2018年3月13日火曜日

20180313:第27回OE研究会『生きている会社、死んでいる会社』出版記念トークライブ

27OE研究会『生きている会社、死んでいる会社』出版記念トークライブ



遠藤功先生の生講演を初めて聞いてきた!



【遠藤先生のオープニング】
  • 今日は山口さん・山崎さんとの雑談がメイン
  • 良品計画の金井会長も「取締役会での雑談が大切」って言っている。20分くらいで「最近どう?」と言った雑談が有意義になる。そこからヒントが生まれたりする。こんなことやってみようか、大事だねとかに。
  • テーマを決めて議論することも大事だけど、雑談していて何にもないところから生まれてくることもある。ポッと面白いものが生まれると良いかも。
  • 会場で配っている要旨を読めば『生きている会社、死んでいる会社』を400ページ読む必要はないけど、多分わからない。なので買って読んでください(笑)
  • 「うちの会社は生きてるでしょうか?死んでるでしょうか?」と聞いてくる人がいるけど「俺に聞くなよ」って感じ。だからチェックリストにまとめておいた。全部で17項目。
  • 最初の項目「大きな熱源としての経営トップが存在する」で×がついたら、この先の設問をやる必要はない。
  • 16点以上は生きている会社、11点~15点はあと一息で生きている、6点~10点は死にかけている会社、5点以下は死んでいる会社。
  • 自分の会社を思い起こしてセルフチェックして見てください。16点以上の人は帰ってください。この講演を聞かなくても大丈夫です(笑)まぁ、今生きてる会社でも、将来死ぬかも知れないし。
  • 社長は何点をつけるか?現場を何点つけるか?乖離があるかどうか調べてみると良い。
  • マザーハウスで採点してみると17点だった。生きている会社だった。


<マザーハウスに関するトークのイントロ>
遠藤先生:ここは儲かっている会社。生き生きして活力がある。マザーハウスは全体で400人の社員がいるけど、それだけの人数いて生きている状態なのはすごい。その規模でも生き生きしているとはどういうことか?

山崎さん:実は『生きている会社、死んでいる会社』の編集を担当したのが大学時代の同級生だったことに驚いた。東洋経済のエース編集者。
山崎さん:山口さんとは同じゼミの1学年違い。大学卒業後、自分はゴールドマンサックスに勤務した。

<山口さんのマザーハウス紹介>
  • 大学卒業後、バングラディッシュの大学院に行った。援助が本当に役に立っているのか、求める人に届いているかを確認したかった。援助をするよりも、人が働くという民間・ビジネスの世界で可能性を探し始めた。
  • 民間の工場では中国のコストが高くなったら、バングラディッシュか、ミャンマーか、ベトナムかという競争になっていた。バングラディッシュではそこに食い込むために中国より安く早く機械よりも安く作ろうとしていた。
  • バングラディッシュではビルの崩壊事件なども起こっていた。安く働かなければならない現状では、どこかにしわ寄せがいく。誰がババを引くかという問題。誰かが赤字を出さなければ生きていけない。そんな状況が気持ち悪かった。その人たちの可能性をどうやって実証すれば良いか?言葉では嫌だなと思った。
  • バングラディッシュはNGO大国と呼ばれてすごく援助が来る。でも、良い商品をバングラディッシュで作りたいと思った。そこでは現地の素材を全て使おうと思った。ジュートはコーヒー豆の袋にすると1つが75セント。160個のジュートバッグから始まった。いまは自社工場で9,500個作っている。
  • 自分は年間で7割は製造現場にいる。ほとんど手仕事。天然素材はブレが大きい。皮のなめしからやっている。
  • 全て直営店で行なっている。自分たちで手作りで店を作って、直接顧客に届けたいと思っている。お客様が生産地を訪問するツアーをやっている。
  • ゼロを1にするのが自分の役割。力強いスタッフに囲まれてそう思っている。
  • 過去半年くらい集中して1つの国に滞在していた。それがインド。これまでインドを囲むように製造拠点を作ってきた。500万人がインドで手織りをしている。哲学が強いプロダクトがあった。それがガンジーの糸車。
  • 自分たちの綿は自分たちで紡ごう。加工品までインドでやろうというムーブメントがあった。かつて宗主国であったイギリスがインドから綿を買って、加工してインドに売っていた。そこでインドの手紡ぎを復活させた。この伝統あるカディを現代風に蘇らせたいと思った。
  • インド人を面接して、縫製スタッフを作り上げている。今は8人くらいのメンバーで行っている。200番手・300番手と言った最も細い糸を目が見えなくなりそうになりながらもおばあちゃんが紡いでいる。これが先日リリースしたばかりのFabric of freedom。これで生産地が5カ国になった。染色まで行っている。自由の風をまとう人。
  • 素材開発からやっていて、デザイナーとして現地で作っている。ベンガル語、バングラディッシュ語・コルカタ語・ヒンドゥー語・ネパール語もいける。現場の職人と理念を体現するようなものづくりをする。香港と台湾でも完全子会社で販売をやっている。山崎さんも5割は海外だけど。


【遠藤先生との出会い】
<山口さん>
  • 売る場所がなかったので、いろんな講演会に出て売るチャンスを狙っていた。ローランドベルガー主催の女性起業家のイベントがあったので、参加したが、すごい女性社長ばかりで場違いだなと思っていた。そこで最初に挨拶してもらったのが遠藤先生だった。
  • 最初見たとき、すごいお金持ってそうだなと思った(笑)バッグを見せたらその場で2つ現金で買ってくれた。何て良い人なんだろうと思った(笑)
  • 毎月食事をご一緒していろんな話を聞いた。自分は12年間ビジネス書は読んでない。遠藤先生の話はやり方が2~3割で、他は気持ちの話。なんで自分は働いているんだろうとか弱音を泣きながら先生に語った。
  • 遠藤先生はそのフェーズ毎で必要な言葉をくれた。「お前が言い出しっぺだろ」「自分の思いはどこに行ったの?」と言われ、自分の原点に立ち返ることができる。
  • マザーハウスの紹介をすると「行ってみたい」と言われることがある。しかしバングラデッシュの工場まで実際に来たのは遠藤先生だけ。治安が悪い2009年にストライキがあったにも関わらず、汗だくになって来てくれた。
  • ものづくりの本質を工場で語ってくれた。その後、工場の人たちは「あの人(遠藤先生)はいつ来るんだ?」と工場の職人の心をつかんでいた。ネパールにも来てくれた。現場でフットワークの軽さ、人の心の掴み方を学んだ。


<山崎さん>
  • もともとコンサルが好きじゃなかった。上からものを言われるという抵抗感があった。コンサルのイメージを変えたのは遠藤先生。
  • 「下が成長しない」と遠藤先生に愚痴った時、大事な言葉をもらった。「お前バカか。お前が一番いい機会をとって、一番楽しい経験値を踏めるところやってるんだから、お前だけが成長して部下が成長しない。差が広がるばかりだろう」プレイヤーからマネージメントに変わるきっかけをくれた。皆に機会を与えてないからダメなんだということを思い知った。


<遠藤先生>
  • なんか、遠藤さんのお葬式をやってる感じ(笑)故人を偲んで「いい人でしたね」という。天国から聞いているような感じがして、なんと言って良いのやら。
  • こういう風に言われるのか~と思った。生前葬をやられているような・・・まだ現役だぞ。


【座談会】
  • 遠藤先生:生きている会社とはどんな会社か分かってもらえると良い。2人からすると当たり前だろうけど。17点だと、点数がつかなかった項目はどれだ?
  • 山崎さん:「日常的に褒める仕組みが埋め込まれているか?」「実行が科学的にアプローチされている」点がつかなかった。代表(山口さん)が科学的なアプローチをしているからなぁ。皆ストイックに頑張りすぎて、走りすぎている。止まって褒めてあげる仕組みは足りていない。
  • 遠藤先生:数十人くらいまでは仕組みを考えなくてもよかった。でも、400人規模なら仕組みが必要。仕組みにしちゃうとつまらない。
  • 山崎さん:仕組みがあるとやらなくてはいけないことを思い出させてくれる。仕組みを壊す仕組みも必要。ECRSの話を現場でしたら、現場でやりたかったことをやるようになった。
  • 遠藤先生:仕組み任せにしてしまって、仕組み依存になるとダメ。

  • 遠藤先生:マザーハウスを12年間やってみて「うちの会社って大丈夫か?」と思ったときはあるか?危機感を感じたことはあるか?
  • 山口さん:会社としての主語では考えたことはない。自分がこけてしまうという危機感はあった。
  • 遠藤先生:自分が突っ走り続けなくてはならないということ。途中で休みたいとは思わない?
  • 山口さん:次の国、次の国となっている。無難なルートを歩めない。休みたいとは思うけれど。
  • 遠藤先生:周りの期待とか、動力源は変わっている?
  • 山口さん:エネルギー源は変わっている。素材があるというプロダクトアウトがある。モチベーションは1つではない。
  • 遠藤先生:何かが自分を押している?
  • 山口さん:新しい素材に巡り会いたいという好奇心。見つけるまでは楽しいけど、見つけてから形にするまではめんどくさい。プロセスは大変。

  • 遠藤先生:山口さんが危ないと思ったときはある?
  • 山崎さん:しょっちゅうです。山口さんを休ませることが私の仕事。お互いに自分では分からなくなる。経営者は自分では分からないので、相手を無理矢理にでも休ませようとする。昔は休むリソースもなかった。めちゃめちゃ喧嘩してた。
  • 遠藤先生:2人が働き方改革しなきゃね(笑)

  • 山崎さん:自分がファイナンス担当だったので、数字を見ていた。でも山口さんは見てなかったね。
  • 山口さん:数字は見ない。売上は見るけど利益は見ない。キャッシュも見ない。見たらできない。
  • 遠藤先生:自慢げにいうなよ(笑)
  • 山崎さん:震災の時は売上が8割減で、キャッシュが回らない。流石にイライラしていることは山口さんにも伝わった。

  • 遠藤先生:世間ではマザーハウスはベンチャーだから若い会社で生きていると思われる。でも12年経って社員が400人になってる。それでもフレッシュでいられるのはなぜだろう?
  • 山口さん:ネパール・スリランカなどゼロイチをやったのが大きい。ずっとバングラディッシュのカバンを作るだけだったら、ダメだったと思う。ゼロイチをやったのが大きい。
  • 遠藤先生:自分がバッグを作る仕事だけかもしれないけど、会社全体で新しいチャレンジを続けて来たことが大切だろう。
  • 山崎さん:社員は11人雇って来た。いきなり増やしたわけではない。1人ずつ丁寧に雇って来た。その1人が仲間を連れてきた、イキイキした人がイキイキした人を連れて来てくれた。
  • 遠藤先生:死んでる会社は手抜きをしているわけでもサボってるわけでもない。やることが決まっていて、問題意識はあるんだけど同じことを繰り返してそこから抜け出せない。えも言われぬ不満感が蔓延しているのが1番のポイントではなかろうか。
  • 山崎さん:文化はとても大切だと思う。コミュニティとか文化という表現をする。文化の維持のために何をすべきか?そのためには自分ことを語らせること。採用説明会にはいろんな社員を登壇させる。リハをやらずに自分の言葉で喋らせると、自分のやりたいことや文化の再確認になるし、スタッフがあいつこんなこと考えているのかという再確認になる。
  • 遠藤先生:そういう文化に合う人が集まる?合わない人は去る?
  • 山崎さん:山口はゼロイチタイプ。マザーハウスはオペレーションカンパニー。イチから10を丁寧にやる人が必ず必要だけれど、ゼロイチをする人をリスペクトする意識も大切。自分にはできないけどリスペクトしなくてはいけない。
  • 山口さん:勘違い人間は最初の頃はいた。
  • 山崎さん:勘違い人間はネパールのマネージャーをやっている32歳。入社して1年くらいでネパールに行きたい!となった。
  • 遠藤先生:マザーハウスはバランスが良くなって来た。ゼロイチからイチジュウにすることに喜びを見出す人もビジネスでは大切。リスペクトもしっかりある。それがないと会社がないという配慮もされている。

  • 山口さん:バトンタッチできる人がいるという感覚は生まれて来た。最初の頃は「なんで理解してくれないんだろう」と思っていた。途上国の方がよっぽど辛いのだから、日本がぬるま湯に思えていた。日本で働く社員はこんなに恵まれているのに!と思っていた。そう言っていたら人が辞めて言った。
  • 遠藤先生:会社だからいろんな役割がある。目立つ仕事もあれば、日陰の仕事もある。でも目立つ仕事だけで会社が成り立つわけではない。日陰な仕事にスポットライトを当てなくてはダメ。どうやってそのような仕事にリスペクトしていくのかが大切。


  • 遠藤先生: 1,000人になっても行きている会社であり続けるにはどうすれば良いか?
  • 山口さん:自分が現場にいること。オフィスにいたら違う会社になってしまう。何が一番大事かと思う場所にいることが大事だと思う。
  • 遠藤先生:いつも現場に出ていくと疲れてない?
  • 山口さん:楽しい。オフィスの方が辛い。
  • 遠藤先生:山口さんはオフィスの方が辛いよな。オフィスには友達いないし(笑)野に放つしかない。
  • 山崎さん:山口がゼロイチをしてくれれば、それを10にする人に恵まれている。この人が作るのはすごい。異常なこだわり、作ってくれないと売れない。

  • 遠藤先生:デザイナーを育てるというプロセスも大切。いつまでも山口さんだけがデザイナーというわけにもいかないのでは?
  • 山口さん:そこはできていない。現地の人とのコミュニケーションではゴミ捨て場から宝を拾ってくるような感じ。現地の人を好きになれるか。全部ひっくるめてでは田口しかいない。第2・第3の田口が出てくる可能性はある。


  • 遠藤先生:彼女だからできると特殊論に持って行くのは危険。たくさんはいないけれど、育てていかなくてはならない。ジョブズと同じことはできないけど、できている。属人的で終わってしまってはダメ。遺伝子やスピリットをどうやって残すか?個性を残すか?を考えるべし。
  • 山崎さん:大きくなって行くとダメだ、理念の共有が難しいと言われるけれど、大きくなってからの方が楽になったと思う。主人公が増えると言っている。
  • 遠藤先生:いいこと言うね。行きてる会社ってそう言うことだよね。主人公になれているってことだろうな。
  • 山崎さん:以前は会議に出たら、言いたいことだらけだった。しかし、言うべきことをいう人は他にも出てくるようになった。経営者を育てるのが仕事。持っているものは全て提供する。その上で個性を乗せてくれれば良い。今は研修に時間を咲いている。その人の哲学を引き出してあげたい。
  • 遠藤先生:上の人間であればあるほど、自分がどかなくてはならない。人が育たないような蓋になってしまっている。重石にあっている。自分が退けば上がって来てくれる。
  • 山崎さん:社員には実力の1つ上のポジションを与えるとぐっと伸びる。それを実感する。
  • 遠藤先生:それがわかっている会社だろうな。なんのために働いているのか?人が成長しないと行きている会社とは言えない。一番成長するのは失敗。やらせるしかない。大概、経営者が邪魔している。こいつはと思った人間にはやらせる。ローランドベルガーでは自分が社長の時よりもいい仕事をしている。私の貢献は退いたこと。ずっと社長のまま居座っていたら、私も彼も会社も成長しない。私は次の仕事を作らなくてはならない。新しい仕事を作ると、ほかは任せなくてはならない。自分がのめりこめるものを見つけることで、人が育つチャンスが生まれる。そうなれば大きくなっても大丈夫かもしれない。サラリーマンなところだと、どかないし、守ろうとする。そうすると死んでる会社になってしまう。上司がどくかどうか?守りに入っていれば転職した方が良いかも(笑)


  • 遠藤先生:マネジメント上の工夫は?
  • 山崎さん:分けるしかないかな。40人くらいなら、クラス皆の名前とキャラを理解しているボリューム。認知には限界があるし。信じ切って任せる社長
  • 遠藤先生:1,000人の会社ではなく、200人の会社が5つあるようなイメージ
  • 山崎さん:分社化するという話はしている。そのような競争も大切。店長は中小企業の社長であれという話をしている。スタッフがいれば企業の社長になる。オーナーシップを持った組織になる意識が必要。

  • 遠藤先生:マザーハウスでは新卒を取り始めた?中途と違う?
  • 山崎さん:新卒はいい意味で怖いものを知らない。社内ポスティングがあるチャンスがあれば、迷わず手をあげる。6人中4人くらい。同じ条件でやるが、
  • 空気が読めるのは中途。新卒はカルチャーが特殊であることを意識しない。比較できないし。3年で15人くらい採用して辞めたのは1人。辞めないと思うな。
  • 遠藤先生:大企業の場合、安定しているかどうかが大事。不満があっても安定していれば残る人もいるだろう。マザーハウスは安定してないじゃん。
  • 山崎さん:チャンスがある。入社1年半で店長にもなれる。
  • 遠藤先生:ここにいたら主人公になれるかもしれないという可能性を感じた。新卒は1~2年でもチャンスを与えれば伸びる。一人でも結果を出した動機がいれば頑張る中途は安定して働きたい人もいるし、チャレンジしたい人もいる。新卒はまだ守るものがないので、どんどんチャレンジする。成長しないと機会を与えられない。山口さんが新興国を回っていかなくてはならない。国内にも店舗を出している。丸ビルに店を出してペイするってすごい。ヒカリエにも出している。
  • 山崎さん:上が詰まっている。ポストがないという話を聞くが、マザーハウスではやりたいことが沢山ある。
  • 山口さん:10カ国はやりたい
  • 山崎さん:もっともっと成長してもらいたい。やりたいことの10分の1くらいしかできていない。
  • 遠藤先生:挑戦し続けることが、成長する機会を作ってくれる。そんな会社は主人公になれる。その回転が止まってしまうと死んでいく会社になるんだろうな。
  • 山崎さん:思い・理念がとても重要。成長し続けることがとても大切。今日よりも明日成長することが期待できるか?


  • 遠藤先生:マザーハウスでは捨てることをバシバシやってる。閉店もしっかりやっている。代謝の良さはどこから来ているのか・商品にも思い入れがあるだろうに
  • 山崎さん:山口さんは合理的にバシバシ切る。
  • 遠藤先生:山口さんが人間の格好をしたあくまと思える時もある(笑)
  • 山口さん:売れてない場所、売れてない商品はダメ。それがあるから次のチャンスが作れない。
  • 遠藤先生:山口さんはビジネスについては合理的なジャッジをする。
  • 山崎さん:半年くらいデザインして作ったバッグでも、あっさりやめようと言ってくる。台湾なら赤字だから辞めちゃえよって言ってる。いやいや、もっと時間かけてから見極めようと。
  • 遠藤先生:マザーハウスではビジネスジャッジメントがちゃんとできている。赤字事業でも人がいるから辞められないという判断をして合理的な意思決定ができていない。そこに費やす人を無駄使いしている。他に使えばもっと生き生きするはずなのに、代謝が苦手。山口さんのビジネスジャッジはドライ。人に対してはウェットだけれど、ジャッジはドライでいいと思う。
  • 山崎さん:マザーハウスは20店舗しめて30店舗作っている。作る段階から、利益率でジャッジしている。最初からルールを決めておかないと閉められない。
  • 遠藤先生:人が判断するんではなく、基準で判断している。
  • 山崎さん:これはオーナーだからできている。
  • 遠藤先生:スタッフはウェットだし。
  • 山崎さん:山口さんも青山を閉めるときは泣いた。
  • 遠藤先生:嘘泣き?(笑)店に対する思い入れがあるわけじゃない。その代謝は新しい創造につながる。発展的な代謝
  • 山崎さん:出展を決めたマネジメントのミス。
  • 遠藤先生:ウェットに見えるけど、ビジネスはドライなジャッジ。やめる・捨てるをちゃんとやっている。アマゾンやグーグルと同じ。新しいことに挑戦している一方で、代謝しているからです。中期計画作る時は、第1章は代謝戦略であるべし。何を捨てるのか、何をやめるのかを書かずに、綺麗事の新しいことをやることばかり書いている。やめる・捨てるところから始めなくてはならない。



【フロアとのQ&A
山口さん:最終的に何をしたいのか?というそれを達成したらマザーハウスは成功したというポイントはない。その過程の中でいろんな職人にスポットライトを当てられたのはよかった。今ゴールを決めるのは問題ない。毎年ゴールが変わっていく。死ぬまで流浪の民として走り続ける。振り返ってみたときに人の役に立てたかを感じられれば良い。


<マザーハウスの数字管理>
  • 山崎さん:プロダクトの場合は、ホームランとヒットと分けている。利益狙いか、トントンか、赤字狙いかを最初から分けている。プロジェクトミックスで組んでいる。全てを同じ基準で見ているわけではない。ホームランは当たれば5年間は食わせてくれる。そのようなプロジェクトもある。社会意義のためにやるプロダクトもある。成功モデルのコピーの場合は利益率が予測できる。そのようなものは利益をとる。新規事業の時には最大損失量は決めておく。基準といっても一様ではない。
  • 遠藤先生:会社では、やらないよりも、やることを選びたい。1つの基準だとできないことが増える。がんじがらめになってしまう。やりたいんだけど、この基準では無理だ。だから新しい基準を作って前に進みやすくなる。基本はやる理由を考える。会社はやらないんじゃなくて、何かをやるためにあるんだろうから。ただし、暴走はまずいから基準を設けておく。自分たちで取れるリスクに基づいた基準ファイナンスモデルをしっかり組んでおくことは大切、ここで失敗しても事業には大事だと思わせる。
  • 遠藤先生:山崎さんにもやりたいことは沢山ある。「これだったら会社潰れない」とわかっているから、背中を押す。やりたいんだったらやれば良い。やらせてくれる会社にいて、やらせるところに行くべき。
  • 事前に検証しておかなくてはならない、やって見なくてはわからないという気持ちは大事。モデルは大事だけれど、やって見なくちゃわからん。参考にするけど、本当にやりたいことをやる。
  • 無印の金井さんは「3回来たらやらせる」と言っている。1回でダメと言ったら、大概の社員はへこたれてそれ以降はこない。2回目来たら、前言ったじゃんダメと突き返しても、3回めも必ずくる。そこまでやりたいならやれよ、という話になる。ただ、3回目までくることはほとんどない。3回言ってくるということは相当肝っ玉が座っているということ。


<デザイナーの採用・育成>
  • 遠藤先生:人は育てられない。勝手に育つ、育てられるという考えは人事の横暴。チャンスを与えれば人が育つように生まれている。どれくらいの期間が必要かは人によって異なる。
  • 人が育つにはチャンスを与えること。会社が人を育てるという考えは傲慢。ただし、向いていること、やりたいこと、タイミングを調整してチャンスを与えてやりたいよな。
  • 山崎さん:デザイナーはクリエイションなので、10人あってダメなら100人に合わなくちゃいけない。本来は。
  • 遠藤先生:育てるよりも発掘かもしれない。タレントとか。




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