では相対的に低いけど、理系と文系の壁が高い。海外の大学は壁が低い。理工学部の場合、ジョイントする仕組みもない。UCSD Radyは比較的若いビジネススクールだが、短期的にレピュテーションをあげた。WBSも同じ環境にあるのでコラボレーションを考えた。

黒河先生:東大の公共政策大学院にいた頃に共通の先生を介して知り合った。サンディエゴを模範的な例として大学改革をやって行きたい。東大としてどのように取り組むべきかを考えていた。当時、牧さんはUCSDの博士課程にいた。東大は公共政策大学院がハブになって、医学部などに入り込んでサンディエゴと連携するようになっていった。

黒河先生:スコア上では研究においては東大の方がUCSDよりも上位。しかし、論文の引用・資金・教育の面ではUCSDの方がはるかに高い。学際性が高い論文は引用が多い一方で、東大が出している論文は専門的で引用が少ないという違いはあるかもしれないが、エコシステムにも取り組んでいかなくてはならない。牧さんとは海外研修を一緒にやらせてもらったが、ビジネスだけ、政策だけをやっても仕方ないので一緒にやろうと言う話になった。

櫻井様:田辺三菱製薬で30年くらい働いている。サンディエゴに研究室を二十数年来持っている。管理職で出向して7年くらい。UCSDの寮が近くにあったのが縁で、他の先生と違って牧さんとは単なる飲み友達。サンディエゴにフォーカスして面白い提案をしてくるが、年寄りの扱いがぞんざい。目上に対する尊敬が全く感じられない(笑)

櫻井様:自分は学問的にやっているわけではないが、サンディエゴで研究するメリットは、とにかく大学や周りのベンチャーの連携だけで仕事が成り立っていること。医学関係では、日本で先生と付き合うのは大変だが、サンディエゴでは楽。うちの会社だけでもいろんな共同研究やコラボを行うことができる。他のベンチャーと一緒に研究できる。大学のエコシステムを直接使うわけではないけれど、いろんな大学の先生から問い合わせを受けたり、研究所に立ち寄ってもらっている。

牧先生:いつもぞんざいですみません。この中継も昨日お願いしたばかりです(笑)みなさん話が長いので短めでお願いします。
USだ!サンディエゴだ!と感じて、日本に直輸入しようとするけどダメ。過去何度もやって来たけど失敗ばかり。サンディエゴも相対化して考えなくてはならない。ICTとライフサイエンスとの対比をするべき。
以外とVCドリブンではない。VCが作って来たエコシステムはICTにしか機能しない。バイオでやろうとしたらうまく行かなかった。製薬ではVCを通した外との交流はバリューを出していない。その意味でサンディエゴは面白い。VC以外でのアライアンスを考えた方が良い。その辺の方がキーかもしれない。シリコンバレーとは違ったシステムがサンディエゴにあるのかも?

樋原先生:日本の大学が送り込みまくっている。コンペティティブになっている。早稲田に医学部がないのはメリットとも言える。早稲田は他の医学部といくらでも手を組める。医学部しかやってない大学はそれしか機能がないので補完性がある。
こっちから人を送るばかりなのはどうなの?という意見に対し、日本橋にエコシステムを作ろうとしている。ここの経験から言えば、日本橋にいかにサンディエゴの人を連れてくるかと言うのがポイント。WBSには全日制のプログラムがあるにも関わらず、この講演に日本人しかいないのが問題なのかも。東京サイドを変えると言うイニシアチブもあって良いかも。

黒河先生:ファンディングは最もあてにならない。時間がくるとお金を出さなくなる。一瞬ドーピングする分には使えるかも。手が切れてお金が切れても行けるようにしておくべき。
バイオデザイン:スタンフォードのリソースを使って、向こうの輸入をするモデル。自分たちの知恵や技術を高めて行く。ずっと高いライセンス料を支払い続けて行くだけになっている。矢印を日本からサンディエゴに行くだけでなく、どれだけサンディエゴのリソースを引っ張れるかを考えることが重要。エコシステムという以上はサイクルにすべき。 

櫻井様:ネタの先進性に左右される。アカデミアの先生の目線と企業の目線(医薬としてものになるかどうか)は乖離がある。医学部の先生のアイディアだけだと厳しい。目利き的な要素が入ってないと。サイエンティフィックには面白いけど、医学のネタとしてはつまらないとなる。そこを見極められるか?日本には欠けている。アメリカはもっとビジネスドリブンなので、理系出身・PhD持ちのVCの方が目利きができる。日本のネタを海外に持って行くのは難しいかもしれない。

樋原先生:日本の組織がサンディエゴの組織とやるとうまく行かないのでは?と思ってしまう。

櫻井様:日本企業の意思決定の仕組みが入ってくると、なんの出口もなくなってしまう。アメリカの中で小さなローカルな人間が意志決定できるような仕組みでやって行かないと、スピード大切。
本社からバジェットが出てくる。私の仕事は本社との防波堤になって、アメリカ流の研究や意思決定ができるように担保している。

牧先生:サンディエゴのVCが減っている。ここ1年ではVCでもエンジェルでもないファミリーオフィス(超金持ちの個人)が長期的な投資をやっている。日本の方がペイシェントキャピタルがあるのではないかな。

牧先生:企業が特定のエコシステムに立地したときに、どのような戦略をとると良いか?本社からの独立性がないとエコシステムを活用できないけれど、独立性があると本社の役に立たないトレードオフがある。

フロア:シーズを持った人がサンディエゴでインキュベーションされたいと思っている人はどの程度いるのだろうか?得体のしれない研究者が渡米してものになるのだろうか? 

牧先生:大学がトップダウンでやりたがっている。日本の研究者のビヘイビアとして、サンディエゴでやりたい人はいない。サバティカルの間にやれるかどうかくらい。仮に事業化すると向こうでCEOを雇えるかどうか。シーズのレベルで100個あったら1~2個くらいは向こうでなんとかなるのではないか? 

フロア:人がアクセラレートしたいと思っているのか?

黒河先生:今まさにリサーチのコラボレーションが始まったレベル。まだ研究者レベルではそこまでのモチベーションを持っていない。

牧先生:ポスドクの30人中2人が起業志向があった。アメリカでは、ポスドクの環境がベンチャーを生まれやすい環境だとマインドセットが変わる。教授が起業していると学生も起業しやすい。

フロア:厚労省・文科省ははっきりした回答をしない。レギュレーションが厳しい。政府機関も入れて解決に向けて取り組んだ方が良いのでは?

黒河先生:NEDOUCSDに調査を委託してみたり。日本のメーカーにとってハッピーな可能性があるのか調査を始めたところ。厚労省が仕掛けを作るなどはしていない。役所は入り込んでいない状況。

フロア:ビジネスアクセラレーションプログラムは人手を食う。とても人材がいない。企業とのマッチングがうまく行かない。大手とベンチャーをつなぐ人材が必要。誰が面倒を見るのかが大事なのでは?

牧先生:アメリカではそこが手厚いので、向こうなら回るかもしれない。日本企業が入らないとエコシステムになるのか? 

黒河先生:役所は新しいテクノロジーに対してどのように規制するかというレギュレーションメイキングの部分では知識をシェアできる。担保すべきクオリティでは同じ。ともにレギュレーションを作って行くというコラボはありうる。そこに入れ込めるかは大事。

フロア:サンディエゴの人は日本との連携に興味があるのか?どんなパートナーを求めているのか? 

櫻井様:持ってくるネタ次第。成功確度が相当低い中で、1つのプロジェクトが100%進むことはありえない。初発で燃えるものがどれくらいあるか?それ次第。アメリカで日本人だけでやろうとすると無理がある。どれだけローカルのコンサルや現地スタッフとやるか、チーム作りがとても大切

樋原先生:ネタがとても大切。創薬や製薬に縛らないで、ウィンドウを広げておくのが良い。日本には何か発掘していないシーズがあるんじゃないか?と向こうは思っている。

黒河先生:日本の大学の弱さは産業に結びついていない点。利用可能性をサンディエゴが評価してくれるように持ってくることが大事。

樋原先生:この授業でアクションする。ゲリラ的にどんどん動いてもらう。海外講義の授業なども、大学の中の詰まらないプロシージャーも踏んでいる。ゲリラ的な関係をやった方が良い。ビジネスプランコンテストなどをゲリラ的にやることもできるだろう。


牧先生:とてもよく喋る人のモデレータはとても大変でした(笑)

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