『オープン化戦略 境界を超えるイノベーション』(安本雅典+真鍋誠司編:有斐閣)
オープンイノベーションに取り組むにあたり、どこまでを戦略的にオープンにすべきか、京大椙山先生・WBS川上先生・筑波大立本先生など合計17名の著者が論じた本。
外部の知識を活用する/外部に知識を活用してもらうオープンイノベーションは、標準部品を調達するような気持ちで他社と取り組んだのでは決してうまくいかない。
全てをオープンにして提供してしまうと自社の競争優位も強みもなくなってしまうが、かと言って制約ばかり設けていたら針の穴ほどのオープンイノベーションになってしまって果実が得られない。
本書ではオープン化戦略を「価値を創造し獲得するための、企業外部にオープンにする領域の決定とその領域のマネジメントに関するシナリオ」と定めている。
プラットフォームでは
- どの部分をオープンにして多くの補完企業に参入してもらってネットワークを広げて価値を高めるか?
- どの部分をクローズにして自社の収益源にするか
という判断が必要になる。
インテルはPCIバスの標準を定めて公開しつつ、CPUとチップセットはクローズにした。結果、標準に従えばパソコン製造に参入できる環境となり、部品メーカーやPCメーカーが急増して市場が大きく拡大した。その標準化したところに搭載可能なCPUはインテルが供給していたため、インテルの売り上げも急拡大した。
本書では知的財産・標準・政策・マーケティング・経営戦略と幅広いテーマの中で、それぞれにオープン化戦略がどのような影響を持つか、どこに着目すべきかを議論していてとても面白い。それぞれの章で参考文献リストがまとめられているので、かなり役に立つのではなかろうか。
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