研究イノベーション学会シンポジウム「日本におけるアントレプレナーシップ 人材の育成と活躍─大学発ベンチャーからカーブアウトまで─」に参加。
学会の会場である東京大学から生まれたベンチャーは335社で、うち上場17社。M&Aを含むイグジット34社。AIを中心としたベンチャーが多く創業されていて、本郷バレーとも呼ばれているそうな。
基調講演:「シリコンバレーから日本のアントレプレナーシップを見る」
宮田拓弥さん (スクラムベンチャーズ創業者兼ジェネラルパートナー)
【宮田さんのプロフィール】
- サンフランシスコで活動している。今日は実業の立場から講演する。
- エンジニアから企業家を経て現在は投資家。早稲田で半導体研究をしていた。ハードからソフトの流れがきていた時代で、アメリカでエンジニアとして働いてから起業した。その後、売却した後に投資家となった。
- 投資先を振り返ると、これまでの10年はスマートフォン関連の企業に投資してきた。これから10年間の投資のテーマはスマート社会。社会全体がスマートになることがテーマになる。車・家・店舗がキーデバイス
- テクノロジーの掛け算になり、社会をスマートにするためにはあらゆる産業に投資をする。産業変革を起こしていくのがトレンドになるので、以前のようなソフトウェアだけでは成功しない。外側の産業の知識がとても大事
- 日本では優秀な人間が大企業に偏在している。大企業の人材をどう外に出すか、スタートアップと掛け合わせるかがとても重要。オープンイノベーション事業を始めている。
【起業にとって大事なこと】
- 起業家>投資家:日本と比べて大きな違いは起業家がアメリカ文化として尊敬されている。Yコンビネーターは「ハンドシェイクをしたら投資をします」というプロトコルを示している。投資家が企業家の時間を大事にして事業開発・製品開発にフォーカスしてもらうように配慮している。
- 経験>知識:レモネードの例にあるようにアメリカでは子供のころからお金儲けをする。一方で日本では「研究者はお金のことなんて考えるな」と言われることもあった。このようなビジネス経験を持っていることは必ず必要。
- 二度目>一度目:会社を1から作って上場を2回やっているような社長のプロファイルを見ると安心する。100億の売り上げを作ったことがあり2回目の挑戦であれば、その過程でたくさんの失敗をして学習しているので上手くいくと信じられる。
- 二人>一人:ソロファウンダーではなく、共同創業者がいることを重視している。必要になるスキルも多いので、パートナーとセットで始めることが多い。
- 理系>文系:技術が分かっている理系の人が創業することが大事。アメリカでは大学の教授が自動運転のベンチャーを複数社やっている人も多い。
- 大企業→起業:これからは大企業に勤めてから経験を生かして起業する人が増えるだろう。
- アカデミア→起業:増えて欲しいし、最近増えてきたなと思う。アメリカは大学教授が起業しているので新たなアントレプレナーのメンターになれる。
- セレブ→起業:パワーがある人が製品を提供するととても強い。メジャーリーガーが起業することもあるし、サッカーの本田圭佑も投資家になった。知ってもらってから買ってもらうので、自分自身に知名度があって影響力のある人が投資家になるのは適している。
【アントレプレナーの行動・考え方】
- 技術に対する理解:根本の部分を深く理解する。
- とにかくやってみる:意外とできないのが「やる」失敗しても良い。
- 継続力:失敗しても粘り強く続ける。
- 顧客第一主義:新しい素材を作ったけど顧客がいないということはよく聞く話
- 第一原理主義:ロジックできちんと考える
- オープン:オープンイノベーションで広く知を集める
- メンター:一人では成長できない。人を使う
- ハードワーク:没頭して働く
- 時期を見極める:タイミングで何をするか
- 飽くなき好奇心:ビジネスのタネは周囲にある。そこに気付けるかどうか
0 件のコメント:
コメントを投稿